異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

世界樹の精 ルシア


『人間よ……今すぐそのエルフを置いて去れ……』

 脳に直接響いてくるような声で俺たちに語り掛けてくる少女。

「先輩、あれって……」
「ああ、世界樹の精だな」 

 敵意とか悪意みたいなものはまったく感じないけど、恐ろしく強いのは分かる。

 感覚的には、リヴァイアサンのリーヴァと近い感じかな。強さのベクトルが全然違うけど。


「世界樹の精……俺の名はカケル。リーリエさんをどうするつもりだ?」
『ふーん……私の正体を見抜くんだ……そうよ私の名はルシア。この世界樹の精よ。エルフたちには魔力と生気を分けてもらってるの。邪魔しないで欲しいのだけれど』

 くっ、可愛い……真剣な話をしているのに、色違いイリゼ様みたいで可愛い。全色揃えたくなってくる。

『……今なんか失礼なこと考えなかった?』
「……気のせいだろう? それよりなぜエルフの魔力と生気が必要なんだ? 良かったら教えてくれないか。多分力になれると思うぞ」 
『貴方が? ……ふーん』

 ルシアは、ジッとこちらを見つめて少し考えると――――

『……いいわ。ただし、私を納得させるだけの力を見せてちょうだい』
「いいだろう。何をすればいい?」

 ルシアは妖艶に微笑むと身に纏っていた純白のドレスを脱ぎ捨てる。当然美琴は大喜び。俺も内心大歓喜だ。

『ふふふ、私を多少なりとも満足させられたら話してあげる。でも絶対無理よ? だって私女の子にしか興味ないし』
「ふふっ、さすがはルシア先生……一筋縄ではいかないってことだな」
『……な、なぜに先生?』
「気にしたら負けだルシア先生。少しだけ本気を出すから、気をしっかり持てよ?」 

 相手は世界樹の精。舐めてかかれば返り討ちに遭いかねない。魔力効率を高めるため、服を脱ぎ捨てる。

『ふはっ! 誰に言っているのかしら? 貴方面白いわね……さあいつでも、何処からでもかかって来なさい!』 

 ルシアから無数のつるが伸びてきて俺の全身に巻き付いて拘束する。

「せ、先輩!? 危ない……ぐふふ」

 興奮MAXの美琴。お前……喜びすぎだろ!?

『ふふっ、他愛もない。このまま吸い尽くしてあげるわ』

 蔓で拘束された俺を抱きしめて魔力と生気を吸い始めるルシアだったが――――

『ひっ!? な、何!? この魔力……い、嫌っ、怖い』
 
 慌てて蔓を離して距離を取ろうとするルシアだがもう遅い。しっかり抱きしめて俺の魔力を容赦なくぶち込む。

『あ、ああああああ!? す、凄い!? こんなの知らない!』
「どうだルシア? 男の魔力も悪くないだろ?」
 
 我ながら何を言っているのかと思うが、悶えるルシアを満足させるため、更に魔力を1段引き上げる。

『そんな……さらに激しく!? だ、駄目、おかしくなっちゃうから!?』
「ふふっ、俺の本気はまだまだこんなものじゃないぞ」 

 更に1段引き上げる。耐えられるかな? ルシア先生!

『あああああああああ!? わかった、わかったから!? 満足したからお願い許してえええぇっ』

 魔力注入を止めると、息も絶え絶えのルシア先生がぐったりとしながらジト目で俺をにらむ。

『……ちょっとやり過ぎじゃないのかしら?』

 たしかに悪ノリし過ぎたかもしれない。ごめんなさい。

『ふふっ、でも……とっても素敵だったわよ……』

 ルシア先生は、弱々しく蔓を巻き付け、俺を引き寄せると、情熱的なキスをしてくる。

「ハァハァ……た、たまらん。せ、先輩! 私もう限界かも」

 いかん!? 美琴の症状が悪化している。大量の樹粉摂取と樹液の雨を浴びたのだ。普通ならリーリエのように正気を無くしていてもおかしくない。

「ルシア先生、この症状を鎮める方法は無いのか?」
『……やるしかないわね』

 ……ですよね〜、さすがルシア先生です!

「よしっ、美琴やるぞ」
「ふふっ、やろうよ先輩」

『ち、ちょっと待って、今ここでやるの? 私がいるのに?』 

 慌てるルシア先生だが――――

「もちろん。何か問題が?」
『……そう言われてみれば無いわね……』
「だろう? じゃあちょっとだけ待っててくれ」
『……待ちなさい』
「まだ何か?」
『私も混ぜなさい』

「……どうする美琴? って聞くまでもないか」 
「ぐふふ……とんだ棚ぼたラッキー……」
『う……何か怖いかも……やっぱり止め――――』

 ルシア先生は美琴に危険を察知したがもう遅い。

 途中で乱入してきたリーリエさんも加えて、治療行為は無事終了した。


***


「なるほど、それは大問題だな……」

 ルシア先生の話によれば、世界樹を支えていた根源が突然失われたのだという。

『二つの根源の内、一つが無事だったから最悪の事態は避けられたけど、足りない分はエルフたちから補っていたのよ。言っておくけど、みんな合意の上だからね?』

 世界樹が失われたら、当然エルフの王国は滅び、世界中が大変な事態となる。第一王子のブレイヴを始め、ここにいるエルフたちが協力を申し出たのは理解できる。

 しかも、ルシア先生の気持ちの良いサービス付きだ。俺も使命がなければ、断れたかどうか怪しい。

「とりあえず、根源を見せてくれ。何かわかるかもしれないからな」
『ふえっ!? だ、駄目よ……恥ずかしいから』

 ええ……根源って見せるのが恥ずかしいものなんだ。植物の羞恥心はよくわからない。

 
 結局、恥ずかしがるルシア先生を説得して、俺たちは根源に向かうのであった。
 

  
 

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