僕と神様の脳内世界創生

あがごん

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ええい仕方がない。立ち向かうのは怖いけど、背に腹はかえられない。母さんを助けに行かないと!
「これを使って。素手で挑むのは危ないわ。はいこれ」
小さいライ麦パンから出た光がどごでごっっドアを小さくしていく。よく分からないけど、手にもって振り回せるくらいの大きさのものになった。僕はリリスからドアを受け取って急いで階下に下りていく。見つかった泥棒はそのまま逃げる可能性もある。けれど母さんが既に泥棒に襲われている可能性があるのならばそれはいくら現実世界では非力な僕でも黙っちゃいられない。大丈夫だと自分に言い聞かせ、気持ちを奮い立たせる。そう、ぶるぶると震え立ち……ん?
「は、はっくしょーん!!!」
またくしゃみが出た。日の照らない午前の時間帯はただでも肌寒いのに水をかぶってとなると尚更冷える。もっと違う起こし方があってもよかったはずなのに。
「誰だ!」
ってやばい、泥棒に気づかれた。低い男の声。父さんの声ではない。少なくともその声に聞き覚えはなく、リアルに泥棒なんだと、分かっていたはずだけどどこか驚いている自分がいる。物語を創ってきた僕が実際に非現実に直面するとこうもうろたえてしまうのか。
隙をついて飛び込もうと思ってたのに!
「耕太、ひるまないで。いい? 私の言ったとおりのことをして。まずは――――」
どごでごっっドアの取っ手を自分側に引く。するとドアの側面から太い針が出てきた。その内、2と書かれた針の先を擦ると、表面の銀色部分が溶けてきた。手に粘りつくその液状のものを今度はドア全体に塗りたくる。ねばねば気持ち悪いが我慢して塗り終えると、ドアノブが外れた。ドアノブの下から赤いボタンが現れる。ボタンを押して、これでよし―――
「―――その次は表面から浮き出てきた文字を紙やすりで削るの。はい、紙やすり」
リリスに言われた通り紙やすりで文字を削っていく。ぴかぴかにしないと作動しないらしい。
「これくらいでいいか?」
「あとちょっと」
さらに擦る。そろそろ手が疲れてきたぞ。と、その時どごでごっっドアが小刻みに震えだした。
これでやっと―――
「で、ドアの裏面に出現した文字キーでいちごパンツと入力するの」
「……これ数字形式みたいだけど?」
「だから、1582よ。いちごパンツといったらその文字列くらい常識でしょ!」
「ああ、そう」
1582と入力するとドアが光り始めた。
「その後はドアを縦に三回、横に二回振って。あ、ドアが地面と水平な状態の時よ」
「そうか水平じゃないと、って長いんじゃああ!!!!!!!!!!」
「ほら、早くしないと捕まるわよ!」



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