H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。
第55話 エビスサブロー伝④
邪馬台国の女王は、エビスサブローたちを温かく出迎えた。
「お久しぶりです。エビスサブロー様。その節は大変ありがとうございました」
ヒサヒトの姉は、命の恩人との再会によろこび、改めて感謝の言葉を述べた。
「突然の訪問とぶしつけな質問を先に謝罪させてくれ。
こちらにイザナギ様はこられていないか?」
「いらっしゃいますよ、ヒサヒトや、アメノトリフネのみなさんも一緒です」
「アメノトリフネも? そうか、無事だったのか」
「アメノトリフネの皆さんから、アイコがとても強い力を得たと聞いております。
サブロー様が以前わたしをここにつれてきてくださったように、アメノトリフネごと転移してきたとか」
「なるほど。大破し爆発したためにオーストラリア大陸がなくなったわけではなく、アメノトリフネほど大きな戦艦ごと転移をしたから、あんな惨状になってしまったということか」
「至急イザナミ様に会いたい。とりついでくれないか」
「お前、女王様に対して、先ほどからなんという口の聞き方だ」
女王のそばにいた少年・瑞希が、サブローをたしなめる。
「いいのです、ホープ。この方はわたしの命の恩人なのですから」
「よくはありません!
こんなどこの馬の骨ともわからぬ男が、女王様にむかってあんな口の聞き方をするだなんて」
この少年とは、過去に一度会っているような気がしたが、忘れられてしまったのだろうか。
「私はエビスサブローという。
黄泉の国の女王イザナミ様の従者にして、イザナギに代わる夫。
そして、この双子は、イザナミ様とわたしのこどもだ。
これでも、一応は皆、神になるのだが
女王様だけでなく、そなたにも口の聞き方を気を付けたほうがいいなら、そうする」
「大変失礼致しました。ヒサヒト様やイザナギ様はこちらでございます」
瑞希ホープという少年は、顔中に冷や汗をかきながら、態度を一変させサブローらを案内する気になったようだ。
少年の後ろを歩きながら、サブローは女王をふりかえる。
「はじめて会ったときより、元気になられましたね。
それに、以前にも増して美しくなられた。
あなたには、人を元気にする、人を変える力がある。
私はあなたのことがとても好きですよ」
自分でも何故そんなことを口にしたのか、わからなかったが、それはサブローの本音だった。
「ありがとう。うれしい」
「地上は今、戦争終結に向かっています。
あとは教会とそのトップにいる不老不死の者たちを片付けるだけ。まだ、その上には、不老不死の体を得た聖者と聖母がいますが……
多くの国が滅び、大陸ごと失われた場所もあります。人口はかつての1/15以下になってしまいました。
ですが、ご安心を。
この世界が、邪馬台国が、同様の危機を迎えてしまわないように致します。必ずお約束致します」
「サブロー様?」
「なんです?」
「戦争が終結を迎えたら……もし、わたしのことがお嫌いではなかったなら……いえ、なんでもありません」
「そのときがきたなら、あなたが今口にしようとした言葉は、私からあなたへちゃんと……」
「わかりました。いつまででもお待ちしています」
サブローは、自ら死亡フラグを立ててしまったことはもちろん、後ろを歩く双子について、とてもとても大事な、双子がまだ知らない事実を思わず口にしてしまっていたことに、まだ気づいてはいなかった。
「お久しぶりです。エビスサブロー様。その節は大変ありがとうございました」
ヒサヒトの姉は、命の恩人との再会によろこび、改めて感謝の言葉を述べた。
「突然の訪問とぶしつけな質問を先に謝罪させてくれ。
こちらにイザナギ様はこられていないか?」
「いらっしゃいますよ、ヒサヒトや、アメノトリフネのみなさんも一緒です」
「アメノトリフネも? そうか、無事だったのか」
「アメノトリフネの皆さんから、アイコがとても強い力を得たと聞いております。
サブロー様が以前わたしをここにつれてきてくださったように、アメノトリフネごと転移してきたとか」
「なるほど。大破し爆発したためにオーストラリア大陸がなくなったわけではなく、アメノトリフネほど大きな戦艦ごと転移をしたから、あんな惨状になってしまったということか」
「至急イザナミ様に会いたい。とりついでくれないか」
「お前、女王様に対して、先ほどからなんという口の聞き方だ」
女王のそばにいた少年・瑞希が、サブローをたしなめる。
「いいのです、ホープ。この方はわたしの命の恩人なのですから」
「よくはありません!
こんなどこの馬の骨ともわからぬ男が、女王様にむかってあんな口の聞き方をするだなんて」
この少年とは、過去に一度会っているような気がしたが、忘れられてしまったのだろうか。
「私はエビスサブローという。
黄泉の国の女王イザナミ様の従者にして、イザナギに代わる夫。
そして、この双子は、イザナミ様とわたしのこどもだ。
これでも、一応は皆、神になるのだが
女王様だけでなく、そなたにも口の聞き方を気を付けたほうがいいなら、そうする」
「大変失礼致しました。ヒサヒト様やイザナギ様はこちらでございます」
瑞希ホープという少年は、顔中に冷や汗をかきながら、態度を一変させサブローらを案内する気になったようだ。
少年の後ろを歩きながら、サブローは女王をふりかえる。
「はじめて会ったときより、元気になられましたね。
それに、以前にも増して美しくなられた。
あなたには、人を元気にする、人を変える力がある。
私はあなたのことがとても好きですよ」
自分でも何故そんなことを口にしたのか、わからなかったが、それはサブローの本音だった。
「ありがとう。うれしい」
「地上は今、戦争終結に向かっています。
あとは教会とそのトップにいる不老不死の者たちを片付けるだけ。まだ、その上には、不老不死の体を得た聖者と聖母がいますが……
多くの国が滅び、大陸ごと失われた場所もあります。人口はかつての1/15以下になってしまいました。
ですが、ご安心を。
この世界が、邪馬台国が、同様の危機を迎えてしまわないように致します。必ずお約束致します」
「サブロー様?」
「なんです?」
「戦争が終結を迎えたら……もし、わたしのことがお嫌いではなかったなら……いえ、なんでもありません」
「そのときがきたなら、あなたが今口にしようとした言葉は、私からあなたへちゃんと……」
「わかりました。いつまででもお待ちしています」
サブローは、自ら死亡フラグを立ててしまったことはもちろん、後ろを歩く双子について、とてもとても大事な、双子がまだ知らない事実を思わず口にしてしまっていたことに、まだ気づいてはいなかった。
コメント