妖狐な少女は気ままにバーチャルゲーム配信がしたい

じゃくまる

第8話 今日の狐白ちゃんは雑談枠です

『真白狐白のまったりゲームチャンネル』
「は~い、こんばんわ~。真白狐白ですよ~。相変わらずオープニングも導入も適当な放送だけど今日もまったりしていこ~」
『狐白ちゃんこんばんわ!』
『わこつ~』
『わこつです~』
『わこつ! もう配信開始して結構経つし、そろそろオリジナル挨拶決めてもいいかもね』
『わこ~! なんならここで決めちゃいます? それともアンケ?』
この放送は相変わらず適当である。
画面の真ん中や隅っこでボクのキャラクターが可愛くわちゃわちゃ動いたり、眠そうな目をして話したり、そんなことをただ見せられるだけなのだ。
にも拘らず地味に愛してくれるユーザーさんがいるのは実にありがたいことだとボクは思っている。

「自分なりの挨拶かぁ。姉様も自分なりの挨拶あるし、そろそろ考えてもいいのかも? ということであとでアンケートだすね~」
今日の配信は少しだれ気味だ。
昼間に散々酒吞童子にもてあそばれた結果、かなり消耗してしまったからだ。
とはいえ、ボクの大事なユーザーさんたちなので、不快にならない程度に頑張ろうと思う。

『狐白ちゃん今日はお疲れ? そんなときもあるさ!』
『テンション毎回違うから楽しみにしてるけど、無理はしないでね』
『疲れてるのか狐白ちゃんの眼が半眼になっててかわいいわ』
『よ~しよしよし、お姉さんが可愛がってあげるからお膝の上においで~』
「ボクは猫じゃないから行かないよ~! と、ちょっと元気出た。皆、ありがとう!」
やはり皆との交流は元気が出る。
生憎と今日はゲーム配信じゃないので、ボクの華麗なるプレイをお見せすることはできないんだ。

「今日はゲーム配信じゃなくて雑談枠です! ボクの華麗なるゲームプレイを見せてあげられなくてごめんね」
『今日は悲鳴聞けないのか』
『俺のビビり子狐ちゃんどこ・・・?』
『ビビりではいてない狐白ちゃんはよ!』
「いやいや、はいてるからね!?」
ボクのユーザーさんたちはボクをいじって遊ぶことに夢中なご様子だ。
彼らにとってのボクは小さい子供かペットのような何かなのかもしれない。

「まずはお知らせ~。まだ時期は未定だけど、ボクの友達がデビューするよ。皆さんはどんな子がいいかな?」
酒吞童子たちのデビュー前ということもあり、一応ボクのチャンネルである程度宣伝をするつもりでいる。
でもその前に、ユーザーさんたちはどんな子が好みなのか確認してみる必要があった。

『う~ん、やっぱケモミミっ子かな。狐や猫、もしくは犬とかがいいね』
『私は子狐ちゃん一筋だからな~。このチャンネルを見つけ荒れたのは運命だと思ってる』
『鳥系? もしくは天狗みたいな子も見てみたいかな。一応妖狐なんだから、妖怪の仲間もいるだろうし』
『鬼娘! できればロリで!』
「ふむふむ。皆さんの意見はよ~くわかりました。とりあえず決定していることはあるよ。色々なタイプの鬼娘が六人、それと猫又が一人、烏天狗が一人、それと狗賓というケモミミ天狗が一人という感じ。色々なかわいい子が出るので楽しみにしていてね~」
ボクの言葉を聞いて盛り上がりを見せるコメント欄。
ボクのチャンネルに来ているだけあって、皆なかなかの特殊性癖の持ち主だったようだ。

「でも妖狐といえばボク以外にもたくさんいるけど、もちろん皆、観に行ってるよね? ちなみにボクは観に行ってるよ。もふもふしていて癒されるよね」
ボクが多く観に行く放送は妖狐系や犬系が多い。
猫とか豹も好きだけど、もふっとした尻尾があるのが特に好きだから。

『子狐小毬:はいは~い! あたしも観に来てま~す!』
『おろ? 小毬ちゃんおった』
『小毬ちゃん初コメ?』
『今までいたのか、知らんかったわ』
『キャー小毬さああああん』

「うぇ!? 小毬ちゃんに監視されてた!?」
ボクは突然沸いたvtuberを見て変な声を出して驚いてしまった。

子狐小毬こぎつねこまり』は夢幻酔からの三人目のデビュー者で、元気で可愛い妹を前面に押し出した茶色い毛の妖狐の少女である。
ユーザーを「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼んでその心をくすぐっている小悪魔な女の子なのだ。
もちろんファンも多く、かなりの数のファンアートを送られている。
ちなみに彼女自体も妖狐だ。
そんな子狐小毬ちゃんからは、前々からDMをちょくちょくもらっていたりはしたのだ。
何でも、妖精郷で見たことある姿なので本物なのか気になったとか……。

