異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
サキュバス最強生物説
「いやあ、初日からずいぶん頑張ってくれたみたいで感謝するぞ、婿殿」
サタン陛下、近いです。怖いですよ? え? 笑ってるんですか? マジで!?
でもなるほどと思ってしまう。男性のサキュバスが寝ている女性から魔力を吸う理由がよくわかるよ。起きてたら絶対泣く。
男性のサキュバスは、夢の回廊が使えない代わりに、自ら夢の中に入り込むことが出来るらしい。そして、夢の中で悪夢を取り除いたり、理想の姿になって魔力を吸わせてもらったりするんだってさ。
「本当に……お疲れさまでした」
「あ、ありがとうございます。リリムさま。とっても気持ちがいいです」
肩を揉んでくれるリリムさまの指が気持ちいい。王妃にこんなことさせて良いんだろうか?
「もうっ、リリム!」
「……ありがとう、リリム」
満足したのか指に一層力が入る。うはっ……マジで気持ちいい……
『マッサージ〔極〕を記憶したよ』
おおっ、素晴らしいスキルを手に入れた。鬼に金棒ってやつだな。ふふふ。
『……あとで、もっと気持ちよくさせてあげますね』
去り際に耳元でささやくリリムさま。もうね、妄想が止まらなくなるので、勘弁してください!
***
一通り目的を終えて、宿泊用の部屋へ案内される。他のみんなは、リリスとリリアの案内で街を見に行くんだってさ。俺は、晩餐会の時間まで、少し部屋で休むつもりだ。ミコトさんたちに、この間注意されたばかりだしね。
「公爵様、ここが、今夜宿泊されるお部屋でございます」
クリーム色の髪に赤い瞳の素敵なメイドサキュバスちゃんに案内されたその部屋は……
(くっ、さっきまで働いていた公務室じゃないか……わざとか? わざとなのか?)
もう完全に俺の部屋だよね、ここ。改造してもいいかな? え? 駄目? ……そうか。
ちなみにメイドちゃんが俺を公爵様と呼ぶのは、さっき爵位をもらったからだよ。
「では、ゆっくりお寛ぎくださいね」
「ありがとう、メイドちゃん」
「……メイドちゃんではありません。サテラです。公爵さま」
ちょっと怒ったような顔で見られると、ついつい頭を撫でてしまう。
「ごめんサテラ。少し休むから、後で起こしに来てくれ」
そう言って、ベッドに横になり手足を伸ばす。うーん、なんか俺ずっとこのベッドにいないか? いや……きっと気のせいだ、疲れているんだろう。
「……お疲れなのですね。お可哀想に。サテラが癒して差し上げますね」
俺の上に跨って、マッサージをしてくれるサテラ。いや気持ち良いなこれ。
「そのまま寝てしまって構いませんからね?」
優しくマッサージしてくれるサテラだけど……
全然寝れないんだけど!? 全身の柔らかいところでマッサージされたら寝れないんですけど!?
っていうか、なんでいつの間に全裸になってるのサテラさん。仕方がない……安眠のために、メイドを冥土送りにするしかない、メイドだけに!
「いやあああああああ!? 気持ちいいいいいい!?」
ふふふ、さっき覚えたばかりのマッサージ〔極〕を使わせてもらったよ。残念ながら、サテラは冥土じゃなくて、天国に行ってしまったけどね。
(さあ、寝るか……)
サテラと一戦交えた後、ようやく目を閉じる。
よほど疲れが溜まっていたのだろうか? 全身にとてつもない快感が広がってゆく。
『ふふっ……気持ち良いですか? カケルさま?』
いつの間にかリリムが布団に潜り込んでいたのだ。
「あの……リリム?」
『……なあに?』
「ヒモアーマー……廃止にするんじゃなかったのか?」
『ふふっ、やっぱり気になっちゃいます?』
くっ、見えそうで見えないぎりぎりのラインがたまらない。やはりサキュバス最強生物説は正しいのか?
『公式の場では廃止しますけど、プライベートは……ね?』
悪戯っぽくウインクするリリム。うむ、やはりサキュバス最強。異論は認めない。
『ねえ、カケルさま、ヒモ……ずらしたくないですか?」
耳を甘噛みしながら問いかけてくるリリム。
「当たり前だろ? ヒモはずらすためにあるんだから」
さわやかな笑顔で答える。そこには微塵の迷いも雑念もない。そこに山があるから登るという登山家の心境が、今の俺ならば理解できるような気がするんだ。
『ふふっ、でも、そう簡単にはずらせませんの……』
くっ、ずれ防止の魔道具……しかもアーティファクト級かよ……
『諦めます? ずらさなくても十分楽しめますし?』
ふふっ、諦める? そんな言葉は向こうの世界に置いてきちまったから知らないね。確かに楽しめるだろうけど、そんなの納得できるかよ! 逃げたら駄目なんだ。本当に欲しいものは、自分の手で戦って手に入れるしかないんだよ!
『え!? ウソ……こんなに簡単に? いや、いやああああ!? ずれる……ずれちゃうううううう!?」
格好つけたが、念話で刹那から外し方を聞いただけだ。アーティファクトのほとんどは、刹那が作ったやつだからな。
「ククク、リリム、お前を守るヒモはもう残っていないぞ?」
『くっ、外道……この身を穢されようとも、心までは堕ちはしません』
「ほほう……よくぞ言った。さて……どこまで耐えられるかな?」
『減らず口を……御託を並べないで、やれるものならやってみなさい、この臆病者め!』
さすがはリリム。ノリというものをよく分かっていらっしゃる。
『いやあああああああ!? 堕ちた、もう堕ちたからああああああ!? しゅごいいいいいい!?』
『ふふっ、とっても楽しかったわ、また今夜ね?』
え!? また今夜来るんですか? いやウエルカムですけどね。
(あれ……なんか全然休めていない気がしてきたぞ)
再び一人になって今更な事実に気付く。
いかん、早く寝て休まないと。慌ててベットで目を閉じるカケルであった。
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