元天才選手の俺が同級生の女子野球部のコーチに!
初コーチ!
コーチとしてケジメをつけると言った後にみんなにウォームアップとキャッチボールをやってもらっていた。
「雪山、下半身の使い方がまだ出来てないね。とりあえず腕の力で投げないように。いわゆる女の子投げになってて、上体が前に突っ込んでる。ちょっと右膝を地面につけて左足は投げる相手に向かって真っ直ぐの体勢になって、上体を真っ直ぐのまんま相手に投げてみて。」
とりあえず雪山にはキャッチボールで投げ方をマスターさせる。
キャッチボールは大切な練習の1つなのだから。
キャッチボールのときだけは夏実と雪山の2人に付きっきりで俺自身の体で綺麗なフォームで投げれるやり方を実践しながらし、2人のフォームも得意の物真似をして今どんな感じか確認させてあげた。
「流石にこんなにウチの投げ方酷くないッス!」
俺の投げ方に文句をつけていたが、これが現実なんだと教えてあげた。
「うそッス…こんなフォームがウチの…。」
「おい!素人がこんなことで落ち込んでる暇あるならもっとちゃんとキャッチボールするんだぞ。」
「はい。わかったッス。」
ちょっとしょんぼりとしていたが、すぐに俺の教えたキャッチボール方法で正しい投げ方を身につけるために頑張っていた。
「美咲、みんなをホームベースに集合させて。」
「みんなーー!!ホームに集合ーー!」
とても大きく聞こえやすい声で集合をかけたらすぐに全員集まってきた。
「みんなもたまには打撃練習とかしたいとかはわかるけど、今日は守備練習しかしないからそのつもりで。」
やっぱり打撃練習出来ないと聞いて少しだけ残念そうにしていた。
けど、この練習は今日とかしかできないからみんなには我慢してもらおう。
「みんな今のポジションってどうやって決めた?というか全部のポジションやったことある人って何人いる?」
誰も手をあげなかった。
全てのポジションをする人というのは中々いない。
「今のポジションが自分に合ってるとみんな思ってるだろうけど、それは全てのポジションを経験してみないと分からないよね?だから今日はローテーションで守備についてもらう。」
少し困惑してザワザワとし始めたところで注意することにした。
「みんな返事は!」
「わかりました!」
俺が言う前に美咲が率先して声出しを促してくれた。
「ローテーションで回していくからね。自分のメインの守備位置から野球のポジションの番号の大きくなる数字の方にスライドして行って。スリーアウト取れたらポジション変更ね。」
野球はピッチャー1、キャッチャー2、ファースト3
という感じでポジションには番号がある。
この数字が使われるのは高校野球の背番号が最たる例である。
他にはよく聞くゲッツーの時の数字だ。
6-4-3のゲッツーとかよく聞くと思うが、ショート6がゴロを捕球してセカンド4にボールを送球、最後にファースト3に送球のゲッツー。
プレーに関わったポジションを数字として表しているという訳だ。
「ライトは夏実しかいないから夏実が投手からスタートだ。」
みんな意図を理解していつもは守らない守備位置に着いた。
ピッチャーの梨花がキャッチャーからスタート。
「梨花、キャッチャーが指示出しするから指示出しよろしく。」
「ノーアウト!締まっていくぞ!!」
「「おーー!」」
梨花の掛け声でローテーションノックがスタートした。
実践通りピッチャーはホームにボールを投げて、キャッチャーが取ったのを確認して俺がランダムにボールを打つ。
「レフト!!前!」
外野の経験のない円城寺の所にボールを打ったが、やっぱり打球判断が出来ていない。
ポテンヒットとなりランナー一塁。
「内野ゲッツー体勢敷いて!外野はもうちょっと前に来て!」
梨花は思ったよりもテキパキと指示出ししていた。
その言葉を聞いてシフトを組もうとするが、わからない人も現れてくる。
「ここでいいよね?」
「沙依ちゃんサードはもっと前だよ!」
なんとかわちゃわちゃしながらポジションについてやっと夏実は2球目を投げようとした。
「ランナー走ったぞ!!」
夏実が足を上げた瞬間に大声で盗塁したのを全員に伝えた。
梨花はすぐさま反応してボールを捕って2塁へ送球したが、桔梗と円城寺さんのカバーが遅れて、どちらがベースに入るか決めてなかったのだろうセカンドにボールが来ているのにお見合いしてしまった。
ボールはセンター前に。
「時任!サードに投げろ!」
時任さんは捕ってすぐにサードに送球。
送球がショートバウンドになりサードの雪山が後逸。
だが、しっかりカバーに行っていた江波さんが後逸したボールをすぐに捕球してホームに送球してきた。
「ノックだからってランナー一塁で盗塁しないとでも思ってるのか!ちゃんと近くのポジションの選手とは一声でも二声でもかけないといつまで経ってもアウトカウント増えないぞ!」
「ランナー3塁!サード、ファーストスクイズ警戒!内野前進!」
キャッチャーの指示なのでポジション取りは任せることにした。
俺が次に狙ったところはショートの円城寺がギリギリ捕れるところを狙って打った。
どうにか飛び込んでギリギリグラブに入った。
「ホーム無理!ファースト!」
円城寺さんは体勢を立て直して指示を聞かずにホームに送球しようとしていた。
「おい!ホーム間に合わないって!」
とりあえずホームに来た送球をとってタッチの素振りをしていたが、梨花は少しだけイラッとしていた。
「おい!ポジション違ぇだけでこのザマはなんだ!もっとしっかりしろや!」
守ってる全員に対して結構強い言葉で声掛けをしたが、少し意気消沈している選手もいた。
「みんなとりあえず落ち着いて!声掛けあっていこう!」
マウンドの夏実がすぐにみんなに声掛けをした。
9人しか守れないので、ライトが終わったらピッチャーだがそこで9アウト分の休憩に入ってもらっていた。
俺は選手が声掛けをしないと上手く守れない位置を狙ってボールを打ち続けた。
外野と内野の間にゆるいフライ、外野と外野の間にフライ。ショートサードの間にどちらでも取れるゴロなどを打った。
