やしあか動物園の妖しい日常
動物と妖怪
「黒川さん、魔法を使うのは構いませんが、使う時は十分な注意を払ってください!」
何事も無かったかのように眼鏡の位置を直す久慈さん。素敵です。嘘です。
「すみません気をつけます!それより久慈さんが無事で元気そうで何よりです!」
この言葉に嘘は無い。本当に無事で良かったし、わたしの人生もう終わらなくて良かった。
「取り敢えずこの飼料袋を整理してくれないか?それで給餌の準備は完了だ」
「了解です!直ぐに整理しますね!」
今度は反省点を踏まえて、魔法を使い丁寧に動かして飼料袋を整理した。
「お、流石は魔女さんだ。仕事が早いねぇ」
「いえいえ、でもここでは魔法が使えるので力仕事も大丈夫そうです」
家の中以外で魔法を使うのは本当に久しぶりで解放感があった。ヘマもしてしまったけれど、初仕事で褒められたのはとびきり嬉しい。
「今朝は別の人がここの清掃をしてくれたけど、明日からは出勤後に軽いミーティングをしたあと、ここに来て掃除からするんだよ」
「了解です!掃除が先ですね!」
そのあと、久慈さんから掃除用具の保管場所と掃除の仕方を教わり、わたしの担当する動物たちの健康チェックを兼ねて、動物と妖怪を紹介してもらった。
「見れば分かると思うけど、この柵の中に居るのは羊のコリデール種だよ。で、あそこに穴を掘って顔を出してるのが墳羊(ふんよう)という妖怪のラゴスさん」
柵の角に穴があって一見普通の羊に見えるけど、明らかに他の羊とは顔や雰囲気が違う。
「ラゴスさんはお客さんが来てる時もああしてるんですか?」
あのままでも問題は無さそうだけれど、お客さんから注目の的にもなりそうな...
「あの穴の横に穴があって、その更に奥の穴に棲家を作っててね。開園中は姿を現さずに多分ずっと寝てると思うよ」
「そうなんですねぇ。何だかぐうたらな妖怪さん」
牛女のトクさんや旅人馬のシーバさんは、ちゃんと他の動物と同じ姿になって仕事してるのに...墳羊のラゴスさんはちょっとずるいような気がする。
「こっちが山羊の柵。あそこに禍々しい妖気を出してる片足の山羊が見えるだろ。遥々沖縄の宮古島から来た片足(かたぱぐ)ピンザと云われる妖怪だ。地元では人の魂を抜いたり、呪ったりすると伝わってるらしい」
話しを聞いたわたしはゾッとして青くなった。
「な、何ですかそれー!魂抜いたり、呪いをかけたりって...危なすぎるじゃないですかーっ!」
「あ、だから危険過ぎるという事で、園長にその能力は封じられてるから心配ないよ」
「そ、それは良かったです。少しは安心しました」
片足ピンザさんには出来るだけ近づかないようにしよう。
何事も無かったかのように眼鏡の位置を直す久慈さん。素敵です。嘘です。
「すみません気をつけます!それより久慈さんが無事で元気そうで何よりです!」
この言葉に嘘は無い。本当に無事で良かったし、わたしの人生もう終わらなくて良かった。
「取り敢えずこの飼料袋を整理してくれないか?それで給餌の準備は完了だ」
「了解です!直ぐに整理しますね!」
今度は反省点を踏まえて、魔法を使い丁寧に動かして飼料袋を整理した。
「お、流石は魔女さんだ。仕事が早いねぇ」
「いえいえ、でもここでは魔法が使えるので力仕事も大丈夫そうです」
家の中以外で魔法を使うのは本当に久しぶりで解放感があった。ヘマもしてしまったけれど、初仕事で褒められたのはとびきり嬉しい。
「今朝は別の人がここの清掃をしてくれたけど、明日からは出勤後に軽いミーティングをしたあと、ここに来て掃除からするんだよ」
「了解です!掃除が先ですね!」
そのあと、久慈さんから掃除用具の保管場所と掃除の仕方を教わり、わたしの担当する動物たちの健康チェックを兼ねて、動物と妖怪を紹介してもらった。
「見れば分かると思うけど、この柵の中に居るのは羊のコリデール種だよ。で、あそこに穴を掘って顔を出してるのが墳羊(ふんよう)という妖怪のラゴスさん」
柵の角に穴があって一見普通の羊に見えるけど、明らかに他の羊とは顔や雰囲気が違う。
「ラゴスさんはお客さんが来てる時もああしてるんですか?」
あのままでも問題は無さそうだけれど、お客さんから注目の的にもなりそうな...
「あの穴の横に穴があって、その更に奥の穴に棲家を作っててね。開園中は姿を現さずに多分ずっと寝てると思うよ」
「そうなんですねぇ。何だかぐうたらな妖怪さん」
牛女のトクさんや旅人馬のシーバさんは、ちゃんと他の動物と同じ姿になって仕事してるのに...墳羊のラゴスさんはちょっとずるいような気がする。
「こっちが山羊の柵。あそこに禍々しい妖気を出してる片足の山羊が見えるだろ。遥々沖縄の宮古島から来た片足(かたぱぐ)ピンザと云われる妖怪だ。地元では人の魂を抜いたり、呪ったりすると伝わってるらしい」
話しを聞いたわたしはゾッとして青くなった。
「な、何ですかそれー!魂抜いたり、呪いをかけたりって...危なすぎるじゃないですかーっ!」
「あ、だから危険過ぎるという事で、園長にその能力は封じられてるから心配ないよ」
「そ、それは良かったです。少しは安心しました」
片足ピンザさんには出来るだけ近づかないようにしよう。
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