怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧

きゅーびー

じゃぱにーずかるちゃーいずくーる10


 中国解放戦もいよいよ大詰め、ネットに出回っているモンスターの出現位置情報から推測されるダンジョンと市街で暴れ回ったモンスターも大体が討伐を終えた。

 もう朝日が昇りきって、もうじきお昼になろうかという時間になった。

 丸々一日で俺達が出来る事はやれたと思う。

 この短時間で中国を解放出来たのは援軍として派遣された者達と中国の民間人の奮闘によるものだろう。

 特に市街地戦の攻防では俺達以外の民間の人がモンスターを討伐し、レベルを上げ自力で防衛していた事で早期解決と死傷者数の軽減に繋がった。

「人間やれば出来るもんだなぁ……」

「あぁ。私も少し人の力を見縊っていたよ……」

「追い詰められれば結構大胆な事が出来るのが人間の怖さだよね!」

「死傷者は多数出ていますが、戦える者も増えたというのは今後この国で何か問題が起きても自力で解決出来る可能性が増したと考えれば国家的にはまだ救いかもしれませんね」

「武器も使わず素手でゴブリンを倒してる人も居たっすよ!中国拳法は侮れ無いっすね!」

「人は強い……」

 今回の事で中国は大きな傷を負った。

 だがしかし、復興する為の下地も出来上がった。

 レベルアップの恩恵を授かった人口は世界でも最多になったと思う。

 並みの人間とはかけ離れた身体能力は今後のダンジョンとの生存争いで優位に働くのは間違いない。

「じゃあ最後のダンジョン攻略に行きますか……やっと寝れるなぁ」

 世界情勢はこれで大幅に動く事になるだろう。

 中国という大国が齎す世界への影響力も今後増していく事になる。

 日本やアメリカもこのままでは何れは中国とのパワーバランスが崩れかねない事態になっている事に気付いているとは思う。

 レベルアップによる民間人の武力が強化された中国が今後どんな動きをするかで、他国の動きも変わるだろう。


 ☆ ☆ ☆


 中国解放戦を成した俺達は傲慢ダンジョン経由で即刻帰国。

 休息と睡眠を挟んで現在夕食後、俺は部屋で一人ネットの海を彷徨っていた。



 ネットで見る限り、日本から応援として派遣された冒険者協会所属のダンジョン攻略班とPCH所属の人達はもう少し帰国には時間が掛かるみたいだけど。

「まさか日本に応援を頼むはなぁ……中国のお偉いさんもまだまだ捨てたもんじゃないって事か……」

 騒動で政治が麻痺していた中国だが、そんな中でも日本に応援派遣を頼んでいたらしく俺達が出向く前には日本側が人員を緊急で召集して中国に向かわせていたらしい。

 冒険者協会にも依頼が来ていて純がゴーサインを出していたと知ったのは俺達がある程度ダンジョン攻略を終えて合流した後だった。

「市街地防衛を任せられたのはかなり有難かったな……」

 これでまた冒険者協会とPCHの知名度と影響力は増した事だろう。

 問題は俺達の扱いだ。

 誰よりも早く中国に駆け付け、街をモンスターから救い、ダンジョンを攻略した俺達はあくまでも所属不明の集団とされている。

 そんなものはただの誤魔化しというのは世界中にバレているが、国際問題になりかねないのと移動方法が追及されるのが面倒なので知らぬ存ぜぬの姿勢を崩す事は出来ない。

 千尋の剣精は世界で最も有名なスキルだし、バレない訳も無いのだが各国は黙認してくれている。

 謎のヒーローが中国に現れたというのが公的な見解としてくれているのは千尋に対しての感謝の現れだと思う。

「サムライヒーローか……元々は忍者がコンセプトなんだけどなぁ……まぁ魔装してたら侍に見えるか」

