僕と神様の脳内世界創生

あがごん

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「それがありならもう何でもありだろ! お願いだからいっぺん死んでくれない?」
最初からチートな設定だったけど、いくらなんでもこれは酷いぞ! 結局現実世界には干渉できることになる。現実世界で透明化が出来るならもう何でもやり放題だ。
「あ、耕太! 後ろ、後ろ!」
「は?」
リリスに言われて振り返ってみると、泥棒が刃物を右手に仁王立ちしていた。
「誰に向かって死ねだってぇええ!? 立場が分かってねぇみてえだな! そこまで言うんだったら覚悟は出来てるんだよなぁ? えぇえ? 縄抜けできねえように結んだのにお前どういうからくりを使った?」
「何を言って……?」
あれ、ていうか僕いつの間にか普通にしゃべってる。何で…そういやガムテープが剥がれてそれから、
「あああああああいやいやいや違うんですこれはいや、あの死ねとか滅相もないですし、」
「むしろもっと死ね。悲しく死ね。惨たらしく死ね。宇宙の塵と消え失せやがれ」
何で僕の声が! リリスのやつ、自分の声の設定を変えて、状況を楽しんでやがる!
「ああ!? 本当に死にてえみてえだな! もう容赦はしねぇ!」 
「違うんです! これは僕じゃないんです!」
やばい、男の目がまじだ! 死を覚悟したその時、何気ない感じでぽんっと右肩を叩かれた。これは角度的にリリスだ。そっか、なんだかんだいってやっぱリリスは僕を助けてくれて―――
「準備は整えたわ。さぁ耕太、頑張って」
……そんなことはなかった。喜色満面の笑みを浮かべたリリスは僕にサムズアップして見せた。
「てめえ後で覚えとけ!」
「ふふっ。耕太ったら面白いこと言うわね。神様相手にてめえ呼ばわりなんて耕太が初めてよ。笑わせてくれたお礼にこれあげる。目には目。歯には歯よ!」
ガッシャン。右肩がずしりと重たくなる。この形状、ゲームで見たことある。
「どうみてもバズーカ砲なんだけど! 正当防衛どころかあらゆる方々を敵に回すことになるんだけど! 明日の朝刊の見出しが『男子高校生、民家でバズーカ砲を振り回す』になっちゃうんだけど!」
「大丈夫、気にしないで」
「お前は悪魔か!」
「物語の神様よ!」
この神様なぜどうでもいいとこだけは譲らないんだ。
「一人でごちゃごちゃうっせえ! 死ねやあああ!」
男の怒声がリビングに響く。接近してきた黒ずくめの男はナイフを僕の胸元に伸ばして、駄目だ、避けられない!
「部外者は黙ってて!」



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