やしあか動物園の妖しい日常
喜ぶ二人
結局、二人で話し合った結果、渡すなら久慈さんの分を渡すという結論に至って保管倉庫の事務室に行った。
事務室の中ではボウさんとシラユキさんが、先ほどと同じように作業をしている。
ガラス窓の外側から二人で覗いていると、海坊主のボウさんがこちらに気付きガラス窓を開けてくれた。
「おう!二人ともまだ帰ってなかったのか?」
「ちょっと野暮用があってですね...ボウさんちょっと良いですか?」
久慈さんがそう訊くとボウさんが不思議そうな表情になる。
「ん、なんだ?」
「これ、河童の妙薬って云うんです。良かったら病気で休んでる人に飲ませてあげてください」
ガラス窓のサッシ越しに久慈さんが妙薬をボウさんに差し出す。
「河童の妙薬...ってあれか!?ワッパが作ってるってのは噂で聞いたことがあったが...本当にあったんだな」
あっ!そうか。ワッパさんが園長かリンさんにしか渡したことが無いって言ってたから、河童の妙薬を実際に見ていない妖怪もいるのか。
「これを飲めば病気も治るかも知れません」
「本当に良いのか?これって貴重な薬なんだろ?」
「それは貴重ですけど、僕が持っているよりボウさん達に渡した方が役立ちそうなので。でも最初に思い付いたのは紗理っちなんですよ」
「あ、いえいえ。わたしはたまたま思い付いただけなので」
わたしがそう言ったあとでボウさんの顔を見ると、いつに間にか目に涙が滲んでいた。
「ありがとな二人とも。感謝する...お~い、シラユキ~!ちょっとこっちに来てくれ!」
ボウさんがシラユキさんを呼びと、作業の手を止めてこちらにやって来た。
「どうしたの?ボウ。まだ仕事が終わってないのだけれど...あら、久慈っちと紗理っちが来てたのね」
シラユキさんは仕事に没頭してわたし達が訪れたことを知らなかったらしい。
「この二人から河童の妙薬という薬を貰ったよ。これでアイツの病気が治るかも知れないぞ」
「本当に!ありがとう。何だか今日は二人にはお世話になりっぱなしで申し訳ないわね」
「ハハハ、そんな。困った時はお互い様ですから気にしないでください」
「そうですそうです。わたし達に出来ることなら何でもしますよ。今からでも手伝えることがあれば何でも言ってください」
わたしがそう手伝いを申し出ると、ボウさんが涙を吹いて話し出す。
「いやぁ、流石にそこまでは頼めない。それに、もう少ししたら今日は引き上げようって二人で話してたんだ。折角貰ったこの妙薬を早くアイツに飲ませてやりたいしな」
「そうですか...じゃあ僕らはこれで帰りますね。お疲れ様でした」
「ああ、お疲れさん!二人とも今日は本当にありがとな!」
ボウさんとシラユキさんは笑顔を見せて本当に喜んでくれた。
そのあとわたし達は保管倉庫を出て事務所に戻り、久慈さんがわたしを駅まで送ってくれたのだった。
事務室の中ではボウさんとシラユキさんが、先ほどと同じように作業をしている。
ガラス窓の外側から二人で覗いていると、海坊主のボウさんがこちらに気付きガラス窓を開けてくれた。
「おう!二人ともまだ帰ってなかったのか?」
「ちょっと野暮用があってですね...ボウさんちょっと良いですか?」
久慈さんがそう訊くとボウさんが不思議そうな表情になる。
「ん、なんだ?」
「これ、河童の妙薬って云うんです。良かったら病気で休んでる人に飲ませてあげてください」
ガラス窓のサッシ越しに久慈さんが妙薬をボウさんに差し出す。
「河童の妙薬...ってあれか!?ワッパが作ってるってのは噂で聞いたことがあったが...本当にあったんだな」
あっ!そうか。ワッパさんが園長かリンさんにしか渡したことが無いって言ってたから、河童の妙薬を実際に見ていない妖怪もいるのか。
「これを飲めば病気も治るかも知れません」
「本当に良いのか?これって貴重な薬なんだろ?」
「それは貴重ですけど、僕が持っているよりボウさん達に渡した方が役立ちそうなので。でも最初に思い付いたのは紗理っちなんですよ」
「あ、いえいえ。わたしはたまたま思い付いただけなので」
わたしがそう言ったあとでボウさんの顔を見ると、いつに間にか目に涙が滲んでいた。
「ありがとな二人とも。感謝する...お~い、シラユキ~!ちょっとこっちに来てくれ!」
ボウさんがシラユキさんを呼びと、作業の手を止めてこちらにやって来た。
「どうしたの?ボウ。まだ仕事が終わってないのだけれど...あら、久慈っちと紗理っちが来てたのね」
シラユキさんは仕事に没頭してわたし達が訪れたことを知らなかったらしい。
「この二人から河童の妙薬という薬を貰ったよ。これでアイツの病気が治るかも知れないぞ」
「本当に!ありがとう。何だか今日は二人にはお世話になりっぱなしで申し訳ないわね」
「ハハハ、そんな。困った時はお互い様ですから気にしないでください」
「そうですそうです。わたし達に出来ることなら何でもしますよ。今からでも手伝えることがあれば何でも言ってください」
わたしがそう手伝いを申し出ると、ボウさんが涙を吹いて話し出す。
「いやぁ、流石にそこまでは頼めない。それに、もう少ししたら今日は引き上げようって二人で話してたんだ。折角貰ったこの妙薬を早くアイツに飲ませてやりたいしな」
「そうですか...じゃあ僕らはこれで帰りますね。お疲れ様でした」
「ああ、お疲れさん!二人とも今日は本当にありがとな!」
ボウさんとシラユキさんは笑顔を見せて本当に喜んでくれた。
そのあとわたし達は保管倉庫を出て事務所に戻り、久慈さんがわたしを駅まで送ってくれたのだった。
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