異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
凝ってないのに凝っていると言ってしまう乙女心
「なるほど、フレアは肩凝りに悩んでいたのか。さすがはミヅハ、よく気付いたな」
『ふふっ、お兄様に喜んでもらいたくて頑張ったのです』
有能で可愛い妹の頭を撫でる。
ククク、これでアリバイ成立。本当は鑑定で肩凝りが分かったから、ミヅハに頼んだだけなんだが、俺が指摘するのもいやらしい感じがするからな。うん、良かった良かった。
「でも、まだ肩凝りが解消された訳じゃないから、マッサージしてあげよう」
「ふぇっ!? ま、マッサージですか?」
(ふふっ、結局いやらしい感じになるのに、アリバイ作りしようとするお兄様、お可愛いです)
「ああ、これでも得意なんだ。任せてくれ」
「は、はい、お願いします」
うわあ……これは酷い、これじゃあ相当辛かったはずだが、魔力で誤魔化していたんだろうな。これは本気を出す必要がありそうだぞ。
10本の指に神気をまとわせ、神級スキル並行動作を発動。マッサージスキルカンストの俺の施術をとくと味わうが良い。
「うはあっ!? うへぅ!? な、何コレ……うわあああ!?」
「あ、ありがとう……ございました……肩凝りすっかり解消……しました……気持ち……良かった……でしゅ……」
息も絶え絶えのフレアだが、施術の効果はしっかりあったようだ。うむ、善きかな。
「あ、フレア、そういえば、まだ婚約のキスをしていなかったな」
「ふぇっ!? ま、待って!? い、今されたらおかしくなってしまいます――――フニャあああ!?」
「くっ、フレアの奴め、うらやましい。ダンナさま、我のまな板も凝りが酷いのだが?」
「お、お姉ちゃん!?」
驚くヴァニラを余所に凝りを申告するマーリン。まな板が凝っているのか、まな板のせいで凝っているのか、それが問題だ。
だが、どちらにせよ婚約者の体調管理も夫たる俺の大事な務めだからな。気付かなくて申し訳なかったが安心して欲しい。
「すまなかったなマーリン、気付いてやれなくて。辛かったことだろう」
「う、うむ、早く施術してくれ」
「了解、じゃあ俺の膝の上に乗ってくれ」
「ふぇっ!? ひ、膝の上? わ、分かった」
他に何処でするというのかね? んふふ。
「ふにゃあああああ!?」
「ん? おかしいなマーリン、全然凝ってないじゃないか?」
「うにゃあああああああ、ご、ごめんなさい、嘘をつきましたああああ!」
「悪い子にはお仕置きだな」
「うはあああああああ!」
「お姉ちゃん……」
む、いかん!? このままでは、マーリンの姉としての尊厳が……
「良かったら、ヴァニラもどうだ?」
「ふぇっ!? そ、そそそういえば、何か最近凝っているなあ……なんて?」
顔を赤らめるヴァニラが可愛い。
「分かった、おいでヴァニラ」
「にゃにゃにゃああああああ!?」
良かったなヴァニラ、大好きなお姉ちゃんとお揃いだ。そしてマーリン、お前の姉としての尊厳も何とか守れたから安心して欲しい。
***
「じゃあ、俺はホワイティアに戻って、みんなを迎えに行ってくるから、ゆっくりしててくれ」
ホワイティアの族長に挨拶もしなければならないし、意外に時間がない。マッサージしている場合じゃなかったよ。
『……お待ち下さいお兄様』
ものすごい力で両肩を掴まれる。
「……酷い凝りだな、ミヅハ」
『はい、お兄様、全身が酷い凝りなのです。ミヅハの半分は凝りで出来ていると思うのです』
にっこり微笑む妹が眩しい。
精霊神に凝りがあるのかなんて野暮なツッコミはしない。ミヅハがあると言えばあるのだ。
創造神さまにもしょっちゅうマッサージせがまれるしな。
やれやれ、隣で時空魔法がストレッチを始めたようだ。
誰か俺の凝りもほぐしてくれないかな? え? 贅沢言うな? 分裂して自分でやれ? ははは、おっしゃる通りで。
***
「英雄殿、よくぞ参られた。私がホワイティア族長のハクシ=ホワイティアだ」
迎えてくれたのは、見た目20代後半ぐらいの白髪のイケメン。どうみてもハクアの父というより、お兄さんという印象だ。
この世界では魔力量が多いと寿命も長く、見た目も老けないようなので、一般人に比べて魔力量が多い傾向がある王族の場合、見た目の年齢は当てにならないことが多い。鑑定があるし、もう慣れたけどね。
「異世界人のカケルです。お会いできて光栄です」
「うむ、山脈消失によるキャメロニアとの紛争の件、あと少しで取り返しがつかなくなるところであった。それに、食糧支援、バイキン族の撃退、さらわれた国民の救出まで……族長として心からの敬意と感謝を贈りたい。本当にありがとう」
一旦話を止め、ジッと俺を見つめる族長。そのまなざしは全てを見通そうとするかのようで、誠実で真っ直ぐな人柄が伝わってくる。
「ところで、話は変わるが、我が娘ハクア、そして北方騎士団長ネージュを嫁にしたいというのは間違いないか?」
族長の視線が険を帯びたものに変わる。当然だ、愛する娘を嫁に欲しいなんて言われたら皆そうなる。
「はい、必ず幸せにします」
「……そうか。英雄という立場、各国における地位、そして我が国における功績、どれも申し分ない。ホワイティア族長としては許そう」
「ありがとうございます」
「だがな、私とて人の親、英雄殿に1つだけたずねても良いかな?」
「何なりと」
「ありがとう。では聞かせてくれ、もしハクアとネージュが、同時に危機に陥ったら英雄殿はどちらを助けるのかな? 正直に答えてくれて構わない」
「そんなの決まってます。2人とも助けますよ、俺にはそれが出来る。その程度のことが出来なくては、英雄は名乗れませんからね。その名に恥じるような生き方は絶対にしません。そして、このホワイティアも、俺の故郷の一つになりました。俺にできることなら何でも協力は惜しみません」
「ククッ、即答か……面白い男だな、気に入ったぞ婿殿」
険しい顔が破顔すると、すっかり優しい笑顔になり、力強く抱きしめてくれるハクシ族長。ちょっとだけ父さんを思い出して泣きそうになったのは内緒だ。
そして、族長に言われて考えたことがある。万が一、婚約者全員が同時にピンチになったとき、果たして今の俺は、全員助けられるのかってね。
考えたら、この世界に家族と呼べる人たちがたくさん出来た。そして、その人たちは全員守らなければならない。それは絶対だ。俺が自分自身と交わした約束。どんなことをしてでも、必ず守り抜いて見せる。そのためにも、俺はもっともっと強くならないといけないな。
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