元天才選手の俺が同級生の女子野球部のコーチに!

柚沙

スポーツテスト!



合宿2日目




俺が密かに楽しみにしていたことがあった。
普通こんなことを楽しみにしてるやつは全国探してもそんなに居ないだろう。




朝7時に起床してベットや自分たちの荷物をすぐに片付けられるような謎の訓練と、終わったらすぐにグランドに出て朝のお散歩を30分間やらされた。




「龍。おはよう。」




「桔梗ちゃんおはよう。」






「なんか今日いいことでもあった?起きてからまだ15分くらいしか経ってないと思うけど。」






「まぁこれからあるんだよ。俺のちょっとした楽しみが。」




桔梗はなんの事っちゃ分からんって顔をしながらも2人で一緒に歩いていた。




「東奈くんおはよう。こんな朝から散歩させるってどういう意味あるんやろうか?よくわからんっちゃけど。」




珍しく王寺さんがブツブツと文句を言っていた。
あの眠そうな感じ朝は少し弱いのだろうか。






「おはようさん。ちょっと肌寒いけど動くにはちょうどええ天気やな。」






めちゃめちゃ朝が弱そうな見た目をしている梨花だが、釣りで鍛えた寝起きの良さで朝から機嫌が良さそうだ。






「そう言えば、桔梗達3人って同じクラスやったよね?」






「そうやけど、それがどうしたと?」






「いや、一般生徒の子の誰かと同じクラスだったりする?」






みんな首を軽く横に振って否定した。


誰がどのクラスにいるっていうのは覚えているのだが、一般生徒がどこにいるかはまでは把握していなかった。




「んで、何でそんな機嫌がいいか教えろよ。」






「まぁ、それは後々分かるから俺も楽しみだし、みんなも楽しみにしておいて。」




梨花と凛はよく分かんないという顔をしていたが、桔梗だけは何か嫌な予感を察知していた。






朝の食事が終わって、1年生全員グランドに集合した。


俺はレクリエーションのしおりをしっかりと読んでいて、2日目の10時からスポーツテストがあったのをしっかりと確認していた。




自分のスポーツテストの結果なんてはどうでもいいが、今みんながどれくらい出来るかの軽いテストみたいで楽しみにしていた。






「今からスポーツテストテストを行います!野球部の方達は天見先生のところでテストを受けてくださいね。」






そういうと全部で16人+マネージャー1人+コーチ1人の合計18人がちょっと離れたところで監督の前で整列していた。






「おはようございます。今からスポーツテストをやるね。私が記録を取るからテスト始める前にコーチからの話を聞いてね。」






「みんなおはよう。俺が選手のデータ取ったりしてきたのは知ってるよね?今日もたかがスポーツテストと思って手を抜いたりすると、意欲が低くいと査定して試合で使わないかもしれないからそこだけは気をつけるように。」






「「はい!!」」






少しだけ意地悪なことを言ったと自分でも思ったが、本気でやってもらわないと困る。


こういう簡単なものでも課題とか得意なものとかが見えたりするのだ。






スポーツテストは全部で8項目ある。




長座体前屈、上体起こし、握力、シャトルランor1500m走、反復横跳び、ハンドボール投げ、立ち幅跳び、50m走。






「東奈くん。なんであっちは1500m走なのに私達はシャトルランなの?」






「シャトルランのがキツイからに決まってるやろ?」






シャトルランは途中でリタイア出来る分、諦めれば楽だろうが簡単に諦めないようにはさせてある。


一斉に全員スタートして、隣のいずれレギュラー争いするであろうチームメイトより先に脱落出来ない。


シャトルランでどれだけの気合いを見せられるかを俺は楽しみにしていた。




まず50m走を開始した。




記録は上位5名と下位3名だけをピックアップする。


マネージャーも入れようかと思ったが、どの項目も下位にくい込んできてるので除外することにした。


上位5名
1.四条かのん 6.92
2.西梨花 7.49
3.王寺凛 7.68
4.花田聖美 7.81
5.雪山沙依 7.93


下位
1.円城寺緒花9.41
2.時任氷9.01
3.市ヶ谷咲8.81






「かのんが余裕でいっちばーん!」






やっぱりかのちゃんの足の速さは尋常じゃないなというのを再確認出来た。


元陸上部よりも足の速い梨花と凛も凄いと思うが、下位の円城寺と氷の足の遅さには困ったものだ。


他のメンバーはあんまりタイムは変わらなかったが、スポーツしている女子の平均に達してないメンバーはもう少しだけ足が速くなるようにフォームの矯正とかした方がいいと思った。








上体起こし、いわゆる腹筋。


1.円城寺緒花 39回
2.西梨花 31回
3.七瀬皐月 30回
4.橘桔梗 27回
5.青島有香、奈良原里奈 25回




1.時任氷10回
2.市ヶ谷咲12回
3.江波夏実14回




「あたしが1番ですか。更に体を鍛えようと思います。」




円城寺さんが1人だけぶっちぎりで、他の人はまぁまぁ悪くない結果で20回越えがほとんどで得点表と照らし合わせれば7点以上が多いので、入学する前に筋トレしっかりとしてきたのだろう。




夏実もひどいと思うかもしれないが、入学する前は5.6回でも必死にやっていたのでかなりしっかりと半年間はトレーニングの成果が出てる?




