妖狐な少女は気ままにバーチャルゲーム配信がしたい
第27話 年上だって認めてほしいのに年下扱いされるんですけど?
PM3:00 
今日は配信、明日は帰宅というスケジュールの中、暇な時間を見つけてボクと酒吞童子は人間の姿で宿の外を散歩することにした。 
何か面白いものが見つからないかな? と思って色んな人や公園、ショッピングセンターを見ていたところ、小学生の集団に絡まれた。 
 
「おいそこの小さいの、お前ら年下だろ? この辺りじゃ見ない顔だけどどこの学校だよ」 
八人ほどの小学生集団のリーダー格の男子がボクたちにそう声をかけてきたのだ。 
ちょっとまってほしい、ボクってそんなに年下に見える!? 
「お前たち小学生だろ? 俺たちは高校生だぜ? ちょっと口の利き方おかしいんじゃないか?」 
怒っているのか完全な無表情で酒吞童子がリーダー格の男子にそう文句を言う。 
するとリーダー格の男子は途端に可笑しそうに笑い始めた。 
「ぎゃはははは、お前らどう見ても四年生か五年生だろ? 高校生とか何嘘ついてんだよ。俺たちは全員六年生で年上なわけ。わかったか?」 
小学生集団は各々可笑しそうに笑い始めた。 
男子五人に女子三人のグループだった。 
「ちょっとまってよ、ボクたちってそんなに小さく見えるの?」 
思わずボクは訊ねてしまった。 
年上に見えないなんて絶対おかしいもん! 
「あ? うちの妹と変わんねぇ年の顔してるのに何言ってんだよ。ちょっと可愛いからって大人に見えると思ったら大間違いだぞ」 
リーダー格の男子はボクを指さしてそう言う。 
慌ててボクは手鏡を取り出して確認するもいつも通りの顔である。 
この十年くらい変わらない見慣れた顔だった。 
「暮葉。言っちゃ悪いけどよ、俺たちは十年経ったくらいで顔の造形なんてそう変わらないぞ? 年の割には弥生姉だって幼い顔してるだろ? つまりそういうことだよ」 
「そんな馬鹿な!? たしかに姉様は幼い顔してる気がしてたけどそれはただ可愛いだけだとずっと思ってたのに……」 
打ちひしがれるボクと呆れた顔をする酒吞童子。 
さすがに転生した鬼なだけあって冷静に判断できるようであった。 
「おい、お前ら何言ってんのかわかんねえけどよ、年下なんだから俺たち上級生に従っとけばいいんだよ。これから遊びに行くんだけどお前らもついでに来いよな。小さいのが連れ立ってうろうろしてるとあぶねえしよ」 
高圧的だと思っていたリーダー格の男子は唐突にボクたちにそう言った。 
何、もしかして誘いたかったの? 
「ねぇかい君。なんでそんな子たちを誘ってるわけ? うちらだけでもいいじゃん。もう八人もいるんだよ? さすがにこれ以上増えたら遊び場減っちゃうよ」 
リーダー格の男子にくっついているだけだと思っていた三人の女子のうちの一人が『かい君』と呼ばれた男子にそう問いかけた。 
何やらむすっとした表情だ。 
「何言ってんだよ安奈。こんな小さいのだけでうろついてるんだぜ? 俺たち上級生が見ててやんねえとあぶねえだろ? 最近は変質者も出るって小野田がそう言ってたしよ」 
「たしかに小野田先生はそう言ってたけど、だからってうちらが見る必要なくない? この辺りなら大人も多いし交番だって近いし、なんだったらPTAも見回ってるでしょ? あのうるさいのに任せておけばいいじゃん」 
『安奈』と呼ばれた女子はその男子に向かってそう言った。 
見た感じだけどこの子はその男子に気があるように思う。 
きっと邪魔されたくないのだろうね。 
「安奈、こいつらに何かあったらお前、責任取れるのかよ? お前だって四年生の妹がいるだろ? もし妹や妹の友達に何かあったらどう思うよ」 
「うっ、それは嫌だけどさ……。でもかい君だって嫌そうな顔してる子にしつこく言いすぎじゃない? 本当に上級生だから下級生の面倒見るって気持ちでいるわけ? なんかおかしくない?」 
何やら二人の会話がおかしな方向に行き始めた。 
周囲を見回すと連れの男子たちはそれぞれに話だし、ほかの二人の女子は口論中の二人を指さしながら何かをひそひそと話していた。 
「なぁ暮葉、さっさといかね? こいつら無視しようぜ」 
ボクの耳元でそう囁く酒吞童子にボクはそっと頷いて返事を返した。 
申し訳ないけど一緒に遊んでる時間はないんだよね。 
「そうだね、ちょっと悪いけど少しの間だけボクたちを認識できないようにして――。これでよしっと。いこ」 
口論をする二人とそれを見て会話する小学生の集団をボクたちは認識阻害することで華麗にスル―して歩き去ることにした。 
申し訳ないけど五時までには戻らないといけないんだよ。 
 
