怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧
じゃぱにーずかるちゃーいずくーる3
純の提案で三手に別れて行動する事になった。
正直街の中のモンスターに関しては赤色担当の千尋に任せておけば殲滅も時間の問題だとは思うが、人間一人ではカバー出来ない場所もあるだろうから、武者担当の俺と白色担当の純はそういう細かい場所を優先して生存者を保護していくという流れだ。
「とりあえず、建物の中は後回しで!」
「りょーかい、避難場所はどうする?」
「建物の中か上だね!」
生き残りを捜索する為になるべく千尋が通っていないであろう、脇道や裏道を見渡せるように建物の上に登って建物伝いに移動中。
千尋が倒し損ねたモンスターを倒しながら気付く。
「建物の中は外よりは安全っぽい?」
「建物の中に結構生存者が居るって事はそういう事なんじゃない?」
「逆を言えば、建物の中に避難し損ねた人はモンスターにやられた可能性が高いって事だろうな……」
モンスター側も態々建物に逃げ込んだ人を追いかけるよりも外に居た人を襲った方が手っ取り早いってだけだとは思うが、時間が経つにつれてモンスターも建物に侵入する数は増えてくる。
その前に外に居るモンスターを片っ端から倒し、建物に入り込んだモンスターを倒す方が良いだろう。
単純に大きな街なので建物が多すぎて何処から手を付けて良いかが分からないとも言える。
「とにかく粗方片付けたら原因のダンジョンを攻略しないとだね!」
建物の中や上に居る生存者から色々話掛けられたり、怒鳴られたり、泣かれたりしているが完全に無視しながら俺達は俺達の出来る事をやっていく。
「流石に、遅い!早く助けろ!とかって怒鳴られると気持ちが萎えるな……」
「まぁ仕方ないよ!別に私達も誰かに頼まれてやってる訳でも無いし、結局はただの自己満足でやってるだけだからね!感謝の言葉だけ聞いてれば良いよ!」
ただ助けられるだけの力が有るからここに来ただけの事だ、何を言われようとも気にしない方が良いのかもしれない。
「赤は頑張ってるなぁ……」
「私達も頑張ろう!」
建物の外に居た僅かな生存者を建物の中へと運び入れながら、千尋の取りこぼしを片付けていく。
このペースで行けばそろそろ街の中は片が着きそうだ。
大方街のモンスターを片付けた所で青色担当のリーダーから念話が掛かってきた。
『拓美様!原因となるダンジョンを発見!どうしますか?』
『りょーかい、街の方も大方片付いたからまずは全員でダンジョン攻略に挑もう』
『了解です。今から目印を打ち上げますので、そこへ来てください』
『千尋を回収したら直ぐに向かう』
「青がダンジョン見つけたって、赤を連れてダンジョンに向かうぞ」
「おっけー!」
純にダンジョン発見の報告をして、今後の動きを伝えていると街から離れた山の方から大きな花火の音と共に巨大な氷の花が出現した。
「あれが目印だな……にしても派手だな」
「綺麗だね!」
この状況には場違いな程美しい青い薔薇の花は亡くなった方への手向けの様に思えて少し怖かった。
☆ ☆ ☆
生存者が居ないか探し回っていた千尋を回収して三人で巨大な氷の薔薇へと移動した。
街を離れて数分、山の中で俺達の到着を待っていたリーダーを見つけた。
「リーダー!ダンジョンは何処だ!さっさと片付けるぞ!」
怒り、焦り、不安、色々な感情が渦巻いている千尋が語気を荒げながらリーダーにダンジョンの場所を尋ねる。
「こっちです。周辺のモンスターは全て片付けました」
「行くぞ!」
リーダーが指差した方へと進んで行くと番長と助手ちゃんが居た。
「これが……!」
「モンスターはここから出て来てたっす!」
「うじゃうじゃ居た」
何の変哲も無い山肌に出来た洞窟。
今尚洞窟から出てくるモンスターを黄色担当の番長と黒色担当の助手ちゃんが出て来ては倒し続けていた。
「では、先頭は私に任せてくれ!行くぞ」
「俺達は千尋の取りこぼしを片付けながらだな」
「了解っす!」
各々準備は万端、やる気も充分、ここまで大規模なダンジョンは初めてだが、今の俺達ならきっと大丈夫。
諸悪の根源を全力でぶっ潰すだけだ。
千尋の後を追いかけながらダンジョンをひた走る。
取りこぼしも無く、順調にダンジョンの奥へと進んで行く。
道中のモンスターは外に居た奴らと一緒で、ゴブリン、オーク、獣型、虫型、トカゲ型で先頭を進む千尋が殲滅している。
幸いこのダンジョンは今の所殆ど別れ道も無く、広いだけで罠も無い。
まぁ罠があったとしてもこれだけ大量のモンスターが居たのだからコイツラが勝手に解除しているだけだとは思うが油断せずに罠チェックしながら進む。
暫くすると、下へ向かう階段が見えた。
その前には階層守護者らしきモンスター。
見た目はオークっぽい何かだが、鑑定してみなければ分からない。
「どけ!」
俺達が鑑定を掛けるよりも早く、千尋が一閃。
何者かも不明なモンスターは霧となった。
「……可哀そうになってきたな」
「緊急事態だからね!仕方ないよ!」
千尋に続いて階段を下る。
階段を下りながらも下から上がってくるモンスターを蹴散らしている千尋。
階段を下りきるとトンネルになっており、出口らしき所から光が入ってきていた。
トンネルを進み、出口に辿り着いた。
トンネルの外は見事な森だった。
「まじか……」
森の中から次々とこちらに向かってくるモンスター。
しかし、雑魚では千尋を超えられない。
「邪魔だ」
いつもは基本的に防御に回している剣精が今は荒々しくモンスターを蹴散らしている。
「ここからはフィールド系か……トンネルを抜けられないようにここに一人残した方が良さそうだけど……」
番長の方へとチラっと視線を送る。
「じゃあここは私が残るっす!皆さんにダンジョン攻略は任せたっす!」
ありがとう。
流石は番長だ、俺の意図を察してくれたようだ。
「流石に一人は駄目だよ!もう一人は居ないと!」
「任せて……」
助手ちゃんが小さな手に持った巨大な戦斧と大砲を軽く掲げながらここに番長と残ると言ってくれた。
片や素手で片や重装備の二人の姿はとても頼もしかった。
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