異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

ダブルミコトサンド


「なあリーヴァ、今度はいつ脱皮するんだ?」

 なぜそんなことを聞いているかというと、現在触媒にしている三叉の矛の使用期限があと百年ほどで終わってしまうからだ。

『大体千年に一回だから、そろそろだな。まあ、脱皮に関しては別にしなくてもそれほど問題はないのだが』
「それほど? ということは、多少問題はあるのか?」
『うむ。ボンキュッボンのセクシーな体形になるぐらいだ。それに使用期限については、魔力補充すれば事足りるでな』
「……大問題じゃないか!! すぐに脱皮だ」
『……せやな』

 ということで、リーヴァの脱皮に協力することとなった。

 もちろん、実際に皮を脱ぐ訳ではなく、あくまで概念的な意味での脱皮だが。


『くっ、主、もっと強く……あっ、激しい!?』
「こうか? これが良いのか? ふんっ!」
『あああああああああ!? そ、そうだ、ああ、出来そう! だ、脱皮してしまううぅぅ!!』

 無事脱皮に成功したリーヴァ。よく頑張ったな。偉いぞ! 頭を撫で回す。


「先輩……脱皮って大変なんだね(棒読み)」

 呆れる美琴だが、見た目より体力使うんだぞ。これ。

「カケルさま、私たち半魚人族も、年に一度、脱皮ならぬ脱鱗があります。手伝ってもらってもよろしいでしょうか?」
「大船に乗った気になってもいいぞ!」
「大船?」
「安心して任せろってことだな」


「ああああああ!? カケルさま、気持ちいいです! せ、背中もお願いしますうう……」

 鱗がボロボロ剥がれるので気持ちが良い。こんなのいくらでも出来ますよ? 年に一度、バカンスを兼ねて、エメロードラグーンで脱鱗屋をするのも悪くない。

 サフィール、キトラ、ナディア、フローネの脱鱗があっという間に終わってしまった。くっ、年に一度なのが残念だ。 


『……主様、私も脱皮が近いのですが?』
「よし、任せろシードラ」

 女神降臨、これは大きいからやりがいがありそうだ。え? 人型でやるの? ……そうか。

『うはあああああああ!? こ、こんな脱皮知らない、おかしくなってしまいますうう!!』

 シードラも生まれ変わったように、つやつやのピカピカだ。

 ふふふ、だいぶ脱皮のやり方のコツが分かってきた。これはクセになる気持ち良さだな。他人の日焼けの皮をペリペリ剥くのに似ている。クロドラたちも脱皮するなら、今から予約しないと。んふふ。


 一方で見ているだけの美琴は焦っていた。

(くっ、私も何か無いのか? っ!? そうだ!)
 
「先輩! 私も脱衣したいんだけど、手伝って欲しいな?」
「……美琴」
「なあに先輩?」
「やはりお前は最高だな!」
「んふふ、でしょでしょ?」


「うはあ!? こんな脱衣初めてえええぇっ!」


 
「勇者さま……それはちょっと違うのでは?」 

 唖然とする半魚人族のサフィールたちだが、 

『さすがは勇者、これならば毎日でも主に手伝ってもらえるではないか! ゴクリ』

 リーヴァの言葉に即座に考えを改めるのであった。


***


『……で、何? 私も結構忙しいんだからね?』 

 婚約者になっても、いつも通りなキリハさん。顔が赤いのが可愛い過ぎて困る。そして、心の声を聞いたキリハさんが更に真っ赤になるという甘々ループ。

『だ、誰が甘々ループよ! いいから用件は?』
「この場所の結界が緩んでいるので、直してもらえないかと思いまして。最強の結界師といえばキリハさんですし」

『ふーん……でもこれ、直すより、張り直す方が楽よ? 私たちしか入れない愛の結界……なんちゃって』
「そうなんですけど、アビスとエメロードラグーン両国の絆を完全に無くしたくはないんですよね」

『……一応ボケたんだから突っ込んでよね! 泣くわよ? まったく……分かったわよ、今の術式をベースに再構築してあげる』
「ありがとうございます!」
『こ、こらっ、いちいち抱きつかないの! 本当に駆は私が大好きなんだから……』

 結局、三叉の矛は、古いものに俺が神気を補充して再利用することになった。

 え? それなら脱皮しなくても良かったんじゃないかって? そんなことはない。主にリーヴァの体型維持の為にも必要だったんだよ。


「モグタン、頼む!」 
『お安い御用モグ!』

 そして海中に沈んだ大聖堂は、モグタンの力で再び海上にその姿を現す。

「ミヅハ、頼む!」
『お任せ下さい、お兄様』

 ミヅハの力で、あっという間に大聖堂は、ピカピカに生まれ変わる。


『後は、アビスとエメロードラグーンが友好国に戻れば、結界がより安定するわ』

 キリハさんの言う通り、結界の強度は両国関係に左右されるから、出来れば末永く仲良くしてもらいたいものだ。結界の範囲が広がっているのは、俺とキリハさんからの祝福だよ。


「さあ、王女さまを迎えに行こうか!」
「「「「はい、カケルさま!」」」」


 歩きだした俺の肩がガッシと掴まれる。うっ、びくともしないんだけど!?

『駆……まさか呼び出しておいて何もなしとかないわよね?』

 振り向けば、とても良い笑顔のキリハさんがいらっしゃる。

「みんな……悪いけど先に戻っててくれないかな?」
「わ、わかりました。頑張ってくださいね」

『カケル、当然私も参加する』

 くっ、まさかのミコトさんの参戦。これはダブルミコトサンドのチャンスではないか!

「10秒だけ待ってて下さい」

 急いでアビスに戻り、アクアにスキルで癒してもらい元気をフルチャージする。

「英雄殿、何かあったのですか? まるで死地に赴く戦士のような顔をされていますが」

 ふっ、さすが歴戦の守備隊長アクア。わかってしまうか。

 そう、俺がこれから赴くのはまさに死地。二人の死神との戦いだ。正直生きて戻れるかは不明だ。

「何も聞かずに送りだして欲しい。行ってくる」

 もう後戻りは出来ない。本日最大の戦いが今始まる。

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