トラブル遭遇率120%ダメダメ男がメチャモテ青春を送るために主人公を目指す

なんちゃってチャンプル

受け取り物と受け取り者

 
 ―――ピーンポーン


 ―――――ピンポンピンポンピンポン…


 勝也の部屋中に鳴り響くインターホンの音、勝也はぐっすりと眠っており、インターホンに気付いていない。


 「邪魔するで〜」


 勝也が寝ていると思い、ズカズカと家の中に足を踏み入れる占部。その足はおもちゃ売り場に向かう子供のように軽やかである。


 「もう昼や言うのにまだ寝とるんか」


 布団に入り眠っている勝也を見つけ、少し呆れてしまう占部。占部はそのまま寝ている勝也の頬を手で叩く。


 「おら、起きんかい!!」


 「……んぁ?誠か〜」


 「とりあえず顔洗え!!」


 寝起きで気怠そうな返事をする勝也とビシバシとことを進めようとする占部、その姿は、まるで母親が息子を起こしているようだ。


 ―――5分後


 「おはよ!!誠!!」


 「何がおはようじゃもう昼やぞ!!」


 「起きた時はおはようだろ〜誠〜」


 勝也のだらけ具合に恐怖を感じる占部。勝也はそのことに全く気付いていない。


 「ていうか、鍵かかってたのによく入ってこれたな〜」


 「スペアキー持ってるからな〜」


 「え?なんで?ストーカー?」


 「アホか、勝也、お前はあくまで主人公育成計画のキーパーソンなんやぞ!!自宅くらいいつでも入れるようにスペアキー作られてるわ!!」


 勝也は未だに自分の置かれている状況を理解できておらず困惑する。その様子を見て不思議に思う占部。


 「もしかして、まだなんの説明も受けてない?」


 「おう!!昨日、誠が話ししてくれるのかと思ったらすぐ帰っちゃうから」


 「そういやイブさんから受け継いだの忘れてたわ!!すまん!!」


 手で頭を掻きながら笑ってごまかそうとする占部。


 「ちょいまってな、今から本部連れて行っていいか許可取るから」


 占部はポケットから携帯を取り出し電話をかけ始める。その間に勝也はトーストを焼き朝食の準備を進める。


 ―――5分後


 「許可おりたわ!!1時間後また連絡くれるって」


 「そこって安全?」


 「大〜丈夫、大丈夫!!」


 主人公育成機関に対していい印象のない勝也。占部の大丈夫が余計に不安を煽る。


 「そういえば、前にイブちゃん達からなんか貰わんかったか?」


 「あぁ、あれね、確かカバンの中に」


 カバンの中からイブ達から受け取った箱を探す勝也。カバンの中はグチャグチャでどれが貰ったものかわからない。


 「あったあった!!」


 「なんや、まだ開けてないんかい」


 「開けるタイミングがなくて」


 「俺ならすぐ開けるけどな〜」


 占部と会話をしながら箱の中を開ける勝也。中からは銀の十字架のネックレスが出てきた。


 「ネックレス?」


 「そうそう、それが証でもあるからなくすなよ?」


 なくすなと言われたので、すぐさま首につける勝也、ネックレスを初めてつける勝也は内心少し嬉しかった。


 「似合ってんで!!」


 「そ、そう?」


 初めてのネックレスを似合っていると言われて勝也は嬉しくて、鏡の前でずっと自分を見ている。その様子をニヤニヤと見ている占部。


 「そのネックレスすごいんやで、身体につけてる間にあらゆる身体状況を常時チェックしてくれるんや」


 「例えば?」


 「風邪とかの体調不良やったり、事故とかの怪我とか、問題点があれば骨伝導で音声が流れてすぐに知らせてくれるし対処法も教えてくれるで!!」


 「すご!!」


 ジーっとネックレスを見つめる勝也、手にとって見てみたりもする。


 「しかももっとすごいことがあってな…」


 間を貯める占部、どんなすごい機能が出てくるのかと身構える勝也。


 「防水なんや!!」


 「………」


 肩透かしを食らった勝也。その反応を見て笑い転げている占部。その後、2人はすっかり旧知の友のように語り合い続けた。


 ――1時間後


 「さて、行くか!!」


 「おお!!」


  玄関で靴を履き、2人は扉を開ける。扉の先はいつもの外の景色ではなく、目一杯に広がる花畑が続いていた。花畑の中央には髪の長い男か女か判断が難しい人が立っていた。


 

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