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闇を抱えた勇者は世界を救う為に全てを飲み殺す~完結済み~

青篝(夢八)

メイド無しの目覚め

目が覚めた俺が
最初に目にしたのは、
見慣れない白い天井。
と、ぶら下がっている
豪勢な装飾のシャンデリア。
長い前髪のせいで
分かりにくいが、
確実に初見の天井だ。
次に体が柔らかく覆われていると
思えば、ふかふかのベッドに
寝かされていた。
こちらも白を基調とした
デザインの布団で、
温もりといい、肌心地といい、
いかにもの高級品感がある。
すぐ近くに人はいないようなので、
しばらくこの幸せを
堪能してもよさそうだが、
現状を把握するのが先だ。
情報がほぼ無いので
簡単に推測するしかできないが、
まず、俺の記憶違いがなければ、
俺は図書館で謎の本を取り、
開くと謎の光が溢れて、気を失った。
次に、その本の力によって
俺はどこかしらに転送され、
近くにいた誰かに
このベッドに運ばれた。
これがよくある二次元の話なら、
どこかの異世界に危機が訪れて、
それから世界を防ぐ為に
俺が勇者として召喚された、
というのが妥当だろう。
単純に異世界に転送されただけ、
とも考えられるが、
通りすがりの一般人が
突然現れた得体の知れぬ者に
ここまでの待遇をするとは
どうにも考えにくい。

「まるで貴族の屋敷だな…」

名残惜しいが、体を起こす。
全体的に白で統一された部屋は、
他に言うまでもなく
貴族の屋敷の一室のようだ。
広さは20畳ほどもあり、
このベッドもダブルベッドで、
側にあるサイドテーブルには
綺麗な白い花が一輪、
スラッとした白の花瓶に
か弱くも悠々と刺さっていた。
窓も開いていて、
純白のカーテンをなびかせながら
部屋の空気を軽々しく保つ。
そして、何より目を引くのは、
ベッドの正面に
悠然と掛けられている
巨大な人物画だ。
一目見ただけで、
その人物がこの国の
国王なのだなと思い知らされる。
自信に満ち溢れた瞳は
真っ赤に燃える炎のようで、
たくましく生やされた
口と顎の毛が男らしさを
自己主張している。
赤い王族服を着こなす
その有り様は、
まさに王と呼ぶに相応しい。

「メイドとかいねぇかよ」

しかし、である。
ここがもし本当に貴族の屋敷で、
俺が勇者として召喚されたのなら、
メイドなり執事なりが側にいて、
起きた俺を王の元へ
案内するのがお約束のはず。
なぜ、誰もいないのか。
ベッドから降りて、
律儀に俺は布団を畳む。
俺の服装がジャージのままで、
俺の持ち物がポケットの
財布しかないと確認すると、
巨大な人物画を一瞥してから、
俺は金色のドアノブに手をかけた。

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