 俺達と共に戦ってくれた他種族の者達にも好意的な意見が多いので、良いプロモーションにも繋がったと思う。

 ネットを見る限り特に人気なのが純が率いた白色部隊。

 やはり空を自由に飛ぶ姿には人間、誰しもが憧れるのだろう。

 純だけは水龍に乗って飛んでいたので余計に目立っただけなのかもしれないけど。

「航空部隊は映えるなぁ……良くこんな写真とか動画撮ってたな……」

 白色部隊が華麗に空を駆け、魔法を地上に打ち込む姿はまるで映画のワンジーンかのようだった。


 二番人気は千尋率いる赤色部隊、千尋人気も去ることながら、獣人種の耳と尻尾が可愛い、かっこいいと話題になっていて尚且つ高度な近接戦闘の様子がどうにも男心を擽る。

「これでレベルはかなり下だもんなぁ……やっぱ獣人種の身体能力は化物染みてるな」

 アクロバティックで軽やかな動きや、力強い攻撃の迫力はやはり映える。

 人気ツートップの白、赤、部隊とは違ってあまり映像に映ってないのにも関わらず三番人気なのが番長率いる隠密特化の黒色部隊。

「まぁ一番忍者っぽいよな……番長以外」

 番長は残念ながら魔装状態なので武者にしか見えないが、他の鬼人娘衆は正に忍者衣装なのでカッコイイ。

 ただ残念ながら写真が数枚しか無い。

 青色、黄色、武者部隊はほぼ同率人気っぽい。

 俺的にはリーダー率いる青色部隊の魔法は派手だし、美しいからもっと人気かと思ってたけど、映像に写されている場面がエルフルズの超効率重視の魔法だから何が起こってるのかがイマイチ伝わり辛かったみたいだ。

 最小限の魔力で生成された小さな魔法を敵の急所に的確に発生させているので、絵的に地味だし、誰が何をしているのかも分かり辛い。

「まぁ……実戦だとそうなるよなぁ。純はかなり派手に魔法ぶっ放してたけど、もしかしてカメラ映りを気にしてたのか……?」

 素朴な疑問を抱えつつ助手ちゃん率いる黄色部隊の映像を見るが、魔法銃で淡々と仕事を熟す職人集団にしか見えない。

「これは……いつもなら浪漫砲ぶっ放してるけど、市街地戦だから使わなかったんだな……」

 助手ちゃんの代名詞とも言える魔法銃の浪漫砲は市街地戦では被害が出る事を考えてか、コンパクトな魔法銃とコンパクトな斧でモンスターを討伐していた。

 身長の低い集団が淡々と魔法銃でモンスターを処理する姿はただの駆除業者にしか見えない。

「武者部隊もまぁ地味だよな……殆ど突きしかしてないし」

 俺が率いた武者部隊は市街地戦では突きしかしていないので、本当に地味だった。

「まぁそうだよなぁ……龍人種の魅力が伝わりやすいようにもう少し派手な動きとか、魔法も使って貰えば良かったかなぁ」

 俺の部隊は全員が槍を持って、ただただ突きでモンスターを処理しているだけの映像しかない。

 ただ、龍人種と甲冑の見た目の相性は抜群だと個人的には思う。

「やっぱ角、翼、尻尾に甲冑姿は完璧なカッコよさだな……めちゃくちゃ強そうじゃん……龍人種には忍者スーツよりコッチの方が良いな」

 改めて自分達が映っている映像や写真を見るとやはり、派手さは無い。

 実戦なのだから仕方ないが、純はマジで偉いと思う。





















「ちょいちょいカメラ見てたり、わざと派手にしてるんだよなぁ……これは人気も出ますわな……白色部隊だけ映画じゃん……やっぱこういうプロモーションとかも意識していかないと、他種族に対する意識も良くならないよな」

 純によるカメラ映りを意識した動きのおかげで他種族人種の良いプロモーション活動にはなったと思う。

 こういう地道な活動がいつか共存共栄の道に繋がるのかもしれない。












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