PM5:00 
 小学生の集団に年下と間違われて絡まれはしたものの無事に周囲の探索を終えて宿に帰投した。 
面白そうなお土産や美味しそうなお饅頭などをゲットしたので後で皆と分けようと思う。 
酒吞童子は地酒を欲しがったけど、ボクたちに買えるわけもなくあえなく断念。 
学校周辺とは違い、ここではボクたちのことを知っている人はいないわけで当然高校生として扱ってくれるわけもなく、なんなら迷子の小学生姉妹として大人に囲まれて迷子放送をされそうになったり、警察官に呼び止められることもあった。 
実にひどい外出だった。 
でも知らない場所を見て回るのは楽しかったので良しとしよう。 
酒吞童子も色々とかばってくれたしね!やっぱり持つべきものは友達だよね~。 
「暮葉ちゃんおかえりなさ~い、外どうだったの? 楽しめた?」 
部屋に戻ると真っ先に弥生姉様が出迎えてくれた。 
やっぱり姉様は優しい。 
「はい、とても楽しかったです。でも迷子の小学生に間違われて散々でした」 
姉様の問いかけにボクは外出の感想を口にした。 
普段のボクを知っている人は姉様と会話するときのボクを見たらどう思うだろう? 
ボクとしては普通のつもりなんだけどね。 
ちなみに酒吞童子が見た時は唖然とした顔をしていた。 
 
「あ、姉様。これお土産です。姉様が好きなタイプのお饅頭があったので買ってきました。後お茶もあります」 
「ありがとう、暮葉ちゃん~! 後で一緒に食べようね~」 
ボクが紙袋を手渡すとお礼とばかりに姉様の熱い抱擁が返ってきた。 
とても柔らかくいい匂いがして嬉しい。 
「あ、葵姉様と宗親兄様のお土産のたい焼きも渡さなきゃでした。あとお母様には温泉卵とお饅頭。ところでお母様たちはどこにいったんですか? 姉様」 
ボクがお母様たちの行方を弥生姉様に尋ねると、人差し指を顎に当てて少し考えた後こう言った。 
「今日予定していた配信は取りやめになって、夢幻酔主催でカラオケ大会になったんだ~。その打ち合わせに行ってるの~」 
最初はあんなにコラボ配信するみたいなこと言っていたのに、急に予定変更だなんて一体どうしたんだろうか。 
「一体何があったんです? 姉様」 
ボクは少し気になったので弥生姉様にそう問いかけた。 
すると返ってきたのは意外な答えだった。 
 
