異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
甘い誘惑 ミレイヌとサクラ
「……餅が食べたいな」
カケルさまが突然つぶやいた一言。
これは聞き逃せない。間違いなく美味しいものだと、私の直感が告げている。
「カケルさま、餅って何ですか?」
「うーん、もちもちしていて、びよーんと伸びる食べ物なんだけど、ミレイヌが好きな甘味にも大活躍する食材だぞ。焼いても煮ても揚げても、何をしても大体美味しい」
「なるほど……作りましょう。その餅とやらを。私にできることなら何でも手伝います」
今日は仕事も休みだし、新しい甘味処巡りをしようと思っていたのだが、予定変更だ。
「うーん、実は材料がこの世界には無いんだよな……もち米っていう穀物なんだけど」
「アストレアで採れる米では駄目なのですか?」
「駄目ではないんだけど、やっぱりもち米じゃないとあの粘りは出せないんだよな」
なるほど……品種改良が必要なわけですね。
「だったらサクラに創らせれば良いじゃないですか」
「おおっ!! その手があったか!! ナイスだミレイヌ、早速作ってもらおう」
「――――というわけで、もち米を創って欲しいんだ」
「……私の『樹木創造』を使えば創れるかもしれませんが、膨大な魔力と集中力が必要なことはわかってますよね?」
「もちろんだ。すまないなサクラ」
チッ、サクラのやつ、もったいぶって。さっさと創りなさいよ。
「……仕方ないですね。ではイメージを共有しなければなりませんので、お願いします」
目を閉じてキス顔で待ち受けるサクラ。
なっ!? なんでキスすることになってんのよ!! おでこじゃだめなんですか? おでこじゃ!!
「仕方ないな。これももち米のためだからな」
濃厚なキスを始める二人。
くっ、何で二人がイチャイチャしているところを見せつけられなきゃならないのよ!! でも、お餅のためなんだから我慢しなきゃ……。
――――5分経過
「ちょっと、いつまでやってんのよ!! もう十分でしょ?」
「……あらミレイヌ、駄目よ。この世に存在しない植物を創るんだから、並大抵じゃ失敗するのよ」
「……仕方ないわね。できるだけ早くしてよね」
――――30分経過
……よくここまで耐えたわ。自分で自分を褒めてあげたい。もういいわよね? この爪で引き裂いて……。
「ふう……これなら成功しそう」
チッ……運の良いことね。ほら、さっさと創りなさい。
集中力を高めるサクラ。先ほどまでとは別人のように表情は真剣そのもの。どうやら、ただキスを楽しんでいたわけではなさそうだ。
緑色の魔力が、まるで満点の星空のように輝き空間を埋め尽くす。
「……綺麗」
サクラの樹木魔法……初めて見たけど、なんだか心がぽかぽかしてくる……涙が止まらなくなるわ。
『樹木創造!! もち米!!』
周囲を埋め尽くしていた緑の輝きが一点に集まり、サクラの手元で小さな苗に変わる。
「サクラ、成功したの!?」
思わず叫んでしまう。
「手ごたえはあったわ。どうですか王子さま?」
「……よくやった!! 間違いなくもち米の苗だよ」
やった!! これで餅が食べられる!! グッジョブよ、サクラ。
「ふふふ、やっぱり米を知っている分、成功率は高かったみたい……うっ……」
「大丈夫かサクラ!!」
魔力を使い果たしたのか意識を失い崩れ落ちるサクラ。
カケルさまが素早くお姫さま抱っこで受け止める。
くっ、羨ましいけど仕方ないわね。今だけは見逃してあげるわ。
******
「へ? すぐにはお餅、食べられないんですか?」
「ああ、苗を増やさなければならないし、育てる場所も慎重に選ばなければならないからな」
あああ……何てことなのでしょう。すぐに食べられると思っていたのに。食べられないと知るともっと食べたくなる。うにゃあああああん!!
「……ククッ、そんな顔するなミレイヌ。ちゃんと美味しいモノ作ってやるから」
頭を撫でまわすカケルさまの手が気持ち良い。耳の裏側をモフられるのが好きなこともちゃんとわかっている。
「王子さま!! 私も撫でてくださーい」
くっ、サクラ、お前は散々可愛がってもらったでしょうがっ!! 黙って見てなさいよ!!
「それでカケルさま……美味しいモノって?」
「ふふふ、すあま、だ」
「「すあま?」」
サクラと顔を見合わせる。聞いたこともない言葉だ。
「米を粉にしたものを湯でこねて蒸し、砂糖を加えて熱いうちにつきあげて作るんだ。見てろ」
手早く調理を始めるカケルさま。いつ見ても無駄のない動きに見惚れてしまう。魔法を駆使するので、あっという間に終わってしまうのが惜しいけれど。
「お待たせ、これが、すあま、だよ。向こうの世界で俺の好物だったお菓子だな」
お皿に盛りつけられた、すあま、はほのかな桜色と若草色。もしかして、私たちの瞳の色に合わせてくれたのかしら?
とっても良い香りで、これは間違いなく美味しいはず。
「「いっただきまーす!!」」
もう我慢が出来ない。緑色のすあまを口にいれると、モチモチとした食感とほのかな甘みがくせになる。これは……抹茶味!! ヤバい……美味しすぎる……あああ……いくらでも食べれてしまうわ。
「いや~ん、美味しい~♡」
隣では、桜色のすあまを美味しそうに頬張るサクラの姿が。
くっ……食べたい。あっちの桜色も食べたい。
「……さ、サクラ? こっちのも食べてみない? 抹茶味で美味しいんだから!!」
「ふえっ!? ま、ままま抹茶味!? 食べる!! あ、こっちは桜味よ。交換しましょう!!」
はわわわわ……桜味も美味しいっ!! きっといろんな味付けが楽しめるはず。
また新しい世界が開けてしまったわ。
「二人とも気に入ってくれたみたいだな。よし、今日はすあまパーティーをするか!!」
「「大賛成~!!」」
その日の午後のお茶会は、色とりどりのすあまが主役。色も形も自在に変えられるなんて素晴らしい。当然みんなにも大好評。おやつのローテーションに追加されたのは言うまでもない。
これは……もっと米を増産する必要がありそうね。
近いうちに訪れるであろう、すあまブーム、を見越して、商業ギルドの力を使い暗躍を始めるミレイヌであった。
***************************************
【名 前】 ミレイヌ(女)
【種 族】 獣人族(黒猫族)
【年 齢】 16
【その他】 セレスティーナ商業ギルドマスター
眼鏡をかけた知的美人。黒猫の獣人。若くしてプリメーラの商業ギルドでサブギルドマスターとなったやり手。セレスティーナに新設される商業ギルドのギルドマスターとなる。甘味に目がない。カケルに甘えるときだけ語尾ににゃあが付く。
【名 前】 サクラ=オルレアン(女)
【種 族】 人族
【年 齢】 16
【その他】 騎士団に咲く双花と呼ばれる美少女
大国、アストレア王国オルレアン伯爵二女。漆黒の黒髪に桜色の瞳。主君であるセレスティーナの世話役兼護衛として、留学に同行していたため難を逃れた。現在、プリメーラ騎士団長副官として、災厄に襲われた諸国復興のために尽力している。異世界人の血が強く表れる先祖がえりで、植物を操る樹木魔法を使いこなす。ピンチにあらわれたカケルの事を王子様と呼ぶ。Bカップ
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