首吊り死体が呪う村、痣のスミレの狂い咲き

藤野

安否の確認

 僕はまだ薄暗い朝に目を覚ました。何の物音もしない。お母さんですらも起きていないんだろう。


 僕は立ち上がった。ぐっすり眠れなかったんだろうけど、頭はとても冴えている。
 朝になって考えると、本当に昨日、僕は縄垂らしを見ていたのだろうかと思えてくる。
 実は夢か何かだったんじゃないか。
 でも、あのとき感じた恐怖は本当だった。


 ……きっと皆を確認したら、昨日のは夢だったと割り切れるんだろう。


 僕はそろそろと歩き、襖を慎重に開けた。頭だけ出して、薄暗い廊下を見渡す。やっぱり、誰も起きていないようだった。
 狭い襖の隙間から、ゆっくりと体を出す。足が冷たい木の床に触れる。
 爪先立ちになりながら、そろりそろりと音を立てないように歩く。
 緊張するし、怖いのに好奇心もあって、心のどこかでこれを冒険のように楽しんでいる自分もいる。
 僕って、変な奴……。


 そんなことを考えながら、愛花姉さんの部屋の襖をほんの少し開ける。布団に入って寝ているようだった。
 良かった。
 安心しながら結愛姉さんと千愛姉さんの部屋に向かう。そこも大丈夫だった。
 あとはお母さんとお父さんの部屋だ。


 先にお母さんの部屋を見ることにしよう。
 そっと襖に手をかけて開ける。
 お母さんとスミレさんが眠っていた。
 スミレさんの顔が見えないかな、なんて思っていたけど、残念ながら見えない。


 さあ、あとはお父さんの部屋だ——。

コメント

コメントを書く

「ホラー」の人気作品

書籍化作品