やしあか動物園の妖しい日常

流川おるたな

絶品!日替わり定食

 肉自体の味と食感も良く抜群に美味い!

 これはエビフライにもかなり期待してしまう。

「サクッ」

 う~、期待通りの味と食感でエビの旨味もしっかりしている!

 なんだこの定食...最高か!?と思うほどの完成度の高さ。

 わたしが至高の日替わり定食で幸せなひと時を堪能していると。

「ご馳走様」

 早っ!?久慈さんが手を合わせて食事の締めをしていた。

「久慈さん食べるの早過ぎじゃないですか?もっと味わって食べたら良いのに」

 おっと、気持ちが入ってしまい、人のペースについ余計な口出しをしてしまった。

「いやあ、黒川さんが幸せそうな顔して食べてるから、声も掛けづらくて黙々と食べるしかなかったんだよ」

 うっ!?何だか非常に申し訳ない...

「すみません。夢中になると自分の世界に入り込んでしまって、周りが見えなくなる事があるんです」

 久慈さんがわたしの顔を見てニコッとする。

「うん、そうみたいだねぇ。食事するのを見てて良く分かったよ。でも、決して悪い事では無いし、僕も嬉しい気分になれたから良いんじゃないかな?」

「そう言って貰えると助かります。あの、もう少し時間掛かりますけど良いですか?」

 この絶品日替わり定食をゆっくり味わって食べたい。

「僕はスマホでもいじってるから、黒川さんのペースで全然構わないよ」

「では、お言葉に甘えさせていただきます」

 わたしは食事を再開してゆっくりしと味わいながら食べた。

「ん~!美味しい!」

 

 たっぷりと食事を堪能して休憩を取り、リフレッシュして午後のお仕事開始!
 と言っても何をするのかすら知らない。

「午後は1時間ほど担当の場所に戻って、観覧に来るお客さんに動物の紹介などをするんだ。黒川さんは初日で勝手が分からないだろうから、僕が実際に接客してるのを見て勉強すると良いよ」

「はい!しっかり見て勉強します!」

 わたしと久慈さんはやしあか食堂を出て、徒歩で担当の場所へと向かった。

 仕事とは関係無いけれど、歩きながらやしあか食堂について訊いてみる。

「あの、やしあか食堂の料理ってどんな人が作ってるんですか?美味しすぎて気になったんですよねぇ」

「ハハハ、黒川さんもやしあか食堂を気に入ってくれたみたいだね。え~っと、料理はスタッフ三人で作ってるんだけど、その中の料理長をやってる妖怪が凄いんだ」

「あっ!?そうですよね。作ってるのは妖怪ですよね」

 妖怪が料理するイメージが全く持って湧かない。
 それに一瞬だけど忘れていた。園内で働いている人間はわたし達だけで、あとはみんな妖怪だということを。

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