まだ卒業までは時間もあるし大丈夫だ。




長座体前屈。




1.橘桔梗 74cm
2.猫田美耶マネ 69cm
3.柳生亜衣 66cm
4.月成姫凛灑澄 65cm
5.四条かのん 60cm




1.雪山沙依 19cm
2.青島有香 24cm
3.円城寺緒花 29cm






「私が前屈1番。あんまり嬉しくないけど。」






桔梗はファーストとしてハンドリングの向上させる為に、身体を柔らかくして送球によっては体が硬いとキツイ体勢に変えて捕球しにいく。


その技術と怪我しにくい身体を作る努力で毎日ダウンとは別に家の風呂上がりに30分のストレッチと酢を飲む日課があるらしい。






身体能力が高いはずの雪山がまさかの初めての得点表1点をたたき出してしまった。
身体が硬いのは仕方ないが、硬すぎるとやってもらいたい身体の動きが可動域の狭さで出来ないかもしれない。




全体見れば体の柔さはボチボチって感じだった。
内野手が柔らかい傾向にあり、外野手が硬い傾向にあった。






反復横跳び。






1.四条かのん 61回
2.雪山沙依 52回
3.王寺凛 50回
4.中田美咲 48回
5.七瀬皐月、奈良原里奈、西梨花 46回




1.時任氷 30回
2.青島有香 32回
3.江波夏実 33回




「いぇーい!またかのんがいちばーん!」






やっぱり瞬発系にはかのちゃんにはみんな歯が立たないみたいだ。
野球もちろん上手いが、陸上競技をやっていればもっと大活躍出来れべるだろう。


反復横跳びは内野手に必須級の能力だと思っている。


打球は早いバッターだと150キロくらいの打球スピードが飛んでくるし、それに反応して一瞬でスピードに乗って打球に追いつかないと外野までボールが到達してもちろんヒットになる。




足の速い選手が結構いるから気づかなかったが、足が遅い選手が結構多い。


高校野球は機動力野球がかなり効果的で、守備の弱いチームに機動力野球を仕掛けると勝手に相手が崩れていくことも多々ある。


そういう役目をみんなにやってもらいたいが、かのちゃんや王寺さんに期待するしかないだろう。






立ち幅跳び。
 





1.奈良原里奈 202cm
2.西梨花 201cm
3.花田聖美 192cm
4.雪山沙依 184cm
5.四条かのん 179cm




1.時任氷 115cm
2.円城寺緒花 128cm
3.市ヶ谷咲 133cm






「ハンドボールやってたからギリギリでも勝ててよかった。」




高くジャンプしたりするハンドボール出身の奈良原さんがギリギリ1位となった。


立ち幅跳びは野球にはそんなに必要な能力ではないが、内野手で打球にジャンプするときにあればあるほどいいが気にするほどではないと思う。


立ち幅跳びは身体能力が高い人が純粋に高く跳べている感じで、全体的にはあんまりジャンプ力がない感じだった。






握力。






1.青島有香、円城寺緒花 40kg
3.西梨花、橘桔梗 37kg
5.中田美咲 35kg




1.江波夏実 20kg
2.四条かのん、王寺凛 21kg




「私は剣道部だったから握力には自信あったのですが、円城寺さんの握力凄いですね。」




「いえ、あたしなんてまだまだです。」






握力は全体的に高レベルだった。
得点表を見ても全員平均して8点というかなり素晴らしい結果だと思う。


野球には握力はそこまで必要が無い。
投手には必要になっては来るが、打撃にはそんなに大切ではない。


それよりも手首の強さ、リストの強さと呼ばれるのものがかなり重要になってくる。








ハンドボール投げ






1.七瀬皐月 28m
2.西梨花 27m
3.奈良原里奈 23m
4.中田美咲 22m
5.月成姫凛灑澄、時任氷 21m




1.花田聖美 10m
2.青島有香 11m
3.市ヶ谷咲 12m






「肩で1位か。これを生かせるようにキャッチャーを上手くならないと。」






元ハンドボール部に余裕で勝ち、投手の梨花にも勝ったのに七瀬は全然嬉しそうではなかった。




内野手なので気づかなかったが、思ったよりも月成は肩が強いみたいだ。


ここでやっと氷の名前が上位に入ってきた。
本人は気にしていないようだが、ここまで下位にずっと居ることには何を思っているのだろう?




野球部だからこの項目が平均が1番良くてとりあえずは安心した。








そして、俺が楽しみにしていたシャトルランが始まるのであった。









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