「新しい子たちのお昼の態度に一期生もお母様たちも少々思うところがあったみたいなのよね~。そんなわけで反省会兼カラオケ大会になりました~」 
にっこり微笑んでそう言う弥生姉様。 
どうやら意外と尾を引いていたようだった。 
「うわぁ、ちょっと怖いなぁ」 
その光景を想像したボクは背筋が冷えるのを感じていた。 
そして――。 
「暮葉ちゃんも歌うでしょ~?」 
未だにっこり微笑んだままそう言う弥生姉様にボクはこう答えた。 
「もちろんです、弥生姉様」 
当然反対などできるはずもない。 
今日は配信、明日は帰宅というスケジュールの中、暇な時間を見つけてボクと酒吞童子は人間の姿で宿の外を散歩することにした。 
何か面白いものが見つからないかな? と思って色んな人や公園、ショッピングセンターを見ていたところ、小学生の集団に絡まれた。 
 
「おいそこの小さいの、お前ら年下だろ? この辺りじゃ見ない顔だけどどこの学校だよ」 
八人ほどの小学生集団のリーダー格の男子がボクたちにそう声をかけてきたのだ。 
ちょっとまってほしい、ボクってそんなに年下に見える!? 
「お前たち小学生だろ? 俺たちは高校生だぜ? ちょっと口の利き方おかしいんじゃないか?」 
怒っているのか完全な無表情で酒吞童子がリーダー格の男子にそう文句を言う。 
するとリーダー格の男子は途端に可笑しそうに笑い始めた。 
「ぎゃはははは、お前らどう見ても四年生か五年生だろ? 高校生とか何嘘ついてんだよ。俺たちは全員六年生で年上なわけ。わかったか?」 
小学生集団は各々可笑しそうに笑い始めた。 
男子五人に女子三人のグループだった。 
「ちょっとまってよ、ボクたちってそんなに小さく見えるの?」 
思わずボクは訊ねてしまった。 
年上に見えないなんて絶対おかしいもん! 
「あ? うちの妹と変わんねぇ年の顔してるのに何言ってんだよ。ちょっと可愛いからって大人に見えると思ったら大間違いだぞ」 
リーダー格の男子はボクを指さしてそう言う。 
慌ててボクは手鏡を取り出して確認するもいつも通りの顔である。 
この十年くらい変わらない見慣れた顔だった。 
「暮葉。言っちゃ悪いけどよ、俺たちは十年経ったくらいで顔の造形なんてそう変わらないぞ? 年の割には弥生姉だって幼い顔してるだろ? つまりそういうことだよ」 
「そんな馬鹿な!? たしかに姉様は幼い顔してる気がしてたけどそれはただ可愛いだけだとずっと思ってたのに……」 
打ちひしがれるボクと呆れた顔をする酒吞童子。 
さすがに転生した鬼なだけあって冷静に判断できるようであった。 
「おい、お前ら何言ってんのかわかんねえけどよ、年下なんだから俺たち上級生に従っとけばいいんだよ。これから遊びに行くんだけどお前らもついでに来いよな。小さいのが連れ立ってうろうろしてるとあぶねえしよ」 
高圧的だと思っていたリーダー格の男子は唐突にボクたちにそう言った。 
何、もしかして誘いたかったの? 
「ねぇかい君。なんでそんな子たちを誘ってるわけ? うちらだけでもいいじゃん。もう八人もいるんだよ? さすがにこれ以上増えたら遊び場減っちゃうよ」 
リーダー格の男子にくっついているだけだと思っていた三人の女子のうちの一人が『かい君』と呼ばれた男子にそう問いかけた。 
何やらむすっとした表情だ。 
「何言ってんだよ安奈。こんな小さいのだけでうろついてるんだぜ? 俺たち上級生が見ててやんねえとあぶねえだろ? 最近は変質者も出るって小野田がそう言ってたしよ」 
「たしかに小野田先生はそう言ってたけど、だからってうちらが見る必要なくない? この辺りなら大人も多いし交番だって近いし、なんだったらPTAも見回ってるでしょ? あのうるさいのに任せておけばいいじゃん」 
『安奈』と呼ばれた女子はその男子に向かってそう言った。 
見た感じだけどこの子はその男子に気があるように思う。 
きっと邪魔されたくないのだろうね。 
「安奈、こいつらに何かあったらお前、責任取れるのかよ? お前だって四年生の妹がいるだろ? もし妹や妹の友達に何かあったらどう思うよ」 
「うっ、それは嫌だけどさ……。でもかい君だって嫌そうな顔してる子にしつこく言いすぎじゃない? 本当に上級生だから下級生の面倒見るって気持ちでいるわけ? なんかおかしくない?」 
何やら二人の会話がおかしな方向に行き始めた。 
周囲を見回すと連れの男子たちはそれぞれに話だし、ほかの二人の女子は口論中の二人を指さしながら何かをひそひそと話していた。 
「なぁ暮葉、さっさといかね? こいつら無視しようぜ」 
ボクの耳元でそう囁く酒吞童子にボクはそっと頷いて返事を返した。 
申し訳ないけど一緒に遊んでる時間はないんだよね。 
「そうだね、ちょっと悪いけど少しの間だけボクたちを認識できないようにして――。これでよしっと。いこ」 
口論をする二人とそれを見て会話する小学生の集団をボクたちは認識阻害することで華麗にスル―して歩き去ることにした。 
申し訳ないけど五時までには戻らないといけないんだよ。 
 