「かのんがとる!」
「私がとる!」
お互いに捕ると宣言して引くことを知らないかのんと美咲が危ないプレーなどもあった。
これを3時間くらい俺がノッカーで繰り返した。
俺のプレーのどこが良くて悪かったかを説明しながらだったので、選手達は9アウト分で10分くらいは休憩できた。
最初はかなりわちゃわちゃしていて打つまで時間がかかったが3週目になると結構早いペースでノックを打てた。
「よーし!集合!」
みんなも結構疲れた様子でホームに集まってきた。
「お疲れ様。どうだった?慣れないポジション守ってみて。なら円城寺感想は?」
「そうですね。やはり内野手なので外野フライがどうしても捕るのが難しかったです。ですけど、西さんが前とか後ろとか隣のポジションにいた時に声掛けてくれたらすごく助かりました。」
「そうだよね。次のプレーのこととか教えてくれてるとすごく助かるからね。三塁にランナーが走ってるとかそういうのは、ボール取ったあとに見たんじゃ遅かったりするから近くの人には声をかけないとだめだよ。」
「かのんは何か思ったことあった?」
「美咲がかのんのボールに突っ込んできて邪魔してきました。しかも危なかったです。」
「あれは私の打球なのに無理にボール追ってきたかのんが良くなかった!」
「はいはい。2人とも今はローテーションだからいいとしても、例えばセカンドでレギュラー守っててライトが毎回スタメン変わるようだったらどうするの?今日みたいなプレーで連携ミス1つで負けることだったある。」
俺の言っていることは分かってるようだが、2人とも納得はしてないようだ。
「あくまでも今は練習だから俺はそうやって言い合ってもいいと思う。自分の意見を言ってもいいけど相手の意見も必ず聞くこと。」
「「はい!」」
なんだかんだ2人とも聞き分けはいいみたいだから、この後も少しは言い合いするだろうけど仲が悪くなる訳じゃなさそうなので二人の好きにさせよう。
「最後に凛は今日の練習で何を思った?」
「うーん…。こんなこと言ってもいいかわからんっちゃけど、他のポジション守るの難しいけどたまには違うポジションで野球するのも楽しいと思いました。」
「なるほどね。その意見は素直でいいと思うよ?今日は他のポジションの適正と見るっていうのもあったけど、他のポジションからみた新しい発見とか、元々の自分のポジションにはいった他の選手のプレーを見て感じたことや分かったことは自分にも生かせるから、そういうのもちゃんと生かしていこうね。」
「はい!わかりました!」
時間は1時前になっていた。
ウォームアップとか最初のミーティングで時間を使ったから練習終了の時間になった。
「今日はノックだけだったからグランド整備して、ダウンしてきて終わろうか。あ、バックネット前は整備しなくてもいいよ。練習終わったあとに元気ある人はトスバッティングとかやるなら指導してあげるから。」
みんなそういうと元気よく返事してダウンしに行った。
俺は先にグランド整備をして、ダウンが終わった子達から手伝いに来てすぐにグランド整備も道具の片付けも終わった。
「それじゃ今日は1番どこのポジションでも上手くこなして頑張ってた月成にグランド挨拶お願いしようかな。」
どこのポジションでもこなせる月成さんが今日は積極的みんなに指示出していた。
その1日で1番頑張っていた人を代表して声出しさせてみることにした。
見た目は大人しそうで嫌がるかと思ったが、1番頑張っていたと言われて嬉しそうな顔で選手の並んでいる一番先頭に来た。
「一同整列!グランドに向かって礼!」
「「ありがとうございました!!」」
この後、ほとんどの選手が残ってトスバッティングを見てあげた。
俺がコーチとして一番最初にちゃんと指導ができたいい一日になったと思う。
練習を終えて満足気に帰宅するのであった。
「元天才選手の俺が同級生の女子野球部のコーチに!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
176
-
61
-
-
66
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
5,039
-
1万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
3,152
-
3,387
-
-
2,534
-
6,825
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
614
-
221
-
-
1,295
-
1,425
-
-
2,860
-
4,949
-
-
6,675
-
6,971
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
344
-
843
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
76
-
153
-
-
164
-
253
-
-
3,653
-
9,436
-
-
1,863
-
1,560
-
-
14
-
8
-
-
108
-
364
-
-
23
-
3
-
-
218
-
165
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
2,629
-
7,284
-
-
86
-
288
-
-
2,951
-
4,405
-
-
34
-
83
-
-
62
-
89
-
-
51
-
163
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
88
-
150
-
-
42
-
14
-
-
614
-
1,144
-
-
220
-
516
-
-
2,430
-
9,370
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
1,658
-
2,771
-
-
408
-
439
-
-
7,474
-
1.5万
コメント