異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
かわいい美琴たん
「どうかお仕置きしてください」
キャメロニアの海賊どもを無力化していたら、突然一人の男が私の前に飛び出して、こんなことをのたまった。
「……は? ここはそういうお店じゃないんだけど?」
美少女にお仕置きするなら喜んでやらせてもらうけど、男に興味はない。まあ先輩は例外だけどね、んふふ。
「ね、ねえ、君って日本人でしょ? ってもしかして不知火美琴?」
「んん? 確かに私は不知火美琴だけど……もしかして君、転生者だったりする?」
***
女神さま、ありがとうございます。運命の出会いキター!!
おいおい、異世界で好きだったアイドルに出会うとかやばくない? 俺の主人公補正も捨てたもんじゃなかった。いや、ここから俺の物語が本当の意味で始まるね。
いやあ、赤ちゃん転生して良かったよ。この世界の俺、容姿も悪くないし、以前のままだったら無理ゲーだったね。それにしても……美琴たん可愛い。もはや女神クラス? え? いいの? こんな娘が俺のお嫁さんでいいの?
「あ、うん、俺は転生者なんだ。美琴たん……美琴さんは、転移なのかな?」
「……たん!? そ、そう、勇者としてこの世界に送り込まれたんだよ。ベルトナーくん」
「え? なんで俺の名前……もしかして運命?」
「うえっ!? ち、違うから! 鑑定だよ鑑定!」
す、すげえ……まさかの勇者。あれ……もしかして俺って悪者ポジション? めっちゃ凹む……でも、照れてる美琴たん可愛いし、もうどうでもいいや。一生付いていきますよ!
「あれ? 美琴、何してるんだ?」
む! 誰だ? 俺の美琴たんを気安く呼び捨てしやがって!
「あ、先輩、なんか転生者みたいだよ? やっぱり居たね」
……先輩? なんだ……この超絶色男は……ヤバい……格好良い、おかしいな……そんな趣味ないんだけど?
「おお、やっぱりいると思ったんだよ。俺は駆。よろしくなベルトナーくん」
ええ……いいなあ。俺も鑑定欲しかったな。
「ところで、たっぷりと言い訳を聞かせてもらおうか? ベルトナーくん?」
「ひっ!? ひぃぃぃ……」
駆くんの目がすっと細められて、背筋が凍りそうになる。そうだった。俺は悪者ポジションなんだった!? た、助けて美琴たん!
「あ、ベルトナーくん、先輩にウソとか誤魔化しは一切通じないから、素直に全部話した方が印象良いんじゃないかな?」
女神さまがとても良い笑顔でアドバイスしてくれた。
ええ、話しましたよ? 転生する前から今までのこと全部事細かに話しましたとも!
でも、駆くんは、俺の拙く面白くもない話を、真剣に時折頷きながら、ちゃんと聞いてくれたんだよね。なんかめっちゃ良い人。ちなみに美琴たんは途中から寝てたけどね!?
「……マヨネーズだと!?」
ええっ……反応するのそこ!? 結構いろいろ話したよね? 俺の人生よりマヨネーズが上かよ! まあ、マヨネーズ無双してた俺がいうことでもないか。
「あれ? この世界あんまりマヨ一般的じゃないんですか?」
同じ歳だけど、ついつい敬語になるのは仕方ないんだ。許してほしい。
「ああ、他では見たことないな。良くやったベルトナーくん」
おお、なんか褒められてすっげー嬉しいんだけど。あれ……なんか涙が?
「うーん……ねえ話し終わった?」
あくびをしながら起きてきた美琴たん。くっ、可愛い。寝顔も可愛いし、自由奔放な猫みたいなところもたまらなく可愛い。
「すごいぞ美琴、ベルトナーくん、マヨネーズ作ってるんだってさ」
「ふえ!? マヨネーズかあ。私嫌いなんだよねマヨネーズ……」
ぐはっ!? お、終わった……俺のアイデンティティが否定されたも同然。この世にマヨネーズ嫌いな人がいるとは……
「ふふっ、そんな美琴でも美味しく食べられるマヨネーズ料理作ってやるから、楽しみにしてろよ?」
「うえ!? やったー! 先輩の料理なら、私もマヨネーズが好きになるかもしれない」
キター!! マヨネーズ=俺 を好きになるかもしれない。お言葉いただきました。ありがとうございます駆くん、貴方料理まで出来るとか、素敵超人じゃないですか!
「それで、結局ベルトナーくんはどうするの? やっぱり鉱山送り?」
うぎゃああああ!? こ、鉱山送り!? あの過酷で危険なイメージの恐ろしい場所へ送られちゃうの俺?
「うーん、まあ話を聞いた限りだと、仕方ない部分もあったようだし、俺たちに協力してくれるんなら、鉱山送りにしなくてもいいかな。体力もないみたいだし」
か、駆くん……貴方は神か?
「きょ、協力します! 何でもしますから! お願いします!」
「お、おう……分かった。ちょうどキャメロニアの協力者が欲しかったからな?」
「あ、ありがとう駆くん。恩に着るよ。でも、油断しないで、ガウェインさまはマジで危険だから」
日が出ている間は、ほとんど無敵状態の化け物だ。いくら勇者がいるとはいえ、危険すぎる。
「ガウェイン? ああ、そいつなら、ふざけたこと抜かしたから、ボコボコにして反省してもらってるぞ。殺そうかと思ったけど、貴重な労働力だからな」
……ああ、そうか、この人はアレか! いわゆる規格外チートってやつだね。あぶないあぶない。とんでもない人に敵認定されるところだったよ。うん、決めた。この人に付いていこう。うまくいけばおこぼれがもらえるかもしれないし。むふふ。
「駆くん! 俺を弟子にしてください! 住み込みで雑用でもなんでもしますから!」
土下座を決めて頼み込む。
「うえっ!? 弟子? なんのだよ? でも、雑用なら仕事はいくらでもあるから助かるけど?」
「何でもいいので、お願いします!」
「そ、そうか。でもベルトナーくん、一応男爵なんだろ? 良いのか?」
「全然OKですよ! 名ばかり男爵ですし、領地もありませんから!」
「わかった。じゃあよろしく頼むよ、ベルトナーくん」
やったぜ! そばにいれば、美琴たんとのラッキースケベとかむふふな展開があるかもしれないし、次第に距離が縮まって……なんてことも? 可能性としては存在する。これは勝ち組確定来たね!
可哀想なベルトナーは知らない。そんなことは100%起こらないということを。
そして、そのことに彼が気付くまで、まだもう少し時間がかかるのであった。
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