やしあか動物園の妖しい日常

流川おるたな

くじっちのブログ

「事務所に着いたらホームページの更新をよろしく頼むよ」

「はい!了解です」

 ホームページの更新の仕方は昨日習ったばかりだ。頑張ってやってみよう!

 事務所に着きパソコンを立ち上げ、やしあか動物園のホームページにログインする。
 動物の勉強も兼ねてホームページの更新を始めた。
 久慈さんから新しい動物の画像と、説明文のデータを受け取り、順調に切り貼りして行く。

「そのうちでいいからさ、新人飼育員の奮闘記みたいなブログを開設して欲しいんだ。黒川さんに出来そうかな?」

 ブログかぁ、文章を考えるのは得意ではないけれど、それほど苦手でもないし…

「やってみます!あの、参考になる文章データとか残っていたら見たいんですけど」

「それだったらホームページのアーカイブに、僕の作ったブログのデータが有る筈だから見てみるといいよ。前もって言っておくけど大した文章じゃないからね」

「アーカイブ、アーカイブっと、あっ、ありました!」

 タイトルは「新人飼育員くじっちの動物日記」、久慈さんのイメージと違うタイトルに思わず笑ってしまいそうになる。

 ブログの日付を確認すると、ほぼ毎日のようにブログの更新がされていた。

「久慈さんて結構まじめにブログに取り組んでたんですねぇ」

「僕は文章を考えるのが苦手だったから最初は苦労したよ」

「ふ~ん、そうだったんですね…」

 過去のブログを最初から読んでみると、確かに久慈さんの苦労が文章に表れている。

 そこから20分くらい閲読したけれど、徐々に文章が上手になって行くのが分かり、動物との触れ合いなどが面白おかしく書かれていた。流石に妖怪に関する記事は一切無い。

 読み終わった頃には、「よし!久慈さんに負けないようなブログを考えるぞ!」と意気込んでいた。

「ふい~、腹減ったなぁ。黒川さん、今日の昼食はどうするの?」

 久慈さんに言われて時間に気付き、急にお腹が減って来た。

「仕事の時のお昼は、やしあか食堂で食べる事に決めてあります!行きましょう久慈さん!」

 日替わり定食はなんだろう?楽しみ~♪
 やしあか食堂の中に入ると今日も人が多くて賑やかだった。
 早速日替わり定食が何かを確認する。
 ふむふむ、ロースかつとカニクリームコロッケ定食!最高じゃないですか~!よ、よだれが… 

「わたしは日替わり定食にしますけど、久慈さんも同じで良いですか?注文を書いて渡して来ますよ」

「お、ありがとう。じゃあ僕も日替わりで良いよ。先に部屋に行っとくね」

 久慈さんは社員用の部屋へ向かった。
 メモ用紙に日替わり定食2つと書いて振り向くと、双子の猫娘のワラさんが見えた。

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