異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

飲みすぎ注意


 さて、帝国の幹部ユーリとトラキアの宰相ワルデクズを押さえたことで、当面の時間稼ぎは出来るだろう。

 今後のことや、不慮の事態に対応するため、影響力が高くて有能な奴を数名ずつ彼らの手足になるよう配下にしておく。

 ……あれ? もしかして、ほぼ乗っ取り完了してしまったかも? まあ、深くは考えまい。今は明日の国際会議が最優先だ。

 
 でも……やはり駄目だ。後回しにしても問題ないとはいえ、クルアさまをこのままにはしておけない。

 クルミちゃんのお母さんが、クロエの身内が、魔物化している現状は放置出来ない。


***


『クルア王妃はここにいるよカケルくん』

 ユーリの案内でやってきたのは、地下深くに作られた実験施設。定期的に薬物を投与することで、魔物化を安定化させて行くのだという。


『…………』

 静かに目を閉じて眠っているクルアさま。クロエの母クルルさまによく似ている。

 外見上は普通の獣人にしか見えないが、俺の目には、その異常な本質がはっきりと捉えられている。なんて酷いことをしやがるんだ……。


――――ギリッ!!―――― 


 以前トラシルヴァニアで深海の実験台にされていた初代エヴァンジェリンと重なってしまう。俺が神水を持っていなかったら助けられなかった可能性が高いのだ。歯を食いしばり、激情を抑え込む。


『……本当にごめんなさい。ボクはどれほどの非道を行っていたのかまるで自覚がなかったんだ』
「今はわかっているならそれでいいさ。人間なんて意外と無自覚に生きているものだからな」

 自分の行動がどんな影響をもたらすのかなんて、いちいち考えていたら何も出来ない。だが、それでも考えることを放棄したら駄目だ。特に力を持った人間は。

 クルアさまを始めとした王族の人々は、神水で治療したうえで、クロエのところへ送った。


「それにしても、ここはいろんな研究をしているんだな……」

 ざっと見ただけで、興味深いものがたくさんありそうだ。

『でも、ほとんどが、魔物をモフモフにしてしまうとか、くだらない失敗ばかりだよ?』
「……ユーリ、お前今なんて言った?」

『うえっ!? くだらない失敗ばかり――――』
「違うっ! その前っ!!」

『ひ、ひいっ!? ま、魔物をモフモフ……?』
「そう、それだ!! ユーリくん、でかした。偉大な成果ではないか」

 魔物をモフモフに出来るとか……最高かよ!!

「ユーリ、お前は、引き続きモフモフ化の研究を続けてくれ。成果を期待しているぞ? 必要なものがあれば何でも言ってくれ。資金は惜しまないからな」 

『も、モフモフ化の研究? それになんの意味が!?』
「ふふっ、俺が嬉しい」
『そ、そうか、カケルくんが嬉しいなら頑張るよ!』

 さてとモフモフ化の研究はユーリに任せて、そろそろ屋敷に戻らないとな。


***


 屋敷に戻ると早速牛獣人たちのいる建物へ向かう。


「ひいぅ!? お願い、もう許してええ!?」 
「何を甘えたことを言っているのですか? 国際会議は明日、まだまだ牛乳が足りないのですよ? ほら、もっと食べなさい!! そして上質な牛乳を出すのです!!」

 そこには、中々の地獄絵図が広がっていた。

 明日の国際会議用に必要な牛乳を、サクヤが容赦無く文字通り搾り取っている。特級クラスの搾乳技術により、気持ち良さそうなのは、不幸中の幸いだ。


『搾乳を記憶したよ、むふふ』


 そして、牛乳を搾り取ることだけが搾乳師の仕事ではない。マッサージを施すことで、牛乳の出を良くするのも大事な役目となる。


『増乳マッサージを記憶したよ、このスケベ』

 ……リエルさん!? 最近自由ですね……

 脳内天使の声は無視だ無視。

『今夜、増乳マッサージと搾乳して欲しいんだけど?』

 ごめんなさいリエルさま、無視なんて嘘です。ぜひやらせてください天使さま。


 一方で、男たちの肉を収穫するのも、搾乳師の仕事になる。まあこちらは、食べさせるだけの簡単なお仕事だから、基本メイドの仕事になるけれど、なんか働かせ過ぎで申し訳ないな。


「無理言ってすまないなサクヤ」
「あっ、英雄さま!! お帰りなさい!!」
 
 満面の笑みを浮かべるサクヤ。初対面時のガン付けはどこ行った!?

「じゃあ少し休憩にしましょう。しっかり栄養を摂って、休んでね」

 サクヤの言葉に安堵の声が広がる。

 すまない、いきなりスパルタな状況になってしまってすまない。今日明日だけの辛抱だから!!


「お疲れさまです。一杯飲みますか?」
「そうだな、ひと暴れして喉が乾いた。サクヤも異空間で休憩した方が良いだろう?」

「異空間!? ……そ、そうですね! サクヤ疲れちゃったなあ〜!」 

 たしかに顔が赤いな……診察も必要かもしれない。

「お待ちください! 失礼ながらサクヤさまの乳量では、とうてい英雄さまを満足させられないかと。私たちも微力ながら協力いたします!」

 待ったをかけて来たのは、ミクルとミクの黒髪牛獣人姉妹。

「くっ、たしかに……まあ居ないよりはマシでしょう。付いてきなさい」

 俺……どんだけ牛乳飲むと思われてんの!?

「お待ちなさい! 貴女たちでは焼け石に水ですよ? 私も行きましょう」
「お、お母さん!?」

 結局、ミルルさんも来るのね……



「さあ英雄さま、貴方の専用乳嫁のミルク、とくと召し上がれ」

 サクヤさん、専用乳嫁って何!?

「英雄さま、私たち専用乳姉妹のミルクも美味しいですよ?」

 専用乳姉妹……なんか卑猥だな。

「ふふっ、英雄さま、私の専用乳母熟ミルクもどうぞ」

 専用乳母熟ミルク……この最強感よ。


 やれやれ、これは驚いた。幸せって割と身近に転がっているものなんだな。えっ? そんなのお前だけ? せやな。


「英雄さま……も、もう出ません……」
「も、もうらめえ……」

「大丈夫! さっき増乳マッサージをマスターしたからな!」

 ふふふ、これを試したくて、急いで飲み干したのだよ。

「ひいぅ!? うそっ!? すごいイイ!?」 
「ま、また出てきた! き、気持ち良いいい!」
 
 すごいな増乳マッサージ。いくらでも湧いてくるではないか!!

 


「だ、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫、ちょっと飲みすぎたな……う、腹が……!?」


 調子に乗って飲みすぎたカケルであった。

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