H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。
第77話 イザナギノツクヨミ
「6カ国連合軍全艦隊へ。
こちらは、邪馬台国軍・総母艦ヒミコ。
私は邪馬台国の摂政を務める瑞希である。
既にご存知かと思うが、この世界は、我が国の女王が、生まれ育った世界である。
今、この世界の人類は、あの巨大な人型機動兵器デウスエクスマキナ・テトラグラマトンにより、滅亡の危機に瀕している。
あの機体は、この世界に住む人間によって作られたものではあるが、その中にはこの世界を七日間で作ったとされる神が宿っているという。
つまり、あれは機械仕掛けの神だ。
あれは大洪水を起こし、雷を落とし、海を割り、この世界の文明すべてを破壊しようとしている。
あれは、かつては神であったかもしれない。
だが、今となってはこの世界を滅ぼす、ただの邪神である。
何故、他国の女王の生まれ育った世界を、自分たちが助けねばならぬのかと思う者もいるだろう。
だから、聞いてほしい。
遠い昔、我々の住む世界と、この世界はひとつであったという。
なぜ世界が二つにわかたれてしまったのかはわからないが……
すでに、大洪水が起き、この世界の大半は海水により沈んでしまったが、かつてのこの世界の地図と、我々の住む世界の地図を重ね合わせてもらえたなら、ふたつの世界が本来ひとつであったことをきっと信じてもらえることだろう。
我々の世界には、この世界のことを記した文献は一切ないが、この世界には我々6カ国のことを記した文献が数多く存在する。
つまりは、この世界こそが、我々の故郷なのだ。
我々の故郷が、あの機械仕掛けの神に蹂躙されている。
この世界にはもう、あれと戦える存在は、一隻だけだという。
そして、あれはこの世界を破壊し尽くしたあと、おそらく我々の世界へと転移してくるであろう。
あれは、我々の世界のためにも、ここで破壊しなければならない存在である。
これより、我ら6カ国連合軍は、デウスエクスマキナ・テトラグラマトンに対し全艦隊一斉射撃を行った後、各艦は搭載する人型機動兵器を全機投入による……
な、なんだ、あれは……?
アメノトリフネ?
いや、邪馬台国に来たときと形状が違う……
主砲らしきものが数えきれないくらいあるし、ミサイルポッドもあんなに……なんてすごい早さだ……あんなに巨大なものが、どうしてあんな早さで……
まるで攻撃とスピードだけに特化したような……防御や回避を考えていないように見える……
それに、なぜ戦艦の中心に人型機動兵器が……まるで戦艦を背負っているよう……いや、操縦しているのか……?」
「えーっと、邪馬台国と、蓬来軒と、昔いた歌手の平原なんとかみたいな……あと、ムーとアトランティスと、レ、レ、レのなんとかのみんな、聞いてくれ。
こちらは、この世界に唯一残された戦艦アメノトリフネだ」
「ヒサヒト、情報は正確に。
これは、アメノトリフネだったもの。
戦艦形態のアメノトリフネ・アマテラスが変形し、今はわたしたちが乗る人型機動兵器カミシロ・イザナギのための超大型強化ユニットへと姿を変え、アメノトリフネ・ツクヨミとなり、イザナギと連結したアメノトリフネ・ツクヨミは、イザナギノツクヨミというの」
「アイコちゃん?
すごーくしっかりしてきたのは、うれしいけど、今の説明、俺ですらポカーンだよ?
まあ、いっか、そして、俺は、邪馬台国の現女王の弟、ヒサヒトだ」
「わたしは、邪馬台国の現女王やヒサヒトのいとこにあたる、アイコ」
「戦艦であるアメノトリフネが変形して、人型機動兵器の強化ユニットに……?
