やしあか動物園の妖しい日常
カクテルバー
歓迎会の途中、壇上に何人かが上がり、歌やダンス、マジックなどを披露したりして大いに盛り上がった。
久慈さんに断りを入れて、わたしはあとで行こうと思っていたカクテルバーに足を運ぶ。
カクテルバーは簡易的なカウンターが設けられており、正面から外観を狭めて見れば、普通のカクテルバーと比べても遜色無かった。
お、予想してたより良い雰囲気。
カウンター中央にはスーツを着たバーテンダーの男性が立っている。
男性はサラサラの茶髪に整った顔立ちに優しそうな目をしていて、スーツの良く似合うバーテンダーだった。
カウンターの客席には、真ん中に女性が一人で座り静かに呑んでいる。
その女性から一つ席を空けて左隣の席に座った。
「いらっしゃい。お主が新人飼育員の紗理っちでござるな?」
思わず席からガタッと転げ落ちそうになる。「ござるな?」、ギャグか何かでいっているのだろうか
「あ、はい。黒川紗理亜で紗理っちです」
「拙者は三本五郎座衛門(さんもとごろうざえもん)という妖怪で、名をザエモンと申す」
あいだに入っている「ゴロウ」じゃなく「ザエモン」なんだ!?顔のトレンディ感と話し方や名前のギャップがすごい…
「ザエモンさん、お勧めのカクテルはありますか?」
「うむ、今日出来たばかりの拙者の自信作がお勧めでござるよ」
「じゃあ、それでお願いします」
「かしこまり~でござる」
生まれて初めて会話で「ござる」を使う人と会ってしまった…
それにしても、右半身だけ肌寒くなって来た気がするのはなぜだろう?
右にいる女性の方を向くと、その女性から「ヒュオオオ!」と音が聴こえそうなほどの冷気が漂っている。
その女性の肌は、血が通っていないのかと思うほど白く、黒い髪は濡れているようにも見え、美人な顔をより一層引き立てていた。
取り敢えず挨拶してみようか。
「こんばんは、初めまして黒川と申します」
女性がゆっくりとこちらを向いた。
「こんばんは、新人飼育員の紗理っちね。野菜や飼料の倉庫管理をしている雪女のシラユキよ。よろしくね」
倉庫管理は適任だけど、どおりで寒いわけだ…。
「雪女のシラユキさんですね。こちらこそよろしくお願いします!」
「シャカシャカシャカシャカシャカシャカ」
ザエモンさんが子気味よくシェーカーを振り出した。
この間にもわたしの身体はさらに冷え込み、身体がガタガタと震え出す。冷気について言うべきか言わざるべきか、席を離れても失礼に当たるような気がするし…
「ん?あなた、もしかして寒いの?」
お、気付いてくれた。
「ずみません。ちょ~っとだけ寒いですぅ」
「ごめんなさいね、気付かずに。お酒が入ると気が緩んで冷気が身体から漏れちゃうの。今はどうかしら?」
いつの間にか漂っていた冷気が止まっている。
「ありがとうございますぅ。今は大丈夫みたいです」
こんな事なら早く言っておけば良かった…
久慈さんに断りを入れて、わたしはあとで行こうと思っていたカクテルバーに足を運ぶ。
カクテルバーは簡易的なカウンターが設けられており、正面から外観を狭めて見れば、普通のカクテルバーと比べても遜色無かった。
お、予想してたより良い雰囲気。
カウンター中央にはスーツを着たバーテンダーの男性が立っている。
男性はサラサラの茶髪に整った顔立ちに優しそうな目をしていて、スーツの良く似合うバーテンダーだった。
カウンターの客席には、真ん中に女性が一人で座り静かに呑んでいる。
その女性から一つ席を空けて左隣の席に座った。
「いらっしゃい。お主が新人飼育員の紗理っちでござるな?」
思わず席からガタッと転げ落ちそうになる。「ござるな?」、ギャグか何かでいっているのだろうか
「あ、はい。黒川紗理亜で紗理っちです」
「拙者は三本五郎座衛門(さんもとごろうざえもん)という妖怪で、名をザエモンと申す」
あいだに入っている「ゴロウ」じゃなく「ザエモン」なんだ!?顔のトレンディ感と話し方や名前のギャップがすごい…
「ザエモンさん、お勧めのカクテルはありますか?」
「うむ、今日出来たばかりの拙者の自信作がお勧めでござるよ」
「じゃあ、それでお願いします」
「かしこまり~でござる」
生まれて初めて会話で「ござる」を使う人と会ってしまった…
それにしても、右半身だけ肌寒くなって来た気がするのはなぜだろう?
右にいる女性の方を向くと、その女性から「ヒュオオオ!」と音が聴こえそうなほどの冷気が漂っている。
その女性の肌は、血が通っていないのかと思うほど白く、黒い髪は濡れているようにも見え、美人な顔をより一層引き立てていた。
取り敢えず挨拶してみようか。
「こんばんは、初めまして黒川と申します」
女性がゆっくりとこちらを向いた。
「こんばんは、新人飼育員の紗理っちね。野菜や飼料の倉庫管理をしている雪女のシラユキよ。よろしくね」
倉庫管理は適任だけど、どおりで寒いわけだ…。
「雪女のシラユキさんですね。こちらこそよろしくお願いします!」
「シャカシャカシャカシャカシャカシャカ」
ザエモンさんが子気味よくシェーカーを振り出した。
この間にもわたしの身体はさらに冷え込み、身体がガタガタと震え出す。冷気について言うべきか言わざるべきか、席を離れても失礼に当たるような気がするし…
「ん?あなた、もしかして寒いの?」
お、気付いてくれた。
「ずみません。ちょ~っとだけ寒いですぅ」
「ごめんなさいね、気付かずに。お酒が入ると気が緩んで冷気が身体から漏れちゃうの。今はどうかしら?」
いつの間にか漂っていた冷気が止まっている。
「ありがとうございますぅ。今は大丈夫みたいです」
こんな事なら早く言っておけば良かった…
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