H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。
第15話 アメノトリフネ
「自ら産み出したカオスヒューマンを破壊するとは。
我が王は、おもっていたよりエゴイストのようだ。
そういえば、日本神話の神々も、みなエゴイストの集まりでしたね」
「黙れ」
「すでに計画は進行しています
千人の使い物にならないヒヒイロカネから、使い物になるヒヒイロカネを作り出せば百体は八十三式の量産型を産み出せる。
あとは私の脳にある量産型の設計図を電気信号に変換し死体の山に流すだけ。
今私を殺せば、量産型を生み出すこともセカンドバベル攻略も不可能となる。
千人の民の死が無駄になる。
どうされます? ヒサヒト様」
「黙れと言っている」
「やれやれ、これだからお子様は困る。
ヤマヒトやアイコ様、女王アイリはあなたを甘やかしすぎた。
その場の感情で動き、先のことを考えようともしない。
セカンドバベルを破壊すれば、一億五千万の民がカオスヒューマンとして甦り、あなたは一億五千万の八十三式を持つ兵を手にし、この国を最強の軍事国家として再興することができるというのに。
教会を滅ぼし、セフィロトの樹を手に入れ、カオスさえも手にすることができる。
あなたはこの星の王になれるのですよ」
「そんなものに、俺がなりたいと思うか?」
「あなたの大好きなお姉さまを取り戻すことができるとしても?」
「なんだと?」
「お姉さまは生きておられます。
嫁がれた国は三年前に滅び、今は別の国に嫁がれている。
今、私の邪魔をすれば、お姉さまには永遠に会えなくなりますがいかがなさいます?」
ヒサヒトは、カルマを解いた。
「好きにしてくれ」
「ヒサヒト様!」
ミヤザキが叫ぶ。
「ミヤザキ、ここはあんたも引いてくれ。じゃないと俺はあんたを……」
コロサザルヲエナイ
「わかりました」
ミヤザキが苦虫を噛み潰したような顔をしたその瞬間、轟音がアンダーグラウンドに響き渡る。
「何が起きている!?」
「やはり、あの女狐が裏で動いていたか。東京のこの巨大な地下空間の正体は……」
「ヒサヒト!」
アンダーグラウンドに女王アイリの声が響いた。
「アイリ、何が起きている!?」
「ヒサヒト様、アンダーグラウンドが形を変えます。
衝撃にそなえ、何かにつかまってください」
「ヤマヒトもいるのか!?」
ヒサヒトは再びカルマをみにまとう。ミヤザキの腕を掴み、翼を広げ浮かび上がった。
「南北に分かたれた王族の血がひとつとなり、アメノトリフネが起動したのです」
「アメノトリフネ?」
「神話の時代からこの国に眠り続ける船です」
「ついに起動したか、アメノトリフネ!
これですべてが整った。
セカンドバベルもセフィロトももうどうだっていい。
我々はこの星にもう用はない。
二千年前にこの地に来訪した聖人は、古代宇宙飛行士だった。
我々は聖人の使者の子孫、この星を捨て、聖人のもとへと向かう運命にあるのだ!」
棗の高笑いが勘に触ったが、ヒサヒトはアンダーグラウンドが形を変え、地上に浮かび上がる光景に見とれていた。
まるでSF映画のように、超巨大質量の戦艦が空に浮かんでいた。
女王アイリが叫ぶ。
「これよりアメノトリフネによるセカンドバベル攻略作戦を開始する!
棗の、誉めてはやらぬが、せっかくの民の命、無駄にはさせぬぞ」
アイリは、それからため息をひとつつくと、
「すべてが終わったらアメノトリフネは貴様にくれてやる。
宇宙に旅立った聖人とやらを探したければ貴様ひとりで行くがいい」
吐き捨てるようにそう言った。
我が王は、おもっていたよりエゴイストのようだ。
そういえば、日本神話の神々も、みなエゴイストの集まりでしたね」
「黙れ」
「すでに計画は進行しています
千人の使い物にならないヒヒイロカネから、使い物になるヒヒイロカネを作り出せば百体は八十三式の量産型を産み出せる。
あとは私の脳にある量産型の設計図を電気信号に変換し死体の山に流すだけ。
今私を殺せば、量産型を生み出すこともセカンドバベル攻略も不可能となる。
千人の民の死が無駄になる。
どうされます? ヒサヒト様」
「黙れと言っている」
「やれやれ、これだからお子様は困る。
ヤマヒトやアイコ様、女王アイリはあなたを甘やかしすぎた。
その場の感情で動き、先のことを考えようともしない。
セカンドバベルを破壊すれば、一億五千万の民がカオスヒューマンとして甦り、あなたは一億五千万の八十三式を持つ兵を手にし、この国を最強の軍事国家として再興することができるというのに。
教会を滅ぼし、セフィロトの樹を手に入れ、カオスさえも手にすることができる。
あなたはこの星の王になれるのですよ」
「そんなものに、俺がなりたいと思うか?」
「あなたの大好きなお姉さまを取り戻すことができるとしても?」
「なんだと?」
「お姉さまは生きておられます。
嫁がれた国は三年前に滅び、今は別の国に嫁がれている。
今、私の邪魔をすれば、お姉さまには永遠に会えなくなりますがいかがなさいます?」
ヒサヒトは、カルマを解いた。
「好きにしてくれ」
「ヒサヒト様!」
ミヤザキが叫ぶ。
「ミヤザキ、ここはあんたも引いてくれ。じゃないと俺はあんたを……」
コロサザルヲエナイ
「わかりました」
ミヤザキが苦虫を噛み潰したような顔をしたその瞬間、轟音がアンダーグラウンドに響き渡る。
「何が起きている!?」
「やはり、あの女狐が裏で動いていたか。東京のこの巨大な地下空間の正体は……」
「ヒサヒト!」
アンダーグラウンドに女王アイリの声が響いた。
「アイリ、何が起きている!?」
「ヒサヒト様、アンダーグラウンドが形を変えます。
衝撃にそなえ、何かにつかまってください」
「ヤマヒトもいるのか!?」
ヒサヒトは再びカルマをみにまとう。ミヤザキの腕を掴み、翼を広げ浮かび上がった。
「南北に分かたれた王族の血がひとつとなり、アメノトリフネが起動したのです」
「アメノトリフネ?」
「神話の時代からこの国に眠り続ける船です」
「ついに起動したか、アメノトリフネ!
これですべてが整った。
セカンドバベルもセフィロトももうどうだっていい。
我々はこの星にもう用はない。
二千年前にこの地に来訪した聖人は、古代宇宙飛行士だった。
我々は聖人の使者の子孫、この星を捨て、聖人のもとへと向かう運命にあるのだ!」
棗の高笑いが勘に触ったが、ヒサヒトはアンダーグラウンドが形を変え、地上に浮かび上がる光景に見とれていた。
まるでSF映画のように、超巨大質量の戦艦が空に浮かんでいた。
女王アイリが叫ぶ。
「これよりアメノトリフネによるセカンドバベル攻略作戦を開始する!
棗の、誉めてはやらぬが、せっかくの民の命、無駄にはさせぬぞ」
アイリは、それからため息をひとつつくと、
「すべてが終わったらアメノトリフネは貴様にくれてやる。
宇宙に旅立った聖人とやらを探したければ貴様ひとりで行くがいい」
吐き捨てるようにそう言った。
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