妖狐な少女は気ままにバーチャルゲーム配信がしたい

じゃくまる

第9話 小毬ちゃんの配信を観てみよう

今日は小毬ちゃんの同時視聴配信を行うべく、小毬ちゃんの配信時間に合わせてこっそり配信をすることにした。
小毬ちゃんのチャンネル名は『子狐こんこん小毬チャンネル』だ。
チャンネル登録者数は12万人で、平均視聴者数は1万人前後、多い時でも2万人が見ているらしい。
基本的にあざとかわいい妹系vtuberなので、妹系に癒されたい人と紳士淑女に人気が高い。
ボク自身も彼女の配信は気に入っているけど、身長サイズが地味に似通っているのでキャラ被りしている気がしなくもないと思っている。
とはいえ、小毬ちゃんの配信は結構テンション高めなのでボクの配信とは違いそれだけで楽しめるようになっている。

「みんなやっほー、真白狐白だよ。今日は先日襲来してきた小毬ちゃんの配信を一緒に観ていこうと思うよ。くれぐれも向こうには内緒だからね?」
意味もなく小声で視聴者の皆にそう伝えるボクに、コメント欄は異様な盛り上がりを見せた。
『囁き声助かる』
『うおっ、ヘッドホンで聞いてるせいか隣で囁かれたような気分になって幸せだったわ』
『もっと囁き声が必要だ』
『小毬ちゃんとのコラボもワクワクするけど、狐白ちゃんの囁き声もゾクゾクしていいわ』
『もっとお願いします!!』

思わぬ好反応にボクはしばし思考放棄してしまう。
なぜ彼らはボクの囁き声を求めているのか、なぜボクのチャンネルには変態紳士しかいないのか、それらを一瞬考えたら気が遠くなってしまった自分がそこにいた。
たしかにボク自身も推したちの囁き声を聞くとテンション上がったり、癒された感覚になる。
でもその感情を自分に向けられるとは思っていなかったので、フリーズしてしまったのだ。

「えっと、なんか恥ずかしいのでもう一度はなし! 今はボクより小毬ちゃんでしょ?」
今回のメインはあくまでも小毬ちゃんであり、ボクは言ってみれば添え物なのだ。

そうこうするうちに、配信開始時間となり小毬ちゃんの挨拶が始まった。

『お兄ちゃんたち、お姉ちゃんたち! こんこま~!! 小毬の配信の時間だよ~』
配信が始まると同時に挨拶をする画面内の小毬ちゃんはちょこちょこと楽しそうに片腕を上にあげて左右に揺れていた。
そのため袖の短い服を着ている小毬ちゃんはその真っ白な脇が丸見えの状態になる。
当然コメント欄には脇関連のコメントがあふれ、『脇助かる』や『ちょうど切らしてた』などといったものが流れていった。
もちろんスパチャもこの時点で投げられる。
あっという間に10万以上が投げられ、小毬ちゃんも嬉しそうにお礼を一人ずつにしっかりとお礼を述べていく。

『あはっ、本当にありがとう! でもでも、無理はしないでほしいな~』
そう言い、両手を前に組んでやや上目遣いになる小毬ちゃん。

「小毬ちゃんあざといわ~。さすが皆の妹って感じだよね。ボクにはできないから小毬ちゃんに全部任せちゃいたいよ」
小毬ちゃんの放送はこういったあざとい仕草や表情が随所で見られ、そのたびに紳士淑女の皆は盛り上がっていく。
もうとにかく可愛いのだ。
そりゃ人気も出ますわ、ボクも推しまくりですよ。

『狐白ちゃんもおねだりポーズやってみたら?』
『おねだりするならスパチャ解禁しろ! はよ!』
『うちらの妹の狐白ちゃんはおねだりしてくれませんよね~? 見たいな~?』
『やー、本当に小毬ちゃんは可愛いよね。私は狐白ちゃん派だけど、あの表情と仕草、ついでにガチ恋距離でしょ? くらっときちゃうよね』

別に小毬ちゃんのチャンネルに入り浸っていても文句などはないけど、意外な人数が狐白派を表明してくれていた。
とりあえず、今回の趣旨は敵情視察じゃなくて単純なファン目線での同時視聴配信ということを忘れてはいけない。

