異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

ここはイチャイチャ部屋ですか? いいえ、王宮です


「いやあ……相変わらずお美しかったなあ、竜騎士団長殿は。なんといっても、我が国でお嫁さんにしたい人気ナンバーワンだからね! もしかしたら、ワンチャンあるかも、俺を見る目に熱を感じた気がする……」

 憧れの竜騎士団長エレインに会えて興奮が収まらないベルトナー。何でも、本来会うことはもちろん、見かけるだけでも幸運に感謝するほど雲の上の存在らしい。

 すっかり浮かれモードのベルトナーくんだが、それは熱ではなく圧だ。相変わらずの前向きさは素晴らしいけどね。

『諦めなさいベルトナー。騎士団長殿は、すでにカケルさまにメロメロです。完落ちです。ですが、さすがは竜騎士団長殿、よく耐えた方です』

 ヒルデガルドが無慈悲な事実を告げる。っていうかそうなの!? ま、まあ彼女が言うならそうなのだろう。

「は!? さっき会ったばかりじゃないか。そんな馬鹿なこと……ああ……あるね。ていうか、そんなんばっかりだよね!? 俺、彼女出来ても、絶対にカケルくんに紹介しないからな!」

 さすがベルトナーくん、切り替えが早い。傷が浅いうちに告げたのが良かったのかもしれない。ヒルデガルドグッジョブ!

「ベルトナー、彼女出来てから心配しなよ。十年早いって」
「み、美琴たん……そんな酷い……ってあれ? 怒らないの? えへへ、美琴たん美琴たん美琴たん、ぶべらあああ!?」
「たんたん言うなあああああ!? はあはあ……やっぱり無理だよ先輩。生理的に無理!」

 あーあ、調子乗りすぎだよベルトナーくん。せっかく美琴にちょっとは流してあげたらって言ってやったのにな。

「え? でも、ベルトナーさまは素敵な殿方だと思いますよ? その赤い髪も格好良いですし」

 孤立無援のベルトナーにまさかの援軍が現れた。

「の、ノスタルジアさま……あ、ありがとうございます! うおおおおお、ぶべらあああああ!?」

 感極まったベルトナーくんが、ノスタルジアに抱き着こうとしたが、当然ミヤビにぶん殴られて壁にめり込む。生きてるよね?

「ノスタルジアの半径5メートル以内に近づくな。次は斬る」
「しゅ、しゅいましぇんでした……がくっ……」

「旦那さま、ベルトナーは中々根性があるな。良い騎士になりそうだ」
「セレスティーナ、お前は本当に可愛いな。愛してるぞ」
「ふぇっ!? そ、そそそそうか? えへへっ、こんな場所で旦那さまってば……ほら、抱きしめて良いぞ?」
 両手を広げる彼女を抱きしめ、セレスティーナ成分をしっかり補充する。

「くっ、やはりセレスティーナ、恐ろしい子」 
「ほら、いつもそうやって解説しているから出遅れるんだよクロエ、基本先輩は早い者勝ちなんだから、ぐいぐい行かないと」 
「そう言う美琴さまだって出遅れているではないですか……」
 ジト目するクロエ。
「違うよ? 私はこうなるのを待ってたんだよね。ぐふふ」
 カケルとセレスティーナを両方堪能しようという美琴の深謀遠慮に戦慄するクロエ。さすがは勇者だと、敬意半分、呆れ半分だ。

「行かないなら、1人で行くね!」
「ま、待ってください、私も行きます!」
 カケルとセレスティーナに飛びつく美琴とクロエ。

「まあ、うらやましい! 私たちも行きましょうミヤビ姉さま!」
「ふふっ、異存はない!」

 遅ればせながら参戦するノスタルジアとミヤビ。

『カケルさま!』
「はいよ、分裂!」
 ヒルデガルドの声に、阿吽あうんの呼吸でスキルを発動させる。
『ふふっ、カケルさまを独り占めです♡』
『では、私もこちらにお邪魔しますお兄様』


「あの……ここ、一応王宮なんだけど?」

 ベルトナーの声など届かない。彼の魂はすでに肉体から離れつつあったから。

『カケルくん、お取り込み中なんだけど、ベルトナーくん、死んじゃうよ?』


 リエルの機転で一命を取り留めたベルトナーくんであったとさ。

***

「皆さま、お待たせしました――――って何この状況!?」
 エレインさんの副官、カルラさんが呼びに来てくれたんだけど、すっかりイチャイチャ部屋と化した惨状に固まってしまう。

 ま、マズイぞ、助けてヒルデガルド!

『カルラさま、宜しければ、私の隣が空いております』

 ば、馬鹿、そんなの通じる訳――――

「え!? 良いんですか? お邪魔しまーす!」
 通じたよ……っていうか、カルラさん意外と積極的なんですね!? 猫みたいにスリスリしてくるのが可愛い。



「むぅ……遅いな、カルラの奴。陛下、ちょっと見て参ります!」
「うむ、わかった」


「まったく……一体何をしているんだ……陛下を待たせるなんて」


「…………」
 控室の惨状を見て固まるエレインさん。

 ま、マズイ、ヒルデガルドどうすれば?

『カケルさま!』
 そ、そうか!
『分裂!』

 分裂して両手を広げる。後はヒルデガルドを信じるだけだ。

「え? え? カケルさまが二人? こ、これは……どっちに抱きつけば良いのか……」
 よし、誤魔化せた。後はエレインさんを前後からサンドイッチハグだ!
「うはあ……何これ……いやあああ!? て、天国……」
 気を失うエレインさん。

『カケルさま初心者にサンドイッチハグは刺激が強すぎたようですね……私でも耐えられたかどうか……』
 逆になんでそんな危険なものをやらせたし!?
 
「……で、どうすんのこれ?」
『ここは眠り姫作戦で!』
 神水を含んだキスでエレインさんを起こす。
「……カケルさま、ここまでされては――――」
「わかった、お嫁さんだな、エレイン」
 満足そうにこくこく頷く竜騎士団長が可愛い。

「だ、団長ばっかりズルイです! 私だってほら、こんなことされちゃいましたよ?」
 いや……カルラさん、それは貴女が自分から……え? 拒否しないのが悪い? そうですね。

「わかった。カルラもお嫁さんだ」
「やったー! ってあれ? なんか忘れているような……」



「遅い……くっ、そうか! 高度な心理戦だな。お前の方が立場が下なんだという暗黙のプレッシャーか。ククッ、さすがは異世界人の英雄。会うのが楽しみであるな」
 
 さんざん待たされるも、前向きな陛下であった。

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