異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
トナリ町到着 とりあえずモフりますか?
「あ、ありがてえ……ありがてえよ、カケル」
巨大なクロドラの背の上で、アーロンさんたちウサネコパーティが涙を浮かべながら感激している。ああ……そうか、以前フリューゲルに乗せた時は悲惨だったからな……あれは申し訳なかったと正直思う。
パラディからトナリ町は、実は全然近くなかった。直線距離なら、むしろサウスパークの方が近いくらいだったんだよな。
直通の街道も整備されていないから、馬車だと多分数日はかかるけど、クロドラが本気を出せばおそらく数分で到着するだろう。それではさすがに味気ないので、ゆっくり30分ほどかけて空の旅を楽しんでいるのだ。
「ねえ、駆。高いところは怖いから、しっかり抱きしめていてね?」
すっかり甘えん坊モードの刹那が可愛くて可愛くて。膝の上に乗せて愛でております。
「あの~、刹那? 本当ごめんて、謝るから許して?」
「…………嫌!」
ぷいっとソッポを向く刹那。
「うえっ!? 刹那に嫌われた……先輩助けて……」
美琴は刹那が気絶している間にさんざんいたずらしていたことがバレてめちゃくちゃ怒られていた。
「ごめん、無理」
「そ、そんな~!?」
絶望して崩れ落ちる美琴。まあ自業自得だ。しっかり反省するように。
「ったく仕方ねえな。ほれ美琴元気出せ、おっぱい揉むか?」
「うううう……ゼジリアざんんん~」
泣きながらセシリアさんのおっぱいを揉む美琴。くっ、うらやましいぜ美琴。うまくやりやがって。
「……ねえ駆、お、おっぱい揉む?」
キタああああああ!? 刹那の恥じらいおっぱい来たあああああ!? いや待て、これは何かの罠かもしれない。スキル罠感知発動……うむ、どうやら罠ではないようだ。
「刹那……いいのか?」
「……うん。でも服の上からだよ?」
刹那の慎ましやかな双丘は、普段は白衣で窺い知ることができない秘境だ。環境破壊を考慮してしっかり神水で手を清めてから登頂しようと思う。
準備は万端だ。いざ……神の頂へ。
『主、トナリ町に着いたぞ』
「…………」
ですよね~、なんかそんな気がしてたんだよ。でもフリューゲルじゃないから安心してたんだよ。そうか、お前も空気読めないっ娘か!?
『主? どうしたのだ……もしかして乗り心地が悪かったか?』
シュンとしているクロドラ。俺は最低だな……クロドラは何も悪くない。一生懸命飛んでくれたじゃないか。クロドラの逆鱗を優しくさする。
『はうっ!? あ、主……も、もっと……』
悶える巨大なドラゴンが愛おしい。
「ほら、先輩早く! みんなもう降りてるよ?」
くっ、美琴のやつさっきまであんなに泣いてたのに、いい笑顔になりやがって……本当に可愛いよな。
***
「うーん、もっととんでもないところを想像していたけど、思ったより普通の町だったな」
「一体どんな町を想像していたのよ……カケルくん」
ジト目で呆れるカタリナさん。
「カケルさん、ほら神殿に行くんでしょう? 一緒に行ってあげますよお」
ソフィアが柔らかいものをたくみに当てながら腕を組んでくる。さすがは次代の聖女。格が違う。
「じゃあ、俺とソフィアは神殿に行ってくるから、みんなはジモ村とアダムに関する聞き込みを頼むよ」
「「「「「了解!」」」」
村単位となると当然地図など無い。うまく情報が集まるといいのだが。
「あ、あそこが神殿みたいですよ?」
「よし、さっそく入ってみよう」
しかし、女神教すげえな……こんな田舎にもちゃんと神殿があるんだもんな。
「ようこそ神殿へ。ご用件を伺いますよ?」
可愛らしいキツネの神官ちゃんが対応してくれた。
くっ、キツネの獣人がいるとは聞いてないぞ。やばい……俺はキツネが大好きなんだ。モフりたい。ああモフモフしたい。やめろ……やめてくれ。そのモフモフの尻尾をふりふりしないでくれ!? く、クロエ、助けてくれクロエ。
(どうしました? 御主兄様 とりあえずモフりますか?)
(ああ、ありがとうクロエ……もう大丈夫だ)
クロエをモフる妄想でなんとかキツネの罠を回避することができた。
「……カケルさん? 顔色が悪いですよ? 大丈夫ですか? 揉みます?」
もう一度言わせてもらおう。さすが次代の聖女、格が違う。ありがとうソフィア。
キツネの神官ちゃんに案内されて神官長のところへ向かう。
「……あの、一応神殿内では揉まないでいただければ……」
……本当にごめんなさい。俺の手には邪神が憑りついているんです。
***
「なるほど……そのアダムさんを探しにはるばるこんなところまで……」
そういってほほ笑む美しき神官長。
か、かはっ!? きゅ、九尾のキツネ獣人だと……!? ここはあれだな、本物の神殿だな。間違いない。
駄目だ……意識が朦朧としてきた。ふりふり動くふわっふわの九本の尻尾。完全に俺を殺しに来てやがる。神官長の目が怪しく光る。
「ふふっ、大丈夫ですか? ずいぶんと苦しそうですが……良かったらモフります?」
神官ちょおおおおおおお!? 良いんですか!? マジですか!? 後でやっぱり冗談とかなしですよ?
「ルナ、ソフィアさまにお茶を。あと、神官を全員集めておいてね」
「はい、神官長」
案内してくれた神官ちゃんに指示を出してから、耳元でこっそり耳打ちする神官長さま。
『……奥の部屋が空いていますから、そちらで……』
もしかして狐に化かされているのかもしれないが、それでも全然構わない。怪しく微笑む神官長にならむしろ食べられてもいいですよ?
***
「先輩! 神殿で手掛かりありました?」
「ああ、素晴らしいモフ手掛かりがあった。貴重なモフ話も聞けたしな」
「……先輩、神殿に獣人がいたんでしょ?」
「うっ……美琴、なぜそれを……」
「ふふふ……みんなには内緒にしてあげるから、私も連れて行ってよ先輩」
「くくく、おぬしも好きよの、美琴?」
「ぐふふ、先輩には負けまする」
「よし、行くか」
「もちのろんだよ先輩!」
「……どこへ行こうというのです? 御主兄様、美琴様」
「く、クロエ!? これには深い訳が……」
「……わかりました。どうしても行くというのなら、もう私はモフしませんがよろしいですね?」
「「……ごめんなさい」」
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