やしあか動物園の妖しい日常
ホタテのカルパッチョ
「え~こんな格好で登場してすみません。では、みなさん、グラスを手に持ってご準備ください」
リンさんがそう言うと、会場の全員が白ワインの注がれたグラスを手に持つ。
「紗理ッち~はい、どうぞ」
「あ、ワラさん、ありがとうございます」
双子の猫娘のワラさんとカヤさんがメイド服姿で現れ、園長とテグンさんとわたしにグラスを渡した。
「みなさん準備は出来ましたね~!…では行きます。やしあか動物園と新入社員紗理ッちの前途を祝してかんぱーーーい!」
「「「「「かんぱーーーい!」」」」」
わたしを含めたほぼ全員がワインをグイッと呑んだあと、会場に大きな拍手が沸き起こった。
「ではみなさん!暫くのあいだもりもり食べてじゃんじゃん呑んでください!」
テグンさんがそう言って一区切りし、自由な飲食タイムがスタートした。
「紗理っち~!こっちこっち!」
久慈さんがわたしに手を振って呼び掛けたので、手を振って返しそのテーブルへ向かう。
テーブルにはやしあか温泉で会った紅葉のコウさん、百々爺のモン爺さん、白粉婆のトメさんなどの顔ぶれが揃っていた。
「久慈さんはもうコクリさんに料理を届けて来たんですか?」
「ああ、届けて来たよ。すごく喜んでくれてこれを貰った」
わたしの目の前に差し出されたのは昔懐かしい感じのペロペロキャンディー。
「よ、良かったですね。そんな古風なペロペロキャンディーは今じゃなかなか手に入りませんよ」
適当に返したけれど、久慈さんは嬉しそうにペロペロキャンディーを眺めていた。
それにしても、テーブルに並べられた色とりどりの料理が気になる。
当然やしあか食堂で作られた料理だろうから美味しくない筈がない。
さて、どれから食べてあげようかなぁ…
ワインを一口呑んだあと、ホタテのカルパッチョに手を伸ばし口に入れた。
「ん~、期待通りの美味しさ」
火で炙ってある部分が香ばしく、オリーブオイルを使っているのか滑らかな舌触りに、上質な塩のお陰で素材の旨味が十分引き出されている。
「うん、うまいうまい!」
左隣の席に座る久慈さんが相変わらずガツガツと食べて、ホタテのカルパッチョの皿はあっという間に空になった。
個別の料理で良かったぁ…と、しみじみ思う。
「ほれ、モン爺さんあ~んじゃ、あ~んせい」
トメさんがホタテのカルパッチョをフォークで突き刺し、モン爺さんの口に入れようとしている。
「こ、こんなところで恥ずかしい。やめんかい」
モン爺さんは照れて顔を赤くしながら口を開けるのを拒んでいる。
「いい歳して何が恥ずかしいんじゃ、ほれぇ!」
「むぐぅ!」
トメさんはモン爺さんの口の中に、カルパッチョを力づくで押し込んだ。
リンさんがそう言うと、会場の全員が白ワインの注がれたグラスを手に持つ。
「紗理ッち~はい、どうぞ」
「あ、ワラさん、ありがとうございます」
双子の猫娘のワラさんとカヤさんがメイド服姿で現れ、園長とテグンさんとわたしにグラスを渡した。
「みなさん準備は出来ましたね~!…では行きます。やしあか動物園と新入社員紗理ッちの前途を祝してかんぱーーーい!」
「「「「「かんぱーーーい!」」」」」
わたしを含めたほぼ全員がワインをグイッと呑んだあと、会場に大きな拍手が沸き起こった。
「ではみなさん!暫くのあいだもりもり食べてじゃんじゃん呑んでください!」
テグンさんがそう言って一区切りし、自由な飲食タイムがスタートした。
「紗理っち~!こっちこっち!」
久慈さんがわたしに手を振って呼び掛けたので、手を振って返しそのテーブルへ向かう。
テーブルにはやしあか温泉で会った紅葉のコウさん、百々爺のモン爺さん、白粉婆のトメさんなどの顔ぶれが揃っていた。
「久慈さんはもうコクリさんに料理を届けて来たんですか?」
「ああ、届けて来たよ。すごく喜んでくれてこれを貰った」
わたしの目の前に差し出されたのは昔懐かしい感じのペロペロキャンディー。
「よ、良かったですね。そんな古風なペロペロキャンディーは今じゃなかなか手に入りませんよ」
適当に返したけれど、久慈さんは嬉しそうにペロペロキャンディーを眺めていた。
それにしても、テーブルに並べられた色とりどりの料理が気になる。
当然やしあか食堂で作られた料理だろうから美味しくない筈がない。
さて、どれから食べてあげようかなぁ…
ワインを一口呑んだあと、ホタテのカルパッチョに手を伸ばし口に入れた。
「ん~、期待通りの美味しさ」
火で炙ってある部分が香ばしく、オリーブオイルを使っているのか滑らかな舌触りに、上質な塩のお陰で素材の旨味が十分引き出されている。
「うん、うまいうまい!」
左隣の席に座る久慈さんが相変わらずガツガツと食べて、ホタテのカルパッチョの皿はあっという間に空になった。
個別の料理で良かったぁ…と、しみじみ思う。
「ほれ、モン爺さんあ~んじゃ、あ~んせい」
トメさんがホタテのカルパッチョをフォークで突き刺し、モン爺さんの口に入れようとしている。
「こ、こんなところで恥ずかしい。やめんかい」
モン爺さんは照れて顔を赤くしながら口を開けるのを拒んでいる。
「いい歳して何が恥ずかしいんじゃ、ほれぇ!」
「むぐぅ!」
トメさんはモン爺さんの口の中に、カルパッチョを力づくで押し込んだ。
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