怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧

きゅーびー

じゃぱにーずかるちゃーいずくーる11


 中国解放戦による熱もある程度冷めた頃、日本が世界に先駆けて迷宮=ダンジョンに関しての法律案が審議され可決。

 世界で初めてダンジョンに関する法律が施行される事になった。

 足の引っ張り合いが大好きな日本の政治にしては異例の速さで法案が通った事に俺達日本国民は大いに驚いた。

 今回通った法案は主に4つ。

・迷宮基本法

・迷宮税法

・迷宮探索者法

・迷宮他種族法

 迷宮基本法では迷宮自体の入場制限や報告義務、迷宮内で得た素材に関する事等のダンジョンに関する基本的な決まり事や縛りが盛り込まれている。

 迷宮に関する法律の根幹を成す法律なので細かい決まりが定められていて、異様に項目が多い。

 迷宮税法は迷宮で得た収益に対する税に関しての事が決められ、基本的に迷宮で得た収益は非課税となる事になったが、あくまでも国が関与している段階までが非課税対象なので国を通さずに素材を販売をすれば課税対象になる他、下手すれば迷宮基本法によって違法になる事もある。

 迷宮探索者法は迷宮を探索する者に関しての制限や義務が定められており、迷宮に入るには迷宮探索者資格というものが新たに必要になった。

 迷宮探索者資格というのは国家資格で業務独占資格として新たに作られた資格で、国が定めた指定の訓練施設及び訓練課程、実力試験、迷宮基礎知識試験をクリアした者に与えられる事になった資格で特例により冒険者協会所属の一部人間とPCH所属の一部の人間に資格と訓練員、試験管としての義務が課せられた。

 ちなみに取得には年齢制限があり、16歳以上の者にしか資格は与えられない決まりとなっている。


 迷宮他種族法は迷宮生まれ、迷宮から現れた他種族に関する法律で一定の知能と対話能力、人類に対する敵対性の有無が調べられ、日本国内で問題無しと判定された者を日本国民として受け入れる為の法律だ。

 この法律は4つの新しい法律の中でも特に繊細で、最も裁定が難しいとされていて今後も改訂や改正が一番入ると予想されている。

 そもそもが人権に関する事なので扱いが難しい事もそうだが、ゴブリンやオークの様な人型のモンスターで一定の知性と対話が出来て敵対性が無いと日本国内で判断される前に迷宮探索者によって殺される可能性もある。

 色々と難しい問題は多いが、この法律によって日本国民認定されればダンジョン外を自由に出歩く事も可能となり、自由に生活出来る者達が増えるという希望が出来たのは俺達にとっては感謝しかない。

 ちなみに迷宮生まれ、迷宮から現れた種族の者達は特例処置として迷宮探索資格が無くても自身が住んでいた迷宮にだけは出入り可能になるらしい。

 なので今後は迷宮を区別する為に各ダンジョンに正式に名前を付ける事も決まったそうだ。

 日本は岐路に立たされ、大きく舵を切った。

 今後一般人からも迷宮探索者が生まれ、安定的にダンジョンを攻略し、ダンジョンとの共存共栄の道が現実的になって来た。

「もうすぐ半年か……千尋達の頑張りで日本は安泰……ダンジョン生まれの者達も外に出て行けるようになる……何とかここまで来れたな……」

 世界中でダンジョンが多数攻略され始めてはいるがモンスターが地上に溢れる地域が出てくる時期が差し迫って来た。

 日本国内だけを見ればモンスターが溢れる地域は少ない筈だが、取りこぼしは必ずある。

 世界が変わってから約半年が経過した。


 ☆ ☆ ☆


 深夜に一人で怠惰ダンジョンのコアルームに足を運んだ。

 久々にベル本体と二人で話したくなったから。

 始めは真っ白で殺風景だったコアルームは今やベルの趣味部屋と化していた。

 受肉ベル手作りのフィギュアや武器防具の数々、受肉ベルが生活する為の家具や道具が所狭しと配置されている。

「よぉ。久しぶり!ベル!」

『はいマスター!今日はどうされましたか?』

「いや、なに……偶にはお前と話をしようと思ってな……」

『何やらセンチメンタルな感じですね!お話であれば私の体とした方が楽では無いですか?』

「まぁ、偶には良いだろ?」

『そういうものですか?』

「まぁな!そういう気分って奴だよ……やっと半年、もう半年、俺がお前と出会ってから半年経ったな……世界はどうなると思う?」

『そうですねぇ……各国が頑張ってダンジョンを攻略しては居ますが、日本と比べてその数は少ないのでモンスターが地上に溢れ出して大混乱でしょうか!』

「まぁそうなるわな……俺達が出来る事はやって来れたかな?」

『はいマスター!国家間同士の柵がある中で出来得ることは成して来たと思いますよ!ちーちゃんの頑張りのおかげですね!』

「……そっか」

『ですです!』

 暫しの沈黙。

 俺はこの激動の半年を振り返る。

 世界が変わった瞬間、神の様な存在による通告、自分に与えられたスキルと加護の凶悪さ、ベルとの出会い、千尋と純との結婚、妹の帰郷。

 俺の周りはいつも慌ただしかった。

 俺自身は特にやることも無く自由に怠惰に生活出来ていたと思う。






















「ありがとな、ベル!本当に感謝してるよ!お前が居なかったら俺は今頃どうなってたか……大罪スキル持ちの誰かに狙われて殺されてたかもな!…………ところでベル。一つだけ質問するから、正直に答えるって約束してくれるか?」

『なんですか、マスター?急に改まって?』

「良いから、約束してくれ」

 今まで恐くて聞けなかった事がある。

 ベルはとても優秀だし、俺の事を本当に考えてくれている。

 それは間違いない。

 だけどベルは俺に秘密にしている事が多い、それは俺に言う必要が無いからだとは思う。

 それでも俺は聞きたい。

『はいマスター!約束します。マスターの質問に正直に答えると……』

 別に大したことじゃない、俺にとっては利がある事だ。

 敢えてベルが言わなかっただけの話だ。

 気付いたというか、俺が状況的にそうなんだろうなと予想しているだけの事でもしかしたら俺の勘違いの可能性もある。

 俺は無駄に考え過ぎてしまうから。

「今まで大罪スキル持ちを何人殺した?」







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