トラブル遭遇率120%ダメダメ男がメチャモテ青春を送るために主人公を目指す
能力の発現方法
辺り一面が真っ白で、何も置かれていない。どっちが上でどっちが下なのか、平衡感覚すら狂ってきそうな真っ白い世界に勝也は立っていた。
「ここは?」
「僕のお気に入りの場所さ、ここにいると落ち着くことができて、まるで世界そのものになっている気がするんだよ」
ソラはそう言いながらゆっくりと腰を上げる。
「最上君、目を瞑ってみて」
勝也は言われた通りに目を瞑る。
「自分の心の内側を覗き込むんだ、何かあるかい?」
勝也は目を閉じ、集中するがソラの言っていることが理解できず、とりあえず何かあるか探してみるが普段目を瞑ったときと何も変わらない。
「なにもありません」
「なら、頭の中で立方体をイメージしてごらん」
勝也はこんなことに意味があるのかと思いながら立方体をイメージする。
「できました」
「よし!!そのイメージをしたまま目を開けてごらん」
勝也は目を開ける、しかし、先ほどまでの白い世界とソラが映るだけで変わっていることはない。
「BOX解放、ムラマサ」
ソラの手元に日本刀のようなものが突如として現れた。その刀からは禍々しい雰囲気を感じられるが、あまりにも美しすぎて心が奪われそうになる。
「俺にもそんなことが?」
「可能だよ」
出来ると言われ、心が少し躍る勝也。普通に過ごしたいと思う勝也も15歳の男として超能力や刀は憧れでもある。
「BOX解放!!ムラマサ」
勝也は手を前に出し、大きな声でそう叫ぶが手元にはなにも現れず、静寂が周りを包んでいた。その様子をソラはクスッと笑っている。
「この武器は人それぞれがうちに秘める物を具現化した物なんだ、だからこのムラマサは僕にしか扱えないし、僕にしか出せない。イメージしてみて、さっきの立方体の中に入ってる物を取り出すことを、形は気にせず、物を引っ張りだすことを」
勝也はイメージする、箱の中に入っている何かを、表に出すイメージを。
瞬間、真っ白い世界が新たな光により飲み込まれていった。その光はどこまでも真っ白い世界を包み込むような輝きを放っている。
光が落ち着きようやくそれが姿を現す。
「これが、俺の剣?」
その剣はソラの日本刀のような刀より何倍も太い大剣が出てきた。剣の周囲は薄らと光っているかのように見える。
「おめでとう、まずは第一段階は突破したよ」
ソラは拍手をしながら勝也の剣を眺める。
「それじゃ、僕と手合わせしよっか!!」
ソラはムラマサを手に構え、勝也の前に立つ、勝也は恐る恐る剣を手に取り、持ち上げる。なぜか違和感なく持つことができ、重さも感じない。
勝也が剣を持ち、構えていると、突然ソラは自分で自分の首を切った。
「なにしてるんですか?」
勝也は慌ててソラに駆け寄る。だが、切れたはずのソラの首元は繋がっていた。ほっと安堵する勝也。
「今見せた通り、僕は瞬間的な死なら自己でも他人でも治すことができる。だから、遠慮なく切り込んでくれて構わないよ」
ソラは起き上がり、勝也から距離を取り刀を握る。
勝也も剣を握ろうとするが剣が見当たらない。
「僕が死んだと思って焦ってくれたのかな?心が乱れると能力の使用は不安定で不確かなものになるから戦闘中は気をつけるんだよ」
勝也はもう一度イメージする、先ほどまでの大剣を、すると、初めての時と比べすんなりと出てきた。
「希望と才能に満ち満ちているね」
ソラの顔は待ち望んでいたものを遂に見つけたような嬉しそうな表情だった。
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