異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
リーゼロッテ=バルバロス
リーゼロッテと二人で大浴場へ足を運ぶ。
「……ねえ、カケルさん。本当に二人っきりでお風呂に入るの? やっぱり性人なのね」
くっ、リーゼロッテ、今の俺に性人というワードはクリティカルなダメージが入るから止めて欲しい。
「なんでそんなに恥ずかしがっているんだ? いつも一緒に入っているじゃないか? それに、みんなが使う前にきちんと確認するのも屋敷の主たる俺の務めだからな」
完成したばかりの設備だから、まずは使ってみて、不具合がないか確認しなければならない。
「う~、そうなんだけど、二人っきりだと恥ずかしいのよ!!」
真っ赤になって怒るリーぜロッテが可愛い。
「……そうか、じゃあこれを着るといい。湯浴み着といって、温泉に入るときのための服だよ。これなら恥ずかしくないだろ?」
そういってミヅハに作ってもらった湯浴み着をリーゼロッテに渡す。
「……そうね。これなら恥ずかしくないわ。ありがとうカケルさん」
う……素直にお礼を言われると罪悪感が……だってそれ水布製だし。
***
「うわあああ! すごい立派なお風呂! プリメーラのお屋敷にも負けてないわね……」
まだ誰も入っていない綺麗な大浴場が貸し切り状態。自然とテンションが上がる。
「あああああああ!? なにこれ……気持ちいい……」
先に湯船に入ったリーゼロッテが心底気持ちよさそうに、ふぅーっと息を吐き出す。やっぱり一番風呂は良いよな。ロケーションも最高だし、世界樹のおかげで水質も最高だ。続けて俺も入ってみるが、控えめに言っても最高だ。風呂だけのためにこの屋敷に来てもいいかもしれない。
「……ねえ、カケルさん……私、なんか変な気分になってきちゃった……」
いつの間にかぴとっと背中に抱き着いてきたリーゼロッテ。湯浴み着越しに伝わる柔らかい感触にくらくらしてくる。
「はあはあ……駄目……身体が熱い……お願いカケルさん……早く……鎮めて欲しいの……」
ぐいぐいと押し付けてくる彼女だが、様子がおかしい。まさか……
鑑定してみると、発情状態になっている。お湯の成分を見ると、世界樹のエキスが入った水質で、世界樹の水というらしい。
くっ、なんてことだ。まさかこの屋敷の地下水脈が世界樹の水だとは……ありがとうございます。さすが1等地だけのことはある。ってまさか……王族や貴族にエロフが多いのって、この水を飲み続けたからじゃないだろうな?
だとすれば、ふふふ、不純異性交遊担当大臣として、少子化対策に光明が見えたかもしれない。これもリーゼロッテのおかげだ。ありがとう。
だけど、それはそれとして、今はリーゼロッテを何とかしてやらないとな。
急いで彼女を寝室へと運ぶ。俺の寝室は、はっきり言えばパーティーでも出来そうなほど広い。その広いスペースに巨大なベッドが設置してあるが、こちらもクロールで泳げそうなほど広い。おそらく数十人で雑魚寝しても全く問題ないと思われる。
「大丈夫か? ほら、これ飲んだら楽になるぞ」
顔が赤く、呼吸も荒いリーぜロッテに神水を飲ませるとあっという間に元の状態に戻る。残念な気持ちがないといえば嘘になるが、それよりも彼女の気持ちのほうが大切だからな。
「……ありがとう。楽になったわ」
今になって急に恥ずかしくなったようで、今度は別の意味で顔を赤くしている。
「気にするな。どうやら地下水に世界樹のエキスが含まれているみたいでな。それで発情状態になってしまったんだ」
リーぜロッテの頭を撫でながら事情を説明する。
「そ、そうなのね……でも、ちょっぴり残念だわ」
納得しながらも、少し落ち込む素振りを見せる。
「半分は水のせいだけど……半分は勇気を出して迫ってみたのよ……私ってそんなに魅力ない?」
「リーぜロッテ……」
俺は馬鹿だな……せっかく彼女が勇気を出してくれたのに、これじゃあ結局自分が良い恰好したかっただけの鈍感駄目男じゃないか。
「馬鹿だな……お前に魅力がなかったらこんなに苦労してないよ。襲い掛かりたくなるのをずっと我慢するの大変だったんだからな?」
「へ、へえ~、そ、そんなに我慢してたの?」
「ああ、もうおかしくなりそうだ……」
「し、しかたないわね……おかしくなられたら迷惑だから……良いわよ」
「……ごめん、聞こえなかったな。もう一度言ってくれないか?」
「……絶対聞こえてたくせに……意地悪馬鹿あああああああ!!」
ぼすんと胸に飛び込んでくるリーゼロッテをしっかり受け止める。
「一緒に幸せになろうな、リーゼロッテ」
「はい……カケルさん」
***
「ねえ、カケルさん。私……とっても幸せよ」
ごろごろ甘えてくるリーゼロッテは本当に可愛い。ただし、かるく握っただけでも鋼鉄がぐしゃりと潰れるほどの破壊力を持っているが……
「そうか……でも、これからだぞ。まだまだこれからやることはたくさんあるけど、俺と俺に関わった人々みんなで幸せな世界を作るんだ。なるべく笑っていられるような世界を」
「……うん、カケルさんならきっと出来るわ。私も、他のみんなだってきっとそう思ってる」
カケルさんの横顔を眺めていると、想いがあふれて止まらない。貴方と出逢ったあの時から、私の灰色の人生に色がついたのよ。
ありがとう、私を孤独の檻から救ってくれて。ありがとう、こんな私を女の子でいさせてくれて。ありがとう、私に美琴という親友をくれて。
ありがとう……私をこんなに幸せにしてくれて。
好き……大好きよ……私はこんな性格だから決して口には出せないけれど、本当に貴方のことが好きなのよ。私は貴方を世界一幸せにしてあげたいの……幸せでいて欲しいのよ。
だからね、私は思い切りカケルさんに抱き着くの。想いよ届けと力いっぱい抱きしめることしか出来ないから。不器用な私を許してね。
(うーん……とっても可愛らしくて嬉しいんだけど、さすがに少し痛いかも……)
うふふふ、とニヤニヤしている怪力姫を眺めながら、仕方ないな……と黙って甘えさせるカケルであった。
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