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霊能者、異世界を征く!~奴隷からの出発、魂の能力継いで下剋上。

るう

種族

「能力のことはだいたいわかった。聞いたことがない能力だが、獣人になったり人族になったりするさまをこの目にしたのだから、疑う余地はないな。だが、そのパワーアップとやらは継続できないのか?」

遠まわしではあるが、そうならいいなという願望が見え隠れした。霊が抜けた途端、いきなり倒れた俺の虚弱さを知っているので、それが偽らざる本音なのだろう。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだが、今のところまだ検証不足である。
言い訳する訳じゃないが、いきなり重力、というか身体にかかる負荷が二倍とか三倍のところへで放り込まれて、見たこともないようなバケモノに襲われ、人間以外のケモ耳種族なんかも存在して、わけの分からないことの連続で、それこそ落ち着いて考える間もなかった。
けれどそんな中、辛うじてパニックになっていないのは、飛行機に乗ったあの時、今までの生活に別れを告げる決心をしていたからかもしれない。
もちろん、異世界に行くなどとは思いもよらなかったが。

「能力のことはわからないことが多いんだ。ずっと発動したままでいられるのか、そもそもどういう条件で発動するのさえ、はっきりしなくて」
「そうか……ところで君は、どうも世事に疎いようだが、施設から来たのか?」

ここは正直に「異世界から来たんだ」とか言っていいものか。それにしても、施設ってなんだ。そういえば、あのデコボコ盗賊たちもそんなこと言ってたな。
どう答えるべきか迷って口ごもる俺に、ヤトはどう解釈したのか少し気の毒そうにこちらを見て話し始めた。

「まあいいさ、ここからは俺が話す番だな」

もしかして、口に出せない特別な事情でもあるのかと勘違いされたかな。
まあ、誤解を解くのは後でいいか。今は取りあえず話を聞くことに専念しよう、もともとそれが目的だったんだし。
とにかくここがどこか、そしてこの世界での人族の立場なんかを聞きたかった。あの盗賊の態度から、人族を奴隷にすることが当然、という空気があったしな。

「ここの辺り一帯は、獣人が治める獣人の国だ。ちなみに、我ら獣人と君たち人族は、世界の人口の大多数を占める種族で、ほとんどはこの二種族で成り立っていた」

成り立っていた、って過去形なのが気になったが、俺は口を挟まずに頷いた。

「他に少数種族として、エルフ、魔族、精霊族などがいるが、彼らは少数でも強大な力を持つため、我らも、努めて近づかぬように気を付けている」

おお、さすが異世界。エルフとか魔族までいるんだな。竜とか、そんなんもいたりして。

「……とはいえ、こちらから手出しをしなくても、向こうからやってくることもある」

思わず苦笑したヤトに、何となく予想が付いた。
ヤトがそれから語ったのは、俺の想像を裏切ることなく、魔族侵攻というお約束展開だった。
魔大陸。獣人や人族が住む大陸の、ほんの四分の一ほどの大きさの不毛の地だ。ほとんどの地表が硬い岩石で覆われ、雨も大地を育むことなく流れてしまう。聳え立つ絶壁の岩を削って居を構え、冷たい石に囲まれて暮らしているのだという。
そのためか、稀に人族や獣人の住む町や村を襲っては略奪し、数百年に一度くらいの周期で、国規模を狙った大侵攻が起こるというのだ。

「そんな大侵攻が起こると噂された、今から約二十年ほど前、とある人族の大国が、数多の同盟国と共に大規模な魔法を使った……勇者召喚だ」

うわあ、ここに来てやばい感じのワードが来たな。
俺はカミサマに強制連行されたので、その魔法は関係ないと思うけど、呼ばれた勇者がなにかやらかしたとかで、異世界の人間ヤベー、とかいう展開じゃないよな。
とりあえず、異世界人だということは言わなくてよかった。

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