PM5:00 
 小学生の集団に年下と間違われて絡まれはしたものの無事に周囲の探索を終えて宿に帰投した。 
面白そうなお土産や美味しそうなお饅頭などをゲットしたので後で皆と分けようと思う。 
酒吞童子は地酒を欲しがったけど、ボクたちに買えるわけもなくあえなく断念。 
学校周辺とは違い、ここではボクたちのことを知っている人はいないわけで当然高校生として扱ってくれるわけもなく、なんなら迷子の小学生姉妹として大人に囲まれて迷子放送をされそうになったり、警察官に呼び止められることもあった。 
実にひどい外出だった。 
でも知らない場所を見て回るのは楽しかったので良しとしよう。 
酒吞童子も色々とかばってくれたしね!やっぱり持つべきものは友達だよね~。 
「暮葉ちゃんおかえりなさ~い、外どうだったの? 楽しめた?」 
部屋に戻ると真っ先に弥生姉様が出迎えてくれた。 
やっぱり姉様は優しい。 
「はい、とても楽しかったです。でも迷子の小学生に間違われて散々でした」 
姉様の問いかけにボクは外出の感想を口にした。 
普段のボクを知っている人は姉様と会話するときのボクを見たらどう思うだろう? 
ボクとしては普通のつもりなんだけどね。 
ちなみに酒吞童子が見た時は唖然とした顔をしていた。 
 
「あ、姉様。これお土産です。姉様が好きなタイプのお饅頭があったので買ってきました。後お茶もあります」 
「ありがとう、暮葉ちゃん~! 後で一緒に食べようね~」 
ボクが紙袋を手渡すとお礼とばかりに姉様の熱い抱擁が返ってきた。 
とても柔らかくいい匂いがして嬉しい。 
「あ、葵姉様と宗親兄様のお土産のたい焼きも渡さなきゃでした。あとお母様には温泉卵とお饅頭。ところでお母様たちはどこにいったんですか? 姉様」 
ボクがお母様たちの行方を弥生姉様に尋ねると、人差し指を顎に当てて少し考えた後こう言った。 
「今日予定していた配信は取りやめになって、夢幻酔主催でカラオケ大会になったんだ~。その打ち合わせに行ってるの~」 
最初はあんなにコラボ配信するみたいなこと言っていたのに、急に予定変更だなんて一体どうしたんだろうか。 
「一体何があったんです? 姉様」 
ボクは少し気になったので弥生姉様にそう問いかけた。 
すると返ってきたのは意外な答えだった。 
 
「新しい子たちのお昼の態度に一期生もお母様たちも少々思うところがあったみたいなのよね~。そんなわけで反省会兼カラオケ大会になりました~」 
にっこり微笑んでそう言う弥生姉様。 
どうやら意外と尾を引いていたようだった。 
「うわぁ、ちょっと怖いなぁ」 
その光景を想像したボクは背筋が冷えるのを感じていた。 
そして――。 
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