異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

精霊たちの悪戯


(あれ……なんか全然休めていない気がしてきたぞ)

 いかん、早く寝て休まないと……って興奮しすぎて眠気が!? 眠らなきゃって思うとかえって寝れなくなっちゃうんだよな?


『マスター、大丈夫モグ。モグタンに秘策があるモグ』

 土の大精霊が姿を現した。おお、モグタン、頼りにしてるぞ。

『これを食べるモグ』

 なんか泥団子のようなものを差し出すモグタン。見た目はアレだが、効果は期待できそうだ。

 迷わず口に入れると、泥団子は口溶けよく、ほろりと口の中に広がってゆく。うん……泥だな。

『この泥団子を食べると、泥のように眠れるモグ!』

 変なもの食わせやがってと言いたい気持ちと、ありがとうという気持ちがせめぎあう。

「……ありがとう、モグタン。なんだか眠くなってきたような気がするよ」
『え? そんなはずないモグ。今のは精霊ジョークモグ』

「…………モグタン?」
『ごめんモグ。お詫びにモグタンを食べて良いモグ』

 モグラの着ぐるみを脱いで全裸になるモグタン。

「……モグタンを食べれば、眠れるのか?」
『今度は本当だモグ。超精霊に進化したモグタンなら、マスターを眠らせることなど造作もないことモグ』

 なるほど、最初からそれが目的だったというわけだな。面白い、燃えてきたぜ!

『ふにゅうううううう!? しゅごいモギュ……モギュタン……そんなにされたら死んじゃうモギュ!? 変態マスターしゅきいいいい!』

「はあはあ……どうだモグタン。マスターの力を思い知ったか?」

 大人げないとは思うが、半分泥団子食わされたお返しです。

『あ、あああ、あ、も、モギュタンの負けもぎゅ……これを食べれば眠れるモギュ……』

 差し出された団子は、さっきのとは違って光り輝いている。こ、これが本物の力?

 食べてしまうのが勿体無いないぐらいの輝きだが、今は有り難くいただくとしよう。

 ――――ガリッ!?

 うん……中身は泥だな。しかも石が混じってやがる。


『ぷっ……クスクスクス……あはははははは、ひっかかったモグ~』

 笑い転げるモグタン。貴女、いたずら妖精じゃなくて、精霊ですよね?

「…………モグタン、覚悟しろよ?」
『ひっ!? ご、ごめんモグ……面白かったから……ついモグ?』

「可愛く言っても駄目だ、問答無用~!」
『ひぎゃあああああああ!? 駄目もぎゅうううううう!? 壊れちゃうもぎゅううううう!?』

 気持ちよさそうに痙攣しているモグタン。悪は滅んだか……


(お兄様、これではモグタンのご褒美になっておりますよ?)

 おおミヅハ。そうだよ、初めからお前に頼めばよかったな。   

『ふふっ、さあお兄様、これを飲んでください』

 差し出された水を一気に飲み干す。

「ん? なんか体が熱くなって? おおおおおお!?」

(ふふふ、世界樹の樹液、100倍濃縮エキスです。これならお兄様といえども、ただのケダモノ……きゃあ!)

「があああああああ!?」
 
 ああ……素敵です。嫌がる妹に無理やり獣のように襲い掛かるお兄様……

『いやああああああああ!? は、激しすぎます! お、お兄様……お兄さまあああああああ!』

 ミヅハの限界が来ても全く容赦しないカケル。

(も、もう駄目……100倍はさすがにやり過ぎでした……ね)

