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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

シンガルを守れ

王たる威厳を感じさせないその男は、
他が集まるまでの間、
待っていてくれないかと言った。
俺としてはさっさと
色々な説明をしてもらいたいが、
全員が集まった後の方が
楽だし、二度手間にならない。
その事を理解した上で、
俺は待つことにした。
柱の一本に寄りかかって、
瞑想して静かにその時を待つ。
人に待てと言っておいて、
イスの一つやお茶の一杯も
出してこないのか、この王は。
瞑想といいながら
心の中で愚痴を呟く。
俺は暇な時にいつもこうする。
心の中で嫌な奴の悪口を言うと、
実際に言ってなくても
何となくだが、スッキリする。
一種のストレス発散法だ。
ただし、決して顔に出したり、
声になったりしてはいけないので、
慣れた者でないと
この方法でストレス発散するのは無理。
よって、いつでもポーカーフェイスの
俺は無敵。最強。真の王。
と、こうな風に
誰にも通じない謎理論を
組み上げるのも、いい暇潰しだ。
ちなみにこれはある程度の
国語力がないと出来ない。
よって、これが出来る俺は以下略。

「ふむ、そうか。
6人ようやく揃ったか」

俺が一人で物思いに
耽っている間に、
もう役者は出揃ったようだ。
王は側近のメイドから
何かを耳打ちされると、
俺達を見下ろす。
ざっくり見た感じだと、
皆俺と同じ日本人で、
歳もそう変わらない。
俺を含めて男は4人で女は2人。
ラブコメをするには
割合がおかしい気はするが、
今回はラブコメの予感はしない。

「よくぞ集まって下さいました。
別世界から参られた勇者の皆様。
ワシはこの帝国シンガルの王、
ドラゴンロック・バン・シンガル。
本当は正式名称を名乗るのが
礼節なるものなのでしょうが、
一刻を争う状況故に、
この度は省略させて頂きます」

王――ドラゴンロックは、
前から練習していたかのような
簡潔なセリフを口にする。
が、俺をはじめとする他の者達は、
そんなことより
聞きたいことがあるという風に
無言で先を促す。

「さて、勇者様方色々と
疑問に思われることもあるかと
存じますので、まずですね、
その辺りの説明を致します。
おい、勇者様にご説明を」

「はい、国王様」

ドラゴンロックによる言葉は
それで終わり、
代わりに若いメイドが
俺達への説明をしてくれた。
メイドは簡潔で分かりやすい
説明をしてくれたが、
簡潔過ぎて時折、
質問が飛んでいた。
その話を俺は俺なりに整理する。
まず、この国シンガルは、
かつて、他国との戦争では
負けたことのない、
戦力と財力を兼ね揃えた
超先進国だった。
シンガルは他の先進国を
権力下に置き、
栄えていたそうだ。
そんなある時、事は起きた。
シンガルと敵対していた
マーガイナという国が、
5000年前に封印された
魔族の王を復活させたのだ。
世界に魔族が溢れ、
シンガルも権力下にあった国の
4割を侵食されていた。
このままではシンガルも
魔族とマーガイナの軍勢に
攻め落とされてしまう。
そこで俺達勇者の出番だ。
5000年前に魔族の王を
封印した勇者は、
召喚魔法で異世界から
呼び込んだ、とシンガルの
歴史書に書いてあったとのことで、
シンガルはすぐさま
優秀な魔法使いを集め、
三日三晩かけて俺達を召喚した。
勇者はそれぞれ2つ名があり、
太陽の勇者、大空の勇者、
雪の勇者、海の勇者、
大地の勇者、そして影の勇者。
俺達には自身を鍛え、
与えられた2つ名に伴った
能力を我が物とし、
魔族とマーガイナを
打ち倒して欲しい、
ということらしい。
――盾の勇者はいないので、
これはハズレはいないのか?

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