『子狐小毬:あたしはず~っと観てますよ~? くふふ、狐白ちゃんは気が付かなかっただろうけどね~!』
『まさかの子狐コラボ』
『ここがもふもふパラダイスだったか』
『ロリ系妖狐の天国やな』
『子狐同士で百合ですか? いいですね!』
『子狐小毬:ほほう。狐白ちゃん、あたしと百合百合しちゃう~?』
「や~め~て~」
ボクが恥ずかしさに暴れ始めると、連動して画面の中のボクもジタバタと暴れ始めた。
この放送、姉様も酒吞たちも観てるから、絶対後で揶揄われるんだよおおお!!

「こほん、さてと、では次はマシュマロの返事ですね。今回の質問はっと『狐白ちゃんは子狐小毬のことをどう思っていますか?』か。随分タイムリーだね。まさか質問者は小毬ちゃんだったり?」
ボクがそう話すと、すぐに反応が返ってきた。

『子狐小毬:えぇ~!? どうしてわかったの~? すっご~い!! さっすが私の狐白ちゃん!』
「ボクは小毬ちゃんのではありませ~ん。小毬ちゃんは好きで推してるけどね」
『子狐小毬:ほほ~う、相思相愛とな? うれしいな~』
『キタコレ』
『これは勝ったな(フラグ)』
『よし、風呂入ってきていいぞ(ダメ押し)』
やたらテンションが高い小毬ちゃんはやや暴走している。
困ることはないんだけど、この放送が小毬ちゃんのテンションに侵食されつつあるのが気がかりだ。

「はい、小毬ちゃん落ち着いてください。あとでDMするので楽しみにしていてくださいね」
小毬ちゃん自身は放送でもテンション高めだけど、今日はより一層高いようだった。
知名度でいえば圧倒的に小毬ちゃんが上なはずなんだけど、どうしてこうも嬉しそうにコメントしてくれるのだろうか。
同業者だからかな?

「というわけで、回答はこれでいいとして、次に行くよ~。次は『狐白ちゃんの好物を教えてください』か。お稲荷さんときんぴらごぼうときつねうどんのお揚げだよ」
まずお稲荷さんだが、これは美味しいので大好きだ。
そしてきんぴらごぼうは味が好きなので大好き。
最後のきつねうどんのお揚げだが、あまじょっぱくてやはり大好きで、カップうどんに入っている場合は事前に半分食べてしまうことが多々ある。
行儀が悪いと思いつつもなかなかやめられないのだ。

『チョイスがなかなか子供染みている気がするんですがそれは』
『ロリ狐だからありだな』
『唐突に入り込むきんぴらごぼうの存在感よ』
『きんぴらごぼうわかりみが深い』
一部のコメントだけを見てもこの通りで、結構きんぴらごぼうに賛同してくれる人はいるのだ。
ただ当然というか甘めなチョイスであるため、子狐らしいという感想を抱かれたようだ。

『子狐小毬:全部わかる!!』
『小毬ちゃんの食いつきようよ』
『子狐よう似とる』
『今からきんぴらごぼうにお稲荷さん食べてくるわ』
『俺のお稲荷さんでよければすぐだせるぞ』
『おまわりさ~ん、こいつです』
『通報したれ』
『やめれええええ』
小毬ちゃんが食いついたのを機に、再び盛り上がるコメント欄。
一部変な人が沸いたけど、皆に袋叩きにあっていた。
皆仲いいなぁ。

「さてさて、思ったよりも長く話し込んじゃったせいで時間かかっちゃったね。まぁまたいろいろとお知らせするので、まずはボクのツイッターをチェック! だよ。ボクの開始の挨拶とかみんなのことを何て呼べばいいのかとかアンケート取るからよろしくね。それと小毬ちゃん、今日は来てくれてありがとうね」
『子狐小毬:たのしかったー! また一緒しようね!』
『おつかれー。狐白ちゃんゆっくりやすんで』
『おつおつ。狐白ちゃんの友達も楽しみだ』
『おちゅちゅ~』

こうして妖精郷での配信を終えたのだった。
なおこのあとすぐにアンケートを取ったし、小毬ちゃんにもDMを送っておいた。
嵐のような子だったけど、悪い子じゃないので今度はしっかり絡んでみようと思う。
今日ボクは、思ったより恵まれているんだなと実感することが出来た放送でした。

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