 薄れゆく意識の中で、次は50倍にしようと心に誓うミヅハであった。


***


「公爵様、そろそろ起きた方が……きゃあ!?」

 起こしに来たサテラがカケルの餌食になる。


「先輩ただいま~! ってなにこの惨状……きゃあ!?」
「美琴、どうも旦那様のようすがおかしい……ってなにしてるんだ?」

「うふふっ、だってせっかく先輩が獣のように求めてくれてるんだから、ね?」

 美琴はすでに服を脱いで臨戦態勢だ。

「せ、先輩、うわああああ!? 駄目ええええええ!? 壊れちゃうううううう!」

「くっ、これでは本当に獣のようだ……ごくり」

 期待に胸躍らせるセレスティーナ。

「ぐるるるるる……」

 美琴を倒し、続いてセレスティーナに襲い掛かる。

「だ、旦那様、あああああああ!? そんなこと……うはあああああああ!」


「くっ、美琴とセレスティーナが、あんな簡単に……リリア、すぐに王宮内のサキュバスを集めて!」
「わ、わかったお姉さま」

 バタンッと部屋を飛び出してゆくリリア。

「リノ、ミレイヌ、カミラ、行けるわね?」
「いや……無理でしょ? っていやあああああああ!?」

 リリスに押し出され、餌食になる3人。あっという間にへろへろにされてしまう。

「まさか、ここまでとは……時間稼ぎにもならなかったわね」
「リリス、ここは私たち専用メイドの出番よ」

「クロエ、ヒルデガルド……あなたたち、まさか死ぬ気じゃ!?」
「……もし、私たちでも止められなかったら、その時は頼みますね」
『大丈夫よ、殺されはしない。死ぬほど気持ちが良くされるとは思いますが』

 荒ぶるカケルのもとに飛び込む二人のメイドたち。

「クロエええええええええ!? ヒルデガルドおおおおおおお!?」

「ご、御主兄様ああああああ!? 最高です、獣のようで素敵ですううううううう!」
『カケルさまああああああ!? 至高です、気持ち良すぎて死んじゃううううううう!」

「……なんか楽しそうね。そろそろ私も行ってくるわ」

「リリスさまああああ!?」

 一人取り残されたアリサ。頼りの綱だったリリスもおそらく長くは持たない。

(ど、どうしよう……このままじゃお兄ちゃんに襲われちゃう……あれ……別にいいのか?)

 よく考えたら、これは絶好のチャンス。なし崩し的に婚約者になれるかも。んふふ。


『……あ、アリサ』
「み、ミヅハさん!? 大丈夫ですか』

 意識を取り戻したミヅハが弱々しくアリサに手を伸ばす。

『お兄様を止めるには……妹である貴女の力が必要です……やってくれますね?』
  
「任せて。絶対にお兄ちゃんを止めて見せるんだから!」


「ああああああああ!? も、もう……駄目えええええ……」

 ついにリリスが限界を迎える。

「お兄ちゃん! もう止めて! いや、止めないで!」

 止められてしまうと困るので、慌てて言い直すアリサ。

「ぐるるるるる……あ……り……さ……?」
「お兄ちゃん? そうだよ、アリサだよ。お兄ちゃんの世界一の妹だよ?」
「あ……カワイイ……イモウト……う、ううううう」
「お兄ちゃん頑張って!」

 必死にカケルを抱きしめるアリサ。

 カケルの手がアリサの体を求めて襲い掛かるが、アリサは気にせず受け止める。

「お兄ちゃん……私が欲しいの? 良いよ、無理しないで……あ、すごい……気持ち良いよお兄ちゃん」
「う、うううう……はっ!? あ、アリサ? お、俺は一体何を……」

 あと一歩のところで、カケルは正気に戻ってしまう。

「…………お兄ちゃん」
「へ? な、なんだい、アリサ?」

 なぜ妹が怒っているのかわからず慌てるカケル。

「妹にここまでしておいて、ただで済むと思って無いよね?」
「ご、ごめんなさい!?」

 平謝りのカケルを見て口角を上げるアリサ。

「もうお嫁にいけないんだから、最後までお兄ちゃんが面倒みてよね!」
「へ? それってどういう……」

「……最後までしてって言ってるのよ、お兄ちゃんの馬鹿ああああああ!?」


***


「皆さん無事ですか!?」

 バタンッと扉を開いて入ってくるリリア。応援のサキュバスも20名ほど一緒にやってくる。

「ああ、リリアちゃん、大丈夫だよ? ね、お兄ちゃん」

 カケルに抱き着いてデレデレのアリサ。見ているだけで虫歯になりそうな甘い空気を出している。
 
「ああ、ごめんなリリア、騒がせちゃったみたいでさ」
「……そうは参りません、責任取ってくださいね、義兄さま?」

 悪戯っぽく微笑むリリアと20名のサキュバスたち。


 やれやれ……結局ちっとも休めなかったんだが、アトランティア最高だな。
  

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