魔法科学師は最強の道を征く〜腹の中にドラゴンを宿してます〜

ドラ猫

第三話 新しい1日のルーティン

朝起きる。歩く練習をしたり、言葉を話そうと試みたり、メイドや母に抱かれたりして1日を過ごす。そして、寝る。

これが俺の新しい一日。

できないことをできるようするために頑張るっていうのはやっぱり楽しい。

前の世界ではできないことが少なくなってしまったから退屈だったが、今は全てが新しいことだ。

一年かけて、ようやく歩けるようになり、すこしずつだが言葉を話せるようになった。単語をなんとかだけど、、、。

頭の中ではある程度母や周りの人が何を言っているかを理解できるようになったけれど、やっぱりまだ歯が生え揃っておらずしっかりとした発音ができない。

そろそろ文字の勉強もしたいし、魔法の勉強だってしてみたい!

そう思って、今日はメイドのミーシャに本を見せてもらおうと思う。文字を覚えるには、読み聞かせが効果的だと思う。


「ムィーシャ、、!ほん、、」

どうにか単語を発音して自分の意思を伝えたいが、、

このメイド、ミーシャは自分の名前が呼ばれたことが嬉しくて感激のあまり、胸がいっぱいのようだ。そういえば、ミーシャと呼ぶのは初めてだったかな?大体、ママ、ごはん、トイレの三つくらいしか言わないから。

ちなみにミーシャは俺の専属メイドで20歳らしい。

「ムィーシャ?」

「は、はい!ほん?ですか?あの文字が書いてある?」

コクン、とうなずくと、

「ちょっと待っててください!いま持ってきます!」

と、勢いよく部屋を出て行った。

そもそもミーシャは俺と会話ができているつもりなのだろうか。一歳の子供がミーシャの喋っている内容を理解できるはずもないのに、、、


「って、ええ!?ライエル様、私のいうことがわかるんですか!?」

驚いた顔とともに、本を持って戻ってくるミーシャ。おそらく途中で気づいたのだろう。

コクン、とまたうなずく俺。

「そ、そうですか。不思議なこともあるものですね。」

それで納得してしまうのがミーシャの良いところでもあり悪いところでもある。

一生懸命なんだけど、おっちょこちょいなのがなぁ〜。


あ!ちなみにミーシャが読んでいたけれど、俺の名前はライエルというらしい。もちろん日本語ではないけれどね、、

正式にはライエル・フロスティア。フロスティア王国という国の第一王子らしい。母が俺を寝かしつけるときにいろいろな話をしてくれてわかった。

国王である父は一年前の大災厄で傷を負い、療養中らしい。部屋から出れないため俺と会うことはないらしい。

俺が初めての子供ということで、王城中や母はてんやわんやだったらしい。


ここで、本をもってこちらをじっと見つめているミーシャに気づく。もってきたはいいが、どうすればいいのか分からないのだろう。

「よんで、!」

「よ、読むんですか!わかりました。」

おもむろにミーシャは本を開く。文字が読めないので分からないが、表紙や形状から察するに子供向けの本だと思う。

「えーっと、、これは遥か昔のお話です。あるところに元気な赤ん坊が生まれました。名をランスロットと言いました、、、


それから俺はミーシャの言葉と文字を照らし合わせいった。当然一回読んでもらっただけでは分からないので何回も。ミーシャはすこし疲れた様子だったが、王子に読み聞かせることができる喜びに満ちていたように思う。

気づけば、夜も遅くなりご飯の時間がやってきていた。

「あんがとぅ。マぃーシャ」

「い、いえ!私も楽しかったです!」

うん。素直で元気な子だな。と言っても、前世でも俺より年上なんだけどね。





転生してから2年経った。

文字も覚えたし、言葉もだいぶ話せるようになった。早く味などは無理だが、ゆっくりなら割と流暢に話せるし、言いたいことは伝えられる。

魔法については正直まだ手を触れていない。今までは文字を覚えるのに必死だったし、そもそも2歳の俺に魔法の本なんて見せてくれない。

だから今日はメイドのミーシャに頼んで(脅して)、魔法の本をもってきてもらおうと思う。

ちなみに、2歳なのでもう乳児ではなく、幼児だ。体の成長的にも、走れるし、トイレだって自分でできる。

歯も大体揃ったのでもう普通に食事ができるようになった。

それはそうと、、

「ミーシャ、」

「は、はい!なんでしょう?ライエル様。」

「んーとねぇ、まほうについてしりたいんだけど、、」

「ま、魔法ですか!?わかりました!今魔法書を持ってきます!」

「よ、よろしく〜。」

相変わらずの物分かりの良さ。さすが、ミーシャ。


「持ってきました!」

そう言って部屋に入ってきたミーシャは何層にも積まれ顔が見えなくなるくらい、大量の本をもってきてくれた。

その中には薄くて子供向けと思われるものから、分厚く専門家向けと思われるものもあった。無意識かどうか分からないけど、ミーシャは俺のことをよくわかっている。

「ありがとう。ミーシャ。」

「い、いえ!当然のことをしたまでです!」


そこから俺はこの本たちに没頭して行った、、、。











読んでくれてありがとうございます。

ライエルは、今はまだ知識を蓄える時期です。これからある事件が起きて急展開となっていきますので、お楽しみに!!



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