怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧

きゅーびー

夢を追うもの笑うもの5

 晩御飯の準備を英美里達がしている間に会見の反応や反響をSNSで確認していると英雄達が我が家へと帰ってきた。
 玄関に向かい、二人を出迎える。
「ただいま」「ま!」

「おかえり。お疲れ様!SNSを見る限り作戦は成功って感じだぞ」

 居間へ移動しながら作戦の成功を伝える。

「そうか……通知を切っておいて正解だったな」
「後はPCHからの連絡待ちだね!」

「明日から二人は忙しくなると思うけど、今日はもうゆっくり休んでくれ。もうすぐ晩御飯も出来るからさ」

 束の間の休息。
 今後は二人と一緒に食事を取る機会も減るだろう。この先の戦場は怠惰ダンジョンの外がメインになってくる。その為に準備を万全にしてきたつもりだ。
 今頃PCHの面々は大慌てしている事だろう。
 まさか自分達よりも先に日本人がダンジョン攻略を成功させるとも思って無かっただろうし、一時期はPCHに加入しようとしていた純が新たな民間団体を立ち上げてPCHに反旗を翻す事も想定はしていなかったと思う。


「お刺身とすき焼きが私を待っている!」
「とりあえずコーヒーでも入れて待とうかな!」

 各々が晩御飯が出来るのを待つ。
 ほんの少し前からは考えつきもしない程の大家族となったが、とても幸せだ。
「美奈にも連絡しとかないとな……」


 ☆ ☆ ☆


 晩御飯も終えて美奈にも連絡を入れた。
 今日のタスクは全てこなした。

「相変わらず凄いな……」

 SNSと動画の注目度は凄いの一言だ。
 あっという間に世間に千尋と純の名前が広まった。
 そして世界初のダンジョン攻略者の誕生と攻略者のに与えられる恩恵の存在も。

「ここからが本番だな……ここが歴史の転換点になる、なんてな……」

 柄にも無い事を口にしながら、各種サイトやSNS等から情報を集める。今の所は俺に関する事は何も見つかっていないが、この先メディアの連中が嗅ぎ付けるだろう。

「次は冒険者協会に人を集めないとか……どんな人が応募してくるんだろうか。出来れば信用出来る人が良いけど……」

 未来に希望を持てない人。
 絶望している人。
 現状を変えたい人。
 虐げられている人。
 そういう人達にこそ俺は力を貸してやりたい。
 この世の中自分の力だけじゃどうしようもない事だってあるし、世間や周りが悪い事だって往々にしてある。
 けれど世の中の成功者達は自分の力で何とかしろだとか、他人に頼るなだとか無責任にモノを言う。そうする事が出来ない人だって居るという事が分かっていないのだろうか。自分の力で何かを変えたい、何かを成したい、そんな事を考える事も出来ない人も状況も場面もあるのだ、世の中には。
 理不尽はいつだってどこにだって転がってる。理不尽が当たり前の社会で生きているのだから当たり前なのかもしれないが、自業自得だけで済ませることが出来ない事だって沢山ある。抜け出したくても抜け出せない現実もある。

 辛い時に辛いと言えない人がどれだけ泣かされてきたのだろうか。我慢して、歯を食いしばって、耐えて、その先に何があるというのか。

「本当の弱者は弱者のままなんだ自分の力で何とか出来る人ってのは弱者じゃないだろ……だから俺は強者へ変わる為の手助けをしてやりたい」


 力を与えられた俺だから思う。
 弱者はどうしたって弱者なんだ。
 自分以外の他者の力を借りない限りは。



 PCHのサイトにも会見の動画のリンクが張られていた。
 一般人も情報を上げられるのだから当たり前といえば当たり前なのだが、会見の動画のリンクはPCHの公式が張っている。
 これは近々PCHから連絡が来るのは間違い無いだろう。

「さて……奴さんはどういう接触の仕方をしてくるのかな」

 一番可能性が高いのは純を介しての接触だろう。
 純は一度PCHの関係者とも連絡を取っているので、これが正攻法と言えなくは無い。
 時点で冒険者協会という民間団体を通しての接触。
 純との関係が無ければ一番可能性が高いのはこの方法だろう。

「まぁ、どっちにしろ俺がPCHと関わる事は無いけど」

 なんにせよ対応は純が担当するので俺が直接かかわる事は無い。俺のやるべき事はダンジョン攻略のお手伝いだけなのだ。

「ダンジョン産の商品が流通して儲けが出れば俺も憧れの不労所得生活か……頑張れ!皆!」

 他力本願。
 俺の座右の銘にしよう。

「そういえばインテリ悪魔とドワーフはいつ生成するんだろうか……まだDPに余裕が無いのか?」

 以前ベルが言っていた科学と魔術の融合。
 俺的にはとてもワクワクするワードだ。
 パソコンも新しいのを作れるとか言っていたのでとても期待してしまう。やはりゲームオタクたるもの新型のPCには目が無い。世界初の新技術がこの怠惰ダンジョンから生まれるかもしれないというのも中々にロマンがある。

「気になるな……ちょっと聞いてみるか」

『ベル、今良いか?』
『はいマスター!どうしました?今日はアニメ鑑賞はお休みの日ですよ?』

 最近は寝る前に、ベルと英美里と一緒にアニメ鑑賞するのが日課なのだ。

『いや、そうじゃなく……インテリ悪魔とドワーフっていつ生成するのかなって思って。まだDPに余裕が無い感じ?』

『その事ですか、DPにも大分余裕が出来たので生成は可能ですよ!急ぎの件ももうありませんし、明日にでも生成しますか?』

『そうか!じゃあ明日!生成してくれ!そうすれば新しいPCも早く作れるかもしれないだろ?新しいPCが出来たらベルと一緒にネトゲが出来るしな!』

『はい!マスター!それは良いですね!明日必ず生成します!聞くまでも無いとは思いますが、ドワーフの性別はどうしますか?』

『女の子でお願いします!』
『了解です!では、また明日詳しく話しますね!』
『りょーかい!』


 俄然明日が楽しみになった。
 お嫁ーずが忙しくなるというのに旦那である俺は新型のPCが作れるかもしれないという事で頭が一杯だった。
 最低の旦那だと思う。























「ドワーフの女の子って毛むくじゃらパターンとロリパターンがあるけど……どっちだろう」

 出来ればロリパターンであって欲しいと願いながら、布団に潜り込み目を閉じた。


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