魔法科学師は最強の道を征く〜腹の中にドラゴンを宿してます〜

ドラ猫

第五話 櫻居恵の忘れられない日

今日!私は!源君に告白しようと思う!!

私は朝起きてそう思った。

特に何の変哲のない今日だけど、今日言わなきゃダメだと不思議とそう焦ってしまう。

こんな日は初めてだな〜。源君とはずっと友達のままはやだ、という気持ちと、この時間がずっと続いて欲しいと思う矛盾した気持ちを持っていたけど、ついに今日で区切りをつけようとそう思った。

告白するにあたって、やっぱり仲間の協力は必要だ。やっぱり二人きりになれる環境を作って、一気に告白するしかない。だって、その場の雰囲気とかがなかったら、私絶対恥ずかしがって好きなんて言えないと思うから。


源君を好きになったのはいつからだろうな〜。小学校の時にはもう好きだったと思う。だって、中学が別々になるってわかった時、すっごい泣いちゃった記憶あるもん。中学でもずっと源君のことが頭から離れなくて、、、

高校で、源君と会ったときは本当に嬉しかった!!こんな奇跡あるのかと思ったよ。高校一年の時、何気なくクラスに入ったら源君がいるんだもん。びっくりしちゃって思わず大声を出しそうだったな〜。でも、あの頃の源君は元気なくて、お家のことで色々と忙しいみたいで声をかけられなかった。私のことも覚えてるか怪しいぐらいだったし。

思い切って、話しかけてみたのが高一の秋だった。そしたら、「誰?」って言われて、泣いちゃったのを覚えてる。




あれは高校一年の秋、放課後の教室で一人つまらなそうにして机に座っていた源一郎君に、、、

「ね、ねぇ、赤司君。私のこと覚えてる?小学校の頃一緒だった、櫻居恵って言うんだけど、、、」

私は思い切って、声をかけてみた。ずっと待ちわびていた人に。

すると、源君はこちらを一瞬だけ見ると、、

「誰?」

と、一言言い放った。

私はショックだった。ちょっとぐらい覚えてくれてもよかったのに。あんなに一緒にいたのに、、、。

そう思うと思わず涙が出てきて、、崩れ落ちてしまった。

そもそも、クラスメイトなのに、誰?って、、、

大丈夫?、の一言もないが、流石に目の前で泣かれて動揺したのか、こちらをじっと見つめてきた。

どう対処しようかと悩んでいるのだろう。

「えっと、恵って、あの?ほら、よく一緒に遊んでた、、」

「う、うん。」

え、もしかして、覚えてたの!?

「ごめん。あまりにも変わっててさ、名前を聞いただけじゃわからなかったんだ。」

そ、そう言うことなの!?

「か、変わったってどんなふうに、、?」

私はすこし期待を込めて聞いてみた。

「だいぶ印象が変わったよ。やっぱり三年も合わないとね。すごく女性らしくなっててびっくりしたよ。」

「女性らしく!?」

そこで私の頭はショートした。




ま、まあ、結果的には覚えててくれたから良かったし、それから毎日話すことができて、前みたいに親密になることができたんだけど、、、やっぱり前みたいにと言ってもそうはいかない。二人とも体も心も大人に近づいて、前みたいに性を気にして接するなんてことできなくなったから、、、一定の距離ができちゃったかなとも思ってる。





今日は全然授業に集中できなかったな〜。告白まで後もう少しだもん。

「またな、源。」

「また明日、源一郎くん。」

「ああ。また明日。」

みんなが挨拶をしてる。

「恵、頑張ってね!」

と真奈が言う。

真奈には事前にこの子のを話して、協力してもらうことにしたのだ。

でも、悟られるようなことは言わないで欲しいかな、、。

「って、恵?部活行かないのか?」

よかった。源君は今の気にしてないみたい。

「う、うん。今日は部活が臨時で休みになって、、、それに、、、」

部活が休みになったと言うのは本当だ。休みじゃなくても、休もうとは思っていたので、とんだラッキーだった。

「じゃあ、帰ろっか。」

源君は教室を出ようとする。今、教室には二人きりだ。

「ちょっと待って!」

源君の裾を掴み、呼び止める。

ここで言うって決めたんだ!今日告白するって!!

「あのさ、、ちょっと源くんに話したいことがあって、、」

ちょっと歯切れが悪くなっちゃったけど、言えたよ、、後は気持ちを伝えるだけ、、

しかし、そんな簡単にはいかずしばらく黙り込んでしまう。

「話なら歩きながら聴くよ?それともここで間話す?」

歩きながら、、!?

「え?源くん今日歩きなの!?」

「ああ。」

これは驚いた。こんな幸運があるなんて!

「そ、そっか。よかった。車の人待たせてたらどうしようかと思ってた、、。じゃ、じゃあ、歩きながら話すよ。」

なんか告白の先延ばしみたいになっちゃっただけど、、、しょうがないよね。

「わかった。じゃあ、行こっか。」

「うん。」

そこから私たちは歩き出した。




校門を出ても、全然喋り出すことができなかった。


「もう直ぐ着くけど、今日はやめとく?」

下校最初に口開いたのは源君だった。

「え、あ、そうだね、、で、でも、今言う!」

今言わなきゃ!今日はもうタイミングがないと思う!今しかない!

「源くん!私、、!源くんのことが、、

その瞬間を私は一生後悔するだろう。私が源君の足を止めないでそのまま進んでいればそれは起きなかったかもしれない。私が周りをしっかりみて逃げることができたなら、、、

「危ない!!!」

源君の大声とともに私は突き飛ばされる。

何がなんだかわからない私は体を地面に打ち付ける。

体の節々が痛いが、頑張って立ち上がって源君の方を見てみる。

「げ、源くん!!!!」

そこには頭に血を流して横たわっている源君がいた。そして近くには源君を吹き飛ばしたと見える車があった。

瞬時に何があったか理解した私はすぐに源君のもとに駆け寄った。

源君の顔を覗き込むようにして見る。

ひどい怪我だ。頭を打ちつけたのだろう。すごい血だ、、、。

源君の姿がだんだんとぼやけていく。目に水滴が溢れ出す。

だめだ。だめだ。源君はもっと辛いんだ。私が泣いちゃだめだ。

私はもう一度源君の姿を見る。顔の左半分が潰れていた。左腕と左足が本来曲がらないはずの方向に、、、

縁起でもないが、素人の目に見ても後数分で死んでしまうとわかった。

「げんくん、げゆくん、、、私、わたし、、」

最後に伝えたかった。大好きだと。





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