怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧
しふくの時と言われても19
美奈が初めてのダンジョン攻略に向かった、俺も着いて行きたかったが拒否されたので大人しく家で待機しておく。
「……暇だなぁ。なんだかんだで俺以外、皆な忙しそうなんだよなぁ」
俺がやらなくてはならない事は朝の鍛錬しかない。
基本的に俺はやる事が無い。
怠惰に日々を過ごすだけで自分の役割を熟す事が出来るというのは楽ではあるが、同時に暇でもある。
色んな人に影響されて俺自身もやる気を漲らせて頑張ろうとするが、いざ何かを頑張ろうとしても何をして良いか分からない。
「偶には俺も指導に出向いてみたいな……」
各国から参加している人達の指導に俺も参加したい。
俺自身が教えられる事は限られては居るが、折角なら冒険者協会の子達に会って話がしたい。
未来の英雄候補である彼らと交流を持ちたいというミーハー丸出しの考えなのは否めないし、何より俺の存在をあまり表に出せないので交流する機会が全くないので今まで喋った事すら無い。
「……辞めておこう」
最近は暇が過ぎるのでゲームばかりしていて、これで良いのかと不安になる。
「暴食ダンジョンの街作りもまだ途中だから邪魔はしたく無いしなぁ……」
働いていた時はあんなにも自分の自由な時間が欲しかったのに、実際に自由な時間を多く得られても暇過ぎて仕方が無い。
朝起きて、飯食って、午前中ちょっと動いて飯食って、ゲームをして時間を潰してまた飯食って、またゲームして、眠たくなったら寝ると一日が終わる。
幸せではあるが、あんまりにも変わり映えしない生活に成りつつあるので最近は刺激に飢えているのかもしれない。
「困った時のベル頼み!」
俺が暇でもベルは忙しい。
ならばベルのお手伝いでもしようという浅い考えで、ベルに念話を掛ける。
『ベル!暇!何か手伝える事無いか?』
『はい!マスター!暇なのはとても良い事ですね!……手伝える事といえば、現在怠惰ダンジョンの新規階層を増やそうと思っているのですが、如何せんDPが大量に必要なのでDPを稼ぐお手伝いをして頂けたらありがたいですね!』
『DPねぇ……ちなみにどうやって稼いでるんだ?』
『今は傲慢ダンジョンのランダムスライムスポナーで生成された怠惰ダンジョン外のスライムを何も無い新規階層に運び入れている所ですね!運び入れたスライムは外部からの侵入者としてカウントされるので、怠惰ダンジョンに居るだけで僅かながらDPを獲得出来るのでスライムだけの階層を作ってる途中です!』
『で、俺は何をしたら良い?』
『私がスライムを生成するので、マスターにはスライムの運搬と成長し過ぎたスライムの間引きですね!スライムは放置すると勝手に成長してしまって数が増えすぎるので定期的に間引いていかないといけませんので!』
『へぇー、じゃあ今から手伝いに行くよ。傲慢ダンジョンに行けば良いのか?』
『はいマスター!傲慢ダンジョンでお待ちしております!』
『りょーかい』
なんやかんやでやる事が出来たので早速傲慢ダンジョンへと向かう。
☆ ☆ ☆
「うぃーっす!」
「マスター!うぃーっす!」
『こんにちは』
「ファーも久しぶり!元気にしてたか?」
『元気かどうかは分かりかねますが、やる事はやっています』
「そっかそっか!ちょっとお邪魔するぞ、ベルのお手伝いに来たんでな」
傲慢ダンジョンの意思を持ったダンジョンコアのファー。
ベルの直属の部下、眷属、信徒、のような存在であり、暴食ダンジョンのルゼとベルの新しい妹の様な存在だ。
最初期はルゼと同様に感情というものが希薄ふだったが、今は大分感情も芽生えてきて個性が目立つようになってきている。
「ではではマスター!早速ですがこの可愛いプレーンなスライムちゃん達を運んでください!新規階層に適当に放って、新規階層に変なスライムが居たらサクッと間引いちゃってください!」
1m四方の金属製の箱に詰めまれているスライムを受け取った。
「……変なスライムって例えばどんな奴?」
「簡単に言うと、強そうなスライムですね!スライムは環境さえ整っていれば進化も早いので!そういった進化して強くなり過ぎたスライムを定期的に間引いておかないと他のスライムが全滅させられてしまう恐れがありますからね!まぁ今回はある種の実験ですからね!気楽にいきましょう!」
「あぁ、なるほど。これって実験も兼ねてやってんのね」
「はいマスター!本当なら進化し辛く、進化しても大して影響の無いモンスターでやりたい所ではあるのですが……マスター的にはゴブリンとオークは嫌だろうと思いまして」
「嫌だな」
やはりというか何というか、ダンジョンとゴブリン、オークは相性が良いので怠惰ダンジョンでもゴブリンとオークを生成した方が良いのかもしれないが、俺が嫌だ。
人型に近いモンスターであるゴブリンとオークだが、基本的に知能が低く乱暴な種族のモンスターには変わりない。
中には理性的で頭の良い奴も居るのかもしれないが、それでも知性の無い人型のモンスターを怠惰ダンジョンには入れたく無い。
俺の我儘でしかないが、この一線を超えると箍が外れてしまっていつか取り返しの付かない事になるような気がしている。
「それでこそマスターです。ではスライムの運搬と間引き、お願いしますね!」
「りょーかい」
もう何往復したか分からない、スライムの入った箱を運んではスライムを解放。
新規階層である、スライム階はベルが作っただけあって中々に広く、森、湖、火山、平原の4種類の環境が整えられている。
放ったスライムは好みの場所があるのか、適当に動いているのか分からないがゆっくりとそれぞれのエリアに移動するので見ているとちょっと面白い。
「……広すぎて一人じゃ見回るのは無理だな」
早々に見回るのを諦めて運搬に精を出す。
ベルにも見回りは諦めたと伝えているので問題は無い。
「早々、変なスライムに進化なんかしないだろうしな……」
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