異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

神々との熱い夜


「……お待たせ、ミコトさん」
『ん、大丈夫、今来たところ。南国の海でとか燃える』


 ここからは、ミコトさんとのお楽しみタイムが始まる。熱帯の灼けるような熱い熱い夜がね。



『何言ってるのよ? 私も忘れないでね』

 はいはい、わかってますよイリゼ様……って、なんで三人!? 

 まるで分身の術みたいに、イリゼ様が三人いるんだけど!?

『ふふふ、アリエス、ソフィア、リリアの三人の聖女の身体がここには揃っていたからね。覚悟しなさい』

 くっ、一人でも大変なのに3人だと……俺を本気で殺しに来ているのかもしれない。

『……ずるい、イリゼ、私にも一人分けて』
『え? いや、そんなの無理……って泣かないで!? わかったから、キリハ! 来なさい』

『はっ、お呼びでしょうかイリゼ様』 

 死神キリハさんが現れる。相変わらず可愛いな。

『ち、ちょっと……イリゼ様の前でやめてよね!?』

 照れるキリハさんは可愛いが、まずいかも……

『……キリハ、私の前でいちゃつくとか、良い度胸じゃない?』

 イリゼ様がとってもいい笑顔で、キリハさんに微笑みかける。まるで死神のように……

『ひぃっ!? も、申し訳ございません……』
 
 ……キリハさん、俺のせいで、本当にごめんなさい。

『キリハ、許してあげるから、ちょっとミコちんに身体貸しなさい』
『へ? ミコト先輩にですか? わ、わかりました――――ひうっ!?』

『……ふーん、あんまり違和感はない』

 さっそく身体を乗っ取ったミコトさんだが、本当に違和感がない。

 ……っていうか、もともと見た目ほぼ同じなんだから、何が変わったかわからないレベル!?


 ま、まずいぞ……イリゼ様が三人に、ミコトさんが二人。客観的にみれば俺、大歓喜なんだけど、いやコレ無理でしょ!?

 まるで邪神と相対しているような……いや、それ以上の絶望感に襲われる。


『ふふっ、カケルくん、大丈夫よ? ちゃんと秘密兵器持ってきてあげたから』

 俺の心配などお見通しだというように微笑むイリゼ様。

『……イリゼ、まさかとうとう手に入ったの?』
『ふふん、もちのろんよ! 宝物庫からこっそり借りてきたわ』

 こっそりって……それまずいんじゃ?

『大丈夫、こっそり戻しておけばバレないから』

 そういってウインクする女神さまは大変お可愛い。まあ俺がとやかくいうことでもないしな。

 それで、一体秘密兵器ってなんだろう? この絶望的な状況を救ってくれるものなのだろうか?

『ふふふ、カケルくん、聞いて驚きなさい、神級スキル『分身・分裂』よ』
『あ、あの、かつて世界の三分の一の女性を妊娠させてスキルを取り上げられたという伝説の……』

 ミコトさんが、ガクブルしながら棒読みする。

 なんだそのエロ魔神は……たしかに世界の危機ではあるが。ある意味邪神よりたちが悪いが。

『ふふん、要は使い方次第ってことよ。包丁だって危険だけど、みんな健全につかってるでしょう?』

 たしかにおっしゃる通りなんですが、今の話の流れからすると、あきらかに健全な使い方じゃなさそうなんですが!? 

『そんなことないわよ? 無差別と婚約者相手じゃ全然意味が違うでしょ?』

 言われてみればその通りだな。俺としたことが……ありがとうございます! 目が覚めました。

『んふふ、わかればいいのよ。さあ、使ってみて!』

 イリゼ様の手から、輝く球体の光の玉が飛んできて、俺の身体に吸い込まれる。


『神級スキル、分身・分裂 を取得しました』
 
 あ、あれ? いつものリエルの声じゃない? 

『ああ、今のは私』

 ミコトさんが茶目っ気たっぷりに、無表情でそんなことをいう。うん、無表情でも俺にはわかるんだよ。そんな可愛いミコトさん二人を並行動作で抱きしめる。

『ふふっふ、カケルったら、せっかちなんだから』
『うう……カケルくん、私が淋しいじゃない。早くスキルを使いなさい』

 おっと、放置される形になったイリゼ様が、お怒りだ。さっそく使ってみるか。

 ふむふむ、分身はあくまでも影みたいなもので、分身が倒されても痛みは感じないけど、分裂は完全なコピーで、魂も共有しているから、分裂体が死ぬと本体も死ぬんだな。状況に応じて使い分ける必要がありそうだ。

『分裂』

 試しに二人に分裂してみる。おお、不思議な感覚だが、ここまでは『並行動作』で慣れているから、違和感はないな。よし、もう少し増やしてみるか……

『分裂』

 さらに分裂をして、二人が四人になる。ふふふ、以前なら戸惑っていたかもしれないが、成長して多くの神級スキルと神気を扱えるようになった今の俺にとっては、朝飯前だな。うむ、ここはさらなる高みを目指すべきだろう。四人じゃ、まだ数で負けてるし。

『分裂』

 さらに分裂して、八人になった俺。ククク、とうとう数でも上回りましたよ?


『ねえ……イリゼ、ヤバくない?』
『……まさか、ここまで使いこなすとは……ヤバいかも』

 八人になったカケルが軽快にストレッチを始めるのを見て、戦慄する二人の女神。

「ふしゅううううううう……さあ、そろそろ行きますよ?」

『ひぃ!? か、カケル? いきなり八人は……もう少し慣らしてから……』
『そ、そうよ!? 初めてなんだから、もう少し慎重に……』

 必死に思いとどまらせようとするが、もう遅い。

「ははは、大丈夫ですって、俺なら完璧にコントロールしてみせます」

 イリゼに四人、ミコトにも四人のカケルが一斉に襲い掛かる。

『ち、違っ、こっちが大丈夫じゃ……しかもなんで四人!? うはあ!? 駄目ええええええ!?』
『くっ、四対三なら、まだ何とかなるか……いやああああああ!? ならなかったあああああ!?』

 ははっ、これはすごい……まだまだ行けそうだ。

『分裂』 

 とうとう十六人になったカケル。職人気質の彼にこんなスキルを渡してしまったイリゼが悪い。こうなることはわかっていたはずなのに。


『……あ、あああ、もう駄目……キリハ、身体返す』

 二人になれば、ダメージも二倍になる。キリハに身体を返すことで、ダメージの軽減をはかるミコト。

『うえっ!? ち、ちょっと、ミコト先輩!? うはああああああ!? 無理無理無理いいいいい!?』


 一方のイリゼは逃げ場がない。三倍ダメージを喰らい続けている。

『ま、負けたから……もう負けたから!? もう勘弁してええええええ!?』


***


「すいません……調子に乗りすぎました」

 美しい土下座を披露するカケル。


『ん、分かれば良い』
『そうね。元はといえば私の責任だし』
『……私は完全な被害者なんですけど……』

 ほっ……何とか許してもらえそうでよかった。


(イリゼ、あのスキルどうするつもり?)
(えっと……もう少しの間、カケルくんに預けておこうかな?)
(……ぐっじょぶ、イリゼ)
(……ま、まあ、仕方ないかしら、婚約者だし)

 どうやら、女神たちのお気に召したご様子。


 翌朝――――

「……なんで!? 足腰が立たなくなってるんですけど!?」    

 絶叫する、美琴、アリエス、ソフィア、リリアの四人であった。 

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