異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

可愛いものには刃がある


 キリハさんと、たっぷりイチャイチャしたあと、ふと我に返る。

 そうか、部屋を元に戻さないといけないんだった……残念ながら俺たちは現時点では侵入者でしかない。

 結果的に、この部屋に泊まることになる可能性は高いけれど、だからといって放置して良い問題ではないだろう。


 見下ろせば、乱れに乱れた惨状が広がっており、邪神との激しい戦いの痕が、生々しく感じられる。

 ふふふ、だが、俺には時空魔法がある。自分を過去に戻すことはできないが、物を以前の状態に戻すことなら比較的簡単なのだ。

(それにしても、あの制服はヤバいな。ミコトさんやイリゼ様にも着てもらおう。そうしよう)

 部屋を元に戻しながら、そんなことを考える。

 いやまて、せっかくなら全員分作ろう。ふふふ、夢が広がる。

『……全部聞こえてるわよ?』

 呆れ顔のキリハさんは本当に可愛い。可愛いという物質があるならば、おそらく純度100%の可愛い製に違いない。ああ……抱きしめたい。でも、さっき怒られたばかりだしな……

『……だから全部聞こえてるってば!?』

 顔を赤くして抱き着いてくるキリハさん。これは駄目な奴だ。また、イチャイチャタイムが始まる。


***


 なぜか、ベッドの上に座っている美少女侍。言わずと知れたデスサイズちゃんだ。

『……主殿、拙者、覚悟は出来てござる。どうか……どうか』

 土下座するデスサイズの頭を撫でる。抱きしめたりしたら、バッサリやられそうだからね!?

「顔を上げてくれデスサイズ。俺たちは主従ではなくて、相棒だろ? だから、お前の願いは俺の願いでもあるんだ。遠慮なんてしないでいいんだぞ」
『あ、主殿……』

 感激しているデスサイズちゃんの椿色の瞳が潤んで揺れる。くっ、可愛い。刃物なのに可愛い。今すぐ抱きしめたいが、確認しなくてはならないことがある。

「……それで、どちら様?」

 デスサイズちゃんの隣にちょこんと座る美少女くノ一。

『キリハさまのデスサイズ、クレハでございます、主殿』

 なるほど、キリハさんの……って、えええぇっ!?

『ちょっと、クレハ、何勝手に人化しちゃってるのよ! それに主殿っておかしいでしょ? 貴女は私のデスサイズでしょうが!』

『……持ち主がピンチだったので、緊急自動召喚が発動しただけですが? それに、キリハさまは心身ともに屈服されたご様子。ならば、主殿でおかしくないかと』

『くっ、相変わらず可愛くないわね。責任取りなさいよね、駆』

 え? 責任って何をすれば? え? 俺が好きなこと? なるほど分かりました。


 それより、大事なことに気付いてしまった。キリハさんのデスサイズに名前があること、そして俺のデスサイズに名前が無いことに。

 これはまずい。相棒とか言っておいて、名前すら付けていなかったとか、正気を疑うレベルだ。まあ、自分の武器に名前を付けることに関しては、議論が分かれるかもしれないけれども。


「という訳で、お前はシグレだ。よろしくな、シグレ」
『シグレ……良い名でござる。感謝いたす主殿』

 嬉しそうなシグレを見てホッとする。気に入ってもらえて良かった。由来はもちろん時雨だが、深い意味は無い。なんとなく格好良くて可愛い感じがしたからだ。一応他にも300個ほど考えていたんだけどね。

『うっ!? か、身体が……』

 シグレの身体が淡く輝き出す。

「き、キリハさん?」
『大丈夫よ。アンタが名付けたから、デスサイズが進化しただけ。っていうか、名付けもしないで使ってたの?』

 驚き呆れるキリハさん。どうやら、名付けは、基本のキらしい。


『こ、これが、進化した拙者? 心なしか胸が小さくなったような……』

 良くやった。素晴らしい進化だ。内心歓喜する俺。

『…………良かったわね』
「ありがとうございます、キリハさん!」
『……皮肉なんだけど?』

***

 さて、名付けが終わったところで、二人のデスサイズに真の主と認めてもらうという試練が待っている……

 怖くないと言ったら嘘になる。デスサイズの切れ味を身をもって知っているのだから。

『さあ、主殿、その聖剣デュランダルで、拙者をズタズタに切り裂いてくだされ』 
『主殿、その凶悪なトールハンマーで、私を滅茶苦茶にしてください』

 迫る侍と忍者。

 くっ、なぜ俺の伝家の宝刀がバレているんだ? 仕方あるまい。俺はひとりじゃない。キリハさんもいるんだ。負ける気がしないぜ。

『は? 何で私も数に入っているのよ!? ……もう、仕方ないわね。私が押さえててあげるから、やっておしまいなさい!』

 ありがたい。キリハさんのおかげで斬り裂かれる心配は無くなった。

 ならば今こそ使おう伝家の宝刀!

「斬り裂けデュランダル、すべてを打ち倒せトールハンマー!」

『あああああああ!? すごい、これが聖剣デュランダルの切れ味……負けでござる、拙者の負けええええええ!?』
『くひいいいいいい!? な、なんて凶悪なハンマーの一撃……もっと懲らしめて下さい。この変態くノ一にお仕置きを! あはあああああああ!?』  

 
 正直、キリハさんがいなければ、やられていたのは俺の方だったかもしれない。ありがとうキリハさん。

『……アンタ、刃物相手に良くやるわね……尊敬するわ』


 キリハさんにお褒めの言葉をいただいたところで、そろそろ戻るとしましょうかね。え? 褒めてない? ……そうですか。 

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