地上の科学レベルは一体どうなってるんだ……?」
「わざわざ、この世界まできてもらって、これから全艦一斉射撃、からの人型機動兵器全機投入ってところ悪いんだけどさ、このテトラグラマトンてやつには俺たち結構ハラワタが煮えくり返ってて、最初の一発はどうしても俺たちにやらせてほしいんだけど、いいかな?」
「しかたありませんね……
それでは、作戦を変更します
イザナギノツクヨミの攻撃を合図に、6カ国連合軍全艦隊は一斉……」
イザナギノツクヨミから発射された13発の主砲と666発のミサイルは、テトラグラマトンのヒヒイロカネで出来た皮膜をすべて破壊した。
「あいつは、ヒヒイロカネとオリハルコンていう二つの神の金属で出来てる。
今、その片方を破壊した」
「やれやれせっかちなお人だ……、我が女王の弟君は……」
作戦変更指揮の途中で言葉を遮られた瑞希は、あれがいつかは、義理の弟になるかと思うと、気が重かった。
しかし、ああいうところもまた、彼に備わっていた真王の資質であるのなら……
いや、とても真似できそうにないし、したくない……
と、思い直すと、6カ国連合軍全艦隊への一斉射撃を命じた。
こちらは、邪馬台国軍・総母艦ヒミコ。
私は邪馬台国の摂政を務める瑞希である。
既にご存知かと思うが、この世界は、我が国の女王が、生まれ育った世界である。
今、この世界の人類は、あの巨大な人型機動兵器デウスエクスマキナ・テトラグラマトンにより、滅亡の危機に瀕している。
あの機体は、この世界に住む人間によって作られたものではあるが、その中にはこの世界を七日間で作ったとされる神が宿っているという。
つまり、あれは機械仕掛けの神だ。
あれは大洪水を起こし、雷を落とし、海を割り、この世界の文明すべてを破壊しようとしている。
あれは、かつては神であったかもしれない。
だが、今となってはこの世界を滅ぼす、ただの邪神である。
何故、他国の女王の生まれ育った世界を、自分たちが助けねばならぬのかと思う者もいるだろう。
だから、聞いてほしい。
遠い昔、我々の住む世界と、この世界はひとつであったという。
なぜ世界が二つにわかたれてしまったのかはわからないが……
すでに、大洪水が起き、この世界の大半は海水により沈んでしまったが、かつてのこの世界の地図と、我々の住む世界の地図を重ね合わせてもらえたなら、ふたつの世界が本来ひとつであったことをきっと信じてもらえることだろう。
我々の世界には、この世界のことを記した文献は一切ないが、この世界には我々6カ国のことを記した文献が数多く存在する。
つまりは、この世界こそが、我々の故郷なのだ。
我々の故郷が、あの機械仕掛けの神に蹂躙されている。
この世界にはもう、あれと戦える存在は、一隻だけだという。
そして、あれはこの世界を破壊し尽くしたあと、おそらく我々の世界へと転移してくるであろう。
あれは、我々の世界のためにも、ここで破壊しなければならない存在である。
これより、我ら6カ国連合軍は、デウスエクスマキナ・テトラグラマトンに対し全艦隊一斉射撃を行った後、各艦は搭載する人型機動兵器を全機投入による……
な、なんだ、あれは……?
アメノトリフネ?
いや、邪馬台国に来たときと形状が違う……
主砲らしきものが数えきれないくらいあるし、ミサイルポッドもあんなに……なんてすごい早さだ……あんなに巨大なものが、どうしてあんな早さで……
まるで攻撃とスピードだけに特化したような……防御や回避を考えていないように見える……
それに、なぜ戦艦の中心に人型機動兵器が……まるで戦艦を背負っているよう……いや、操縦しているのか……?」
「えーっと、邪馬台国と、蓬来軒と、昔いた歌手の平原なんとかみたいな……あと、ムーとアトランティスと、レ、レ、レのなんとかのみんな、聞いてくれ。
こちらは、この世界に唯一残された戦艦アメノトリフネだ」
「ヒサヒト、情報は正確に。
これは、アメノトリフネだったもの。
戦艦形態のアメノトリフネ・アマテラスが変形し、今はわたしたちが乗る人型機動兵器カミシロ・イザナギのための超大型強化ユニットへと姿を変え、アメノトリフネ・ツクヨミとなり、イザナギと連結したアメノトリフネ・ツクヨミは、イザナギノツクヨミというの」
「アイコちゃん?
すごーくしっかりしてきたのは、うれしいけど、今の説明、俺ですらポカーンだよ?
まあ、いっか、そして、俺は、邪馬台国の現女王の弟、ヒサヒトだ」
「わたしは、邪馬台国の現女王やヒサヒトのいとこにあたる、アイコ」
「戦艦であるアメノトリフネが変形して、人型機動兵器の強化ユニットに……?
地上の科学レベルは一体どうなってるんだ……?」
「わざわざ、この世界まできてもらって、これから全艦一斉射撃、からの人型機動兵器全機投入ってところ悪いんだけどさ、このテトラグラマトンてやつには俺たち結構ハラワタが煮えくり返ってて、最初の一発はどうしても俺たちにやらせてほしいんだけど、いいかな?」
「しかたありませんね……
それでは、作戦を変更します
イザナギノツクヨミの攻撃を合図に、6カ国連合軍全艦隊は一斉……」
イザナギノツクヨミから発射された13発の主砲と666発のミサイルは、テトラグラマトンのヒヒイロカネで出来た皮膜をすべて破壊した。
「あいつは、ヒヒイロカネとオリハルコンていう二つの神の金属で出来てる。
今、その片方を破壊した」
「やれやれせっかちなお人だ……、我が女王の弟君は……」
作戦変更指揮の途中で言葉を遮られた瑞希は、あれがいつかは、義理の弟になるかと思うと、気が重かった。
しかし、ああいうところもまた、彼に備わっていた真王の資質であるのなら……
いや、とても真似できそうにないし、したくない……
と、思い直すと、6カ国連合軍全艦隊への一斉射撃を命じた。
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