「まぁまぁ。ボクも小毬ちゃん好きだし、皆の中にも好きな人多いと思うから一緒に配信楽しもうよ。一人で観るより楽しいと思うよ?」
家族と観るのとは違って同じ趣味の同志たちと観るのは本当に楽しい。
ちなみに今日は弥生姉様も配信しているため、こっちのコメントには姿を現していなかった。
でも姉様のことだから同じように別の端末でボクを観ているかもしれないけどね。
少しずつ配信が進み、募集マシュマロの回答まで行ったところで、話が急にかわった。

『実は先日ですね、あたしの大好きな真白狐白ちゃんの配信に視聴者としてお邪魔してきました~』
突然嬉しそうにそう言いだす小毬ちゃん。
コメント欄には『誰?』というコメントや『そういえば見た見た』といったコメントが流れていく。
ボクの知名度はそんなにないので知らない人がいるのは当然だ。
ところが――。

『知らないなんても~ったいないです! 知ってる人も多い元山吹凛音で現真白凛音姉様の意実の妹に当たると~っても可愛らしい子なんですよ? あたしのお兄ちゃんたちやお姉ちゃんたちが会いに行きたくなっちゃうくらいなんですよ~? もちろんあたしの一番の推しです』
誰? というコメントや知らないというコメントを見た小毬ちゃんが両手をぶんぶんと振り回して力強くボクを紹介してくれていた。
当然ボクを知らない人は困惑するだろう。
それでも凛音姉様の名前が出た途端に興味を持つ人が出始めた。
姉様の威力はすごいな~と思いながらボクはそのことをつぶやいた。

「姉様ってやっぱり人気あるんだね。姉様の名前出ただけで興味持つ人が出始めたよ。すごいね」
『たしかに凛音姉のネームバリューはすごいけど、それでにわかが増えるのもなぁ』
『やっぱ自力で探すか興味でたから観るくらいじゃないとなぁ』
『良いか悪いかと言えば、悪いかな。狐白ちゃんの魅力が少しずつ広まればいいんだけどね』

ボクのチャンネルの視聴者さんは大体こんな感じのコメントを残していく。
無数にあるチャンネルの中からボクを見つけるのは難しいし、気に入ってくれるかもわからないから、こういわれるのは仕方ないんだけどね。
ボクは放送を観ながらそう思っていた。

『それと、今は交渉中なんですけど、うまく行ければ狐白ちゃんとコラボできるかもしれないんだ。興味ある人もない人も、楽しめるようにしていきたいからがんばるね!』
小毬ちゃんは元気にそう宣言して、次のコンテンツへと移っていった。

「小毬ちゃんってすごいな~。ボクはここまで考えたことなかったよ。楽しんでもらえればとは考えてるけどさ」
改めて人気の理由を確認できたと思う。
さすが小毬ちゃんだよ! さすこま!

『狐白ちゃんの周りには優しい人多いんだね』
『というか狐白ちゃん、めっちゃ好かれてない?』
『キマシキマシ』
『狐白×小毬か。ありだな』
皆は好きなようにコメントしていく。
キマシって何ですかねぇ。
百合百合してるわけじゃないんですよ?
まぁここでボクが否定したところで彼らは盛り上がるだけなので、ボクは何も言わない。

「さてさて、同時視聴も結構時間経っちゃったね。意外な顔が見られてうれしい反面、少し恥ずかしい気もするけど、折を見てコラボしていけたらと思ってるよ。まぁ皆が望むような展開にはならないけどね!」
『期待してる!』
『全裸待機はおうできてるぞ、コラボはよ!』
『スパチャ解禁はよ』

コメントはいつも通りの反応ばっかりだし、スパチャ解禁はよお兄さんもいつものコメントをしてくれている。
ほんと、スパチャ解禁いつになるかな?

「スパチャ解禁は、とりあえず友達のデビューと同時かなと思ってるよ。それまで我慢して待っててね」
投げ銭も愛の表現の一部ってことはわかってるから、早めに応えてあげたいけれど、元々それ目当ての配信じゃなかったから気後れしていたのは事実だ。
企業所属の子たちはそれも含めての活動だから、やっていない子はいないと思う。
果たして、そんな相手にボクは落ち着いてコラボできるのだろうか。
考えれば考えるほど不安で仕方ないよ。
でも、皆の応援コメントを見てると、不思議と頑張ろうっていう気持ちがあふれてくるから不思議だよね。
がんばるぞ!

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