H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。
第08話 彼女たちの名前を呼べ
「八十三式強化外骨格・混沌之壱番機、 同弐番機、セカンドバベルに侵入します」
「待ってくれ。太陽光エネルギーの照射だけじゃなく、ヤマヒトがそれに簡単に墜とされるほど強力なカオスが存在している可能性がある」
「確かに。外の守りを四大天使にさせているくらいだ。内の守りは七大天使の残り三天使にさせているかもしれないですね」
「まずは壱番機を偵察として」
「なあ」
アンダーグラウンドの作戦会議室。
ヒサヒトは、いらだっていた。
「壱番機の安全が確認できたら弐番機を」
「なあ!」
とうとう大声を上げた。
「なんです? ヒサヒト様」
棗がめんどくさそうに尋ねてきた。
「名前で呼んであげてよ。壱番機とか弐番機とかやめようよ」
ヒサヒトの言葉に棗はためいきをつき、
「壱番機の少女の名前は?」
オペレーターに問う。
「それすらも知らないのかよ」
「壱番機がイチカワアユカ、弐番機がツバイニジカです」
「どちらの能力が上になる? 能力の低い方をまず偵察に」
蒼い焔がヒサヒトの体から燃え上がる。
身体の所々にカルマが現れ、そこが燃えている。
「いい加減にしろ」
「壱番機、いえ、イチカワアユカ、セカンドバベルに侵入。敵性反応なし。
今のところ異常はありま……上空数百キロに熱源を感知。下からも熱源を確認」
「なるほど、そういうことか」
「高エネルギー反応、来ます」
「弐番機をもっと下がらせろ。巻き込まれるぞ」
「壱番機、消失」
「セカンドバベルの内部防衛システムは把握した。弐番機をすぐに回収しろ」
「棗、お前、自分が何をやってるかわかってるのか?」
「セカンドバベルの内部防衛システムの把握と、可能であればヤマヒトの救出。
それだけです」
「そのために、ひとりの女の子を犠牲にしたのか」
「本来なら存在するはずのなかった命です」
「アイコちゃん」
「今はアイリ」
「アイリ、こんなことまでしなきゃいけないのか? 俺たちがしているのは正しいことなのか?」
「これが戦争というものだと、わりきるしかありません」
「それが女王としての判断か?」
「はい」
「なら、俺は、俺の好きなようにさせてもらう」
ヒサヒトの全身をカルマが包み、蒼い焔がさらに燃え上がる。
「何をする気です?」
「セカンドバベルの内部防衛システムに探知されなければいいだけだろ?
ニジカちゃんって言ったな、その位置は安全か?」
ヒサヒトは、目にも止まらぬ速さでオペレーターから通信機を奪うと、弐番機の装着者に声をかけた。
「だれ? あなた?」
「あとで、ちゃんと自己紹介する」
「わかった。安全」
「レーダーに生命反応はあるか?」
「ある。大柄な男の人。死にかけてる」
「そいつのいる場所を送って」
「わかった」
その瞬間、作戦会議室からヒサヒトの姿が消えた。
「死ににいく気か。これだから子供は嫌いなんだ。すぐに感情的になる」
「早い・・・もう弐番機付近にヒサヒト様の反応があります。
この速さは、いわゆる加速装置というものでしょうか?」
「・・・そうだろうな。恐ろしい物を子供に持たせてしまったものだよ」
「ありがとな、ニジカちゃん。
君のお陰でヤマヒトを助けられる」
「ほめられた……」
「これからいくらでもほめてやる」
「頭も撫でてくれる?」
「ああ」
「うれしい。・・・あ、いそいで、あの人、あぶない」
「わかってる。ニジカちゃんはもう、もどってて」
「わかった」
「ヤマヒト、聞こえるか?」
「……ヒサヒト様?」
「すぐに助ける」
「い、いけません。セカンドバベルの内部防衛は」
「わかってる。システムに感知されなければいいだけだ。カルマならそれができる。
加速する。
俺の体はとりあえず死ななければいい。
頼むよ、カルマ。ヤマヒトがいなければ、たぶん俺たちの作戦は成功しない」
作戦会議室の誰もが固唾を飲んでヒサヒトを見守ろうとしたが、次の瞬間にはヒサヒトがヤマヒトを抱き抱えて、作戦会議室にいた。
