小さなヒカリの物語

あがごん

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突然の爆発音とともに、岩や大きなブロックがグラウンドまで飛び散った。どす黒いオウムが瓦礫の中から姿を見せていた。
「なんてタイミングだよ……」
ヒカリ、運命ってお前は信じるか? ヒカリと会って、俺が共に戦うことを決めて、こうやって今ここにいるということは偶然ばかりじゃないのかもしれない。あの時助けられなかったことを俺はずっと悔やんできた。悔やみ続けたからこそお前のそばで血を流せてる。もしも俺がここで力尽きるとしたら、それは結局またヒカリを救えなかったことになる。そしてここで失敗したらもう『また』はない。だから、これが最後。俺が罪を償える最後のチャンスだ。もう手伝う手伝わないの話じゃない。勝って、絶対にお前を家に連れて帰るから。
俺は一呼吸ついて、
「剣を貸してくれ」
ヒカリのそばに落ちている剣を拾い上げる。操力を感じないほんとにただの剣。
「ヒカリは自分が死んだら泣くか俺に聞いたよな? やっぱり俺は絶対に泣かねぇ。ヒカリは俺が絶対に死なせねぇから」
それだけ言って俺は走り出す。ヒカリを助けたい。それだけだ。これからどうしていこうとか考えちゃいない。俺はヒカリを助けたい。オウムの突進の軌道上に体を置いて、前へ突っ込んでいく。
――――――パパはね、人を守る仕事をしていたわ
不意に母さんの言葉が頭をよぎった。これは、父さんは……そうか、そういうことだったんだ。
オウムから黒い塊がとんできた。
回避するために地面を踏み込む。より高く前に跳ぶ。が、届かない。回避は出来たが、このままじゃ剣はオウムに届かない。タイミングがずれている。けど、
「届けぇーーーーー!」
きっとこの剣は届く。そう信じて手に力を込める。思いだとか自分の弱さだとか大切なものとか色々のせて俺は剣を振り下ろす。と、剣が伸びた。俺の感情に合わせて長くなっていく気がした。だから俺はもっともっと力を込めて、
「うおおおおぉーーーーー」
ヒカリを助けたい。その思いがありとあらゆる心の隙間を埋めていく。この剣はきっとオウムを貫く。そして、剣がオウムの表面を裂いて、中心まできて、硬くて、折れるくらい腕に力を込めて、斬れて、そのまま最後まで通って。
「……ぉっと!」
勢い余って派手に転がった。背中を打ち付けて、
「痛ってぇええ! ……ってあれ、痛くない……」
あんなに怪我してたはずなのに痛くない。背中を触ってみると、傷はふさがっていた。他にも違和感を感じて原因を見渡すと、そのことが目に止まった。俺の体からエネルギーが溢れ出している。比喩とか



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