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霊能者、異世界を征く!~奴隷からの出発、魂の能力継いで下剋上。

るう

兄妹喧嘩?(ヤト視点)

「お兄ちゃんってば、マヒトをどうするつもり?」

昨日やり残した討伐の依頼のためにフィールドにやってくると、いきなり妹のルルゥがそんなことを聞いて来た。どうしていきなりそんなことを言いだしたのか、思わず戸惑ってしまった。
俺は妖狐種、金狐族のヤト。妹と旅をしながら冒険者をやっている。いろいろ事情はあるが、それでもこれまで大きなトラブルもなくのんびりと旅を楽しんでいた。

「どうするって……まあ、そうだな。とりあえず、今は無許可の奴隷契約で双方によくないから、せめて正式な契約ができる大きな街に向かって」
「マヒトとは昨日会ったばかりなのに、そこまでしなくてもいいんじゃないの? 奴隷ギルドに引き渡せば……」
「ダメだ、ここの奴隷ギルドではあの従属呪具を解除できない。認証なしで破棄すれば、違約ペナルティーが科せられるんだぞ」

思いっきり被せるように否定したため、ルルゥがちょっとむくれたように頬を膨らませた。

「一体どうしたんだ、ルルゥ」

確かにちょっとお節介が過ぎるとは思うけど、いつもなら困った人を見ればルルゥだって率先して助けるのに、今回に限ってなぜか気が進まないようである。

「……わかってると思うけど、マヒトはあの人じゃないよ」

ルルゥは、少し口ごもった後、俺から目を逸らすようにソッポを向いてそう言った。ちょっとだけ極まりが悪そうに、頬に掛かる巻いた髪を手持無沙汰に指でクルクル絡ませている。

「は? お前はなにを……」

妹が何を言っているのか咄嗟にわからず呆気に取られたが、すぐに察しがついて言葉を止めた。というか、なんでそんな素っ頓狂な方向へ行ったのか、俺は呆れる他なかった。

「どんな勘違いだ、もしかして彼女のことを言っているのか? 二人にどんな関係があるんだ」
「黒髪に、黒い瞳だし……それに、違ったけど最初は獣人の姿だったし」
「確かに黒髪が大勢いるとは言わないけど、いや、待て。マヒトの瞳は青いぞ、かなり暗い色だが。それに結局は人族だったし……それよりもだ、そもそもマヒトは男じゃないか」
「そんなのわかってるよ、でもおかしいもん。そりゃ、お兄ちゃんは優しいけど、見ず知らずの……というか、素性もはっきりしない人を、普通あそこまで面倒みる?」

そう言われて、俺は思わず即答を躊躇した。
確かに、マヒトへの保護に他意はない。あまりにも世間知らずで、ちょっと危なっかしいので手を掛け過ぎてしまうが、これは母親を早く亡くした幼いルルゥの世話をやいてきたせいでもある。
だが、ルルゥの言うように、初めてマヒトと出会った時、少なからず驚いたことは否めない。
容姿はそれほど似ていると思えなかったが、それでも癖のある黒髪に、濃い色合いの瞳が、なぜか妙に記憶に残る彼女を思い起こさせた。なにより彼からは、人族にみられる魔力を一切感じない。代わりに、内に秘めたなにか違う力を感じるのだ。
まるで自分たちが持つ、特殊な妖力にも似た力のようで……。
俺がそう感じたように、ルルゥも本能的にそれを感じていたのかもしれない。

「仕方がないだろう。トラブルとはいえ、奴隷契約をした以上、あいつの管理は俺の義務だからな。なんだ、ルルゥはそんなに反対なのか?」

それでも家族より優先するのは違うとわかっている。ルルゥがどうしても相容れないなら、なにか方法を考えなくてはならない。

「反対……は、しないよ。マヒト、困ってるのは確かだし、ごめん、私が過敏になりすぎてただけ。お兄ちゃんが、病的なお節介なのはわかっていたのに」
「病的って、おまえ……」

そんなに厄介ごとを拾ってくるつもりはないが、妹の評価は違うらしい。
ともかくルルゥも納得したようだし、少なくとも中立国へ行けさえすれば何とかなるだろう。
どちらにしても、ここで放り出すのは目覚めが悪いしな。

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