トラブル遭遇率120%ダメダメ男がメチャモテ青春を送るために主人公を目指す

なんちゃってチャンプル

目覚め



 「5…4…3…2…1…」


 「ねぇ、少し黙れないアンタ?」


 「こういうのは大事やでナナちゃ〜ん」


 「気安く名前を呼ばないでくれる?」


 ナナが糸目の男と話をしている。


 「お、目覚めよったで」


 「ほんとマヌケな顔してるわね」


 倒れている男は起き上がった途端に話しかけられて困惑している。


 「アナタ…自分の名前は言えるかしら?」


 茶髪の髪をかきあげながらナナが質問をする。


 「最上…勝也………ってあん時のロリじゃん!!」


 徐々に周りに意識を向けることができるようになり、頭が整理されていく勝也。


 「その言い方辞めてくんない?アンタとおんなじ15歳なんですけど!!」


 「あははは…自分めちゃくちゃおもろいやん、ロリやってロリ!!」


 ロリと言われて糸目の男を睨みつけるナナ。圧を感じて黙る糸目の男。


 「てことは昨日のあれは夢じゃなかったのか…」


 「アンタ夢だと思ってたの!?」


 「な、俺の言うたとおりやろ?賭けは俺の勝ちやな!!」


 「はいはい……払えばいいんでしょ払えば!!」


 ナナは糸目の男に紙幣のようなら物を渡している。


 「とりあえず自己紹介でもしよか〜」


 糸目の男が立ち上がり勝也に声をかける。


 「俺の名前は占部 誠や!!歳は15やから君とおんなじや!!よろしくな〜」


 占部は笑顔で手を伸ばす。元から糸目なのが笑顔のために余計に小さくなっている。


 「最上 勝也!!よろしく!!」


 勝也も手を差し伸ばす。その様子をジーっと見つめているナナ。


 「ナナちゃんももう1回自己紹介しといたら〜、その方がいいと思うで〜」


 「占部さんがそう言うなら……」


 渋々と勝也に近づくナナ。


 「八代 ナナよ、歳はアナタと同じ15…これから成長するからロリなんかじゃないんだから…」


 「なんやその自己紹介、もうちょいなんかあったやろ」


 顔をリンゴのように赤くしているナナ、それを面白がっている占部。


 「ロリとか言って悪かった……身長が小さいから同い年に見えなくて……」


 「勝也……それは謝れてないと思うで」


 天然で煽ってしまう勝也とそれを聞いて笑いを堪えるのに必死な占部。


 「もう一度殺してあげようかしら?」


 瞬間、空中に現れる無数の砲門。全てが勝也に向いていた。


 「あらら〜……もう姉ちゃん来るのにそんなことしていいんかな〜」


 占部がニヤニヤとそれを見ているなか、勝也は重たい身体を動かして逃げようと必死だった。




―――ガチャ


 扉が開く音が聞こえた。扉からは銀髪の美女イブが立っていた。


 「お姉様…お待ちしておりました」


 さっきまでの下品なナナはどこにもいなくなっていた。


 「お疲れ〜イブちゃん!!今日も可愛いね〜」


 占部がかっこいい声を作り話しかける。


 「ありがとうございます、誠様…」


 イブは一言礼を告げると勝也の方に歩いていく。


 「おはようございます、勝也様」


 「おはようございます…」


 「勝也様にはお伝えしたいことが多数あります。少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」


 「お時間は空いているので全然大丈夫です」


 淡々と続けるイブに対して、つられて敬語になる勝也。慣れていないのか少しおかしな敬語になっている。


 「それでは……ここでは落ち着かないと思いますので1番落ち着けるところに移動してからお話し致します」


 「はい」


 ―――パァン


 イブの手を叩いた音が部屋に鳴り響いたと同時に、勝也の視界は無機質な部屋から見慣れた部屋へと変わっていた。


 「ここなら落ち着けると思います。ナナと誠様がいると話が円滑に進まないと考えましたので置いてきました」


 イブの発言とは裏腹に勝也の頭は全く落ち着いていなかった。

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