「榊先生を早く」
そういうと、ヒサヒトは意識を失い、崩れ落ちた。
「待ってくれ。太陽光エネルギーの照射だけじゃなく、ヤマヒトがそれに簡単に墜とされるほど強力なカオスが存在している可能性がある」
「確かに。外の守りを四大天使にさせているくらいだ。内の守りは七大天使の残り三天使にさせているかもしれないですね」
「まずは壱番機を偵察として」
「なあ」
アンダーグラウンドの作戦会議室。
ヒサヒトは、いらだっていた。
「壱番機の安全が確認できたら弐番機を」
「なあ!」
とうとう大声を上げた。
「なんです? ヒサヒト様」
棗がめんどくさそうに尋ねてきた。
「名前で呼んであげてよ。壱番機とか弐番機とかやめようよ」
ヒサヒトの言葉に棗はためいきをつき、
「壱番機の少女の名前は?」
オペレーターに問う。
「それすらも知らないのかよ」
「壱番機がイチカワアユカ、弐番機がツバイニジカです」
「どちらの能力が上になる? 能力の低い方をまず偵察に」
蒼い焔がヒサヒトの体から燃え上がる。
身体の所々にカルマが現れ、そこが燃えている。
「いい加減にしろ」
「壱番機、いえ、イチカワアユカ、セカンドバベルに侵入。敵性反応なし。
今のところ異常はありま……上空数百キロに熱源を感知。下からも熱源を確認」
「なるほど、そういうことか」
「高エネルギー反応、来ます」
「弐番機をもっと下がらせろ。巻き込まれるぞ」
「壱番機、消失」
「セカンドバベルの内部防衛システムは把握した。弐番機をすぐに回収しろ」
「棗、お前、自分が何をやってるかわかってるのか?」
「セカンドバベルの内部防衛システムの把握と、可能であればヤマヒトの救出。
それだけです」
「そのために、ひとりの女の子を犠牲にしたのか」
「本来なら存在するはずのなかった命です」
「アイコちゃん」
「今はアイリ」
「アイリ、こんなことまでしなきゃいけないのか? 俺たちがしているのは正しいことなのか?」
「これが戦争というものだと、わりきるしかありません」
「それが女王としての判断か?」
「はい」
「なら、俺は、俺の好きなようにさせてもらう」
ヒサヒトの全身をカルマが包み、蒼い焔がさらに燃え上がる。
「何をする気です?」
「セカンドバベルの内部防衛システムに探知されなければいいだけだろ?
ニジカちゃんって言ったな、その位置は安全か?」
ヒサヒトは、目にも止まらぬ速さでオペレーターから通信機を奪うと、弐番機の装着者に声をかけた。
「だれ? あなた?」
「あとで、ちゃんと自己紹介する」
「わかった。安全」
「レーダーに生命反応はあるか?」
「ある。大柄な男の人。死にかけてる」
「そいつのいる場所を送って」
「わかった」
その瞬間、作戦会議室からヒサヒトの姿が消えた。
「死ににいく気か。これだから子供は嫌いなんだ。すぐに感情的になる」
「早い・・・もう弐番機付近にヒサヒト様の反応があります。
この速さは、いわゆる加速装置というものでしょうか?」
「・・・そうだろうな。恐ろしい物を子供に持たせてしまったものだよ」
「ありがとな、ニジカちゃん。
君のお陰でヤマヒトを助けられる」
「ほめられた……」
「これからいくらでもほめてやる」
「頭も撫でてくれる?」
「ああ」
「うれしい。・・・あ、いそいで、あの人、あぶない」
「わかってる。ニジカちゃんはもう、もどってて」
「わかった」
「ヤマヒト、聞こえるか?」
「……ヒサヒト様?」
「すぐに助ける」
「い、いけません。セカンドバベルの内部防衛は」
「わかってる。システムに感知されなければいいだけだ。カルマならそれができる。
加速する。
俺の体はとりあえず死ななければいい。
頼むよ、カルマ。ヤマヒトがいなければ、たぶん俺たちの作戦は成功しない」
作戦会議室の誰もが固唾を飲んでヒサヒトを見守ろうとしたが、次の瞬間にはヒサヒトがヤマヒトを抱き抱えて、作戦会議室にいた。
「榊先生を早く」
そういうと、ヒサヒトは意識を失い、崩れ落ちた。
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