やしあか動物園の妖しい日常

流川おるたな

チーズハンバーグと白身魚フライ

 さてと、お楽しみのランチを食べよう!
 
 昨晩のお酒と料理などの暴飲暴食により、コウさんの部屋で目を覚ました時のわたしは食欲など無かった。
 それが、河童の妙薬の効果と、仕事で身体を動かしたお陰で今はお腹がかなり減っている。
 テーブルの上に置かれた本日の日替わり定食は、チーズハンバーグと白身魚のフライがメイン。

 最初に味噌汁のお椀に手を伸ばして蓋を開けると、豆腐とわかめのスタンダードな味噌汁だった。

 やしあか食堂の日替わり定食を食べるのはまだ三回目だけれど、細部にまでこだわりを持って作られていることは十分に理解している。

 スタンダードな味噌汁にしてもぬかり無く作られているはず。
 わたしは味噌汁のお椀を口に寄せて啜った。
 
「ズズズ…」
 
 ん~、美味しい!流石はやしあか食堂!自然に顔がほころんだ。
 コクと深みのある味。だしもこだわりを持って作られているのだろう。
 具材は豆腐とわかめの他に細かく刻まれた長ネギが入っていて、それが微かな上品さを出している。
 
「お次はチーズハンバーグ~っと♪」
 
 お盆の端にあるナイフとフォークを手に取り、まだジュージューと音を出す鉄鋳物の皿の上に乗っかっているチーズハンバーグをフォークで押さえナイフで切る。
 ハンバーグの切り口から、食欲をそそる肉汁がジワ~っと流れ出す。

 毎度の事だけどよだれが…

 更に適度なサイズに切ってパクッと一口。

 おほぉ~たまんない!
 トマトベースのソースにとろけるチーズが上手くマッチングしている。
 噛む力要らずの柔らかい食感、口に広がる肉と脂のうま味、タマネギの程よい甘さも効いている。

 一般のファミレスで出されるハンバーグの質は向上し、十分に美味しいと思えるけれど、このチーズハンバーグは比較にならない。
 二口目を口の中に運びすぐさま白ご飯も運んで合流させた。
 うんうん、相変わらずの炊き加減の良さ。これは白ご飯も進みますなぁ♪

 よし、チーズハンバーグのインパクトにより存在感が薄れてしまった白身魚のフライを食べてみよう。
 白身魚のフライにはタルタルソースが掛かっている。

 一昨日のチキン南蛮の時も掛かっていたけれど、願わくば違う味のタルタルソースであって欲しい。

 そう想いながら白身魚のフライを口にいれた。
 ああ、ほっこりする味だなぁ。
 チーズハンバーグの濃厚な味とは違い、外はサクっとなかはふんわりであっさり味。
 タルタルソースも今回はお酢が効いていてサッパリ感があり、結局は期待を裏切らない美味しさだった。
 
「ご馳走様~」
 
 久慈さんのいつも早い「ご馳走様」にも3日目にしてもう慣れている。
 もちろんわたしは自分のペースで食事を楽しんだ。

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