異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
今度こそトナリ町へ? 魔族に魔力注入したらどうなるの?
パラディヘ戻ると、みんなは屋台でなにか不思議なものを食べていた。
丸くて白いソフトボールくらいの大きさで、餅のように伸びる代物だ。
「おお、カケルっち、これなかなか美味いぞ。半分やるよ」
セシリアさんに半分もらったその物体は、鑑定によると、もちもちの実という木の実だという。これがなかなか美味い。ほんのり甘くて、そうだな、近いのは、すあまかな。驚いたことに、種まで美味しい。ローストしたアーモンドみたいな味だ。うん、これも仕入れて帰ることに決定だな。
「それで? トナリ町の場所は分かったの先輩?」
「ああ、バッチリだ。なあ刹那?」
「……そうだね」
あれ? 刹那がご機嫌斜めなんだが!?
(お兄様、刹那さまにご褒美が無いのではありませんか?)
はっ!? そうか……トナリ町の場所を見つけられたのは刹那のおかげだよな。それなのに俺はソフィアとイチャイチャしてきたという……うん、控え目に言っても最低だな。
なんとか刹那を喜ばせてやりたいな。
(ここはミヅハにお任せ下さいお兄様)
(ミヅハ、何か策があるのか?)
(刹那さまの精神内にダイブします)
(ミヅハ……)
(はい、お兄様)
(お前がいてくれて本当によかった)
(ふふっ、なによりの褒め言葉ですお兄様……では、ダイブ!!)
「刹那、ちょっと俺の膝の上に乗ってもらっても良いか?」
我ながら何を言っているんだとは思うが、ここはミヅハを信じるしかない。
「……別にいいけど?」
おお、口調はぶっきらぼうだけど、明らかに嬉しそうだし、乗るの早っ!?
「刹那、お前のおかげで本当に助かったよ。ありがとう、これからも俺のそばで助けてほしい」
刹那を抱きしめながらやさしく髪を撫でる。
「ふえっ!? そ、そう? まあそこまでいうのならそばにいて助けてあげる……」
おお、明らかに機嫌が良くなった。ここまでは良いんだが……本当にやるのかミヅハ?
(やりましょうお兄様、何より刹那さまが強く望んでいるのですから……)
ううむ、ちょっと恥ずかしいがやるしかないのか。意を決して刹那が望む行為を実行に移す。
「刹那、お前は本当に可愛いな。食べてしまいたいくらいだ……」
そう言って、刹那の耳を甘噛みする。
「ひゃあああああああ!?」
ボフンッと顔から蒸気を出すぐらい赤くなった刹那が絶叫して気絶した。あれ? ミヅハさん!?
(う、うーん? ちょっと刹那さまには刺激が強すぎたのかもしれませんね……)
『……ミヤビ、私たちは一体何を見せつけられているのかしら? 今の時代のことはよくわからなくて』
イヴリースが困惑したようにカケルを見つめる。
「私もまだ日が浅いですが、気にしたら負けだとクロエが言っていましたよ? あと時代は関係ないですよ? カケル殿限定ですから」
『ミヤビはそれで良いのですか?』
「はい、私はムラッと来たら、いつでも攻撃していいと言われてますから。最近は返り討ちに遭うのがクセになりそうで……ふふっ」
『……そう。それは良かったわね』
呆れる魔王イヴリースだったが、みんな幸せそうで不満はなさそうだ。そういえば、自分もいつでも魔力を吸っていいと言われていたなと思い出す。
(……私はサキュバスではないと何度言えば……そうか! ようするに、好きな時にしたいことをすれば良いということね!)
今一番して欲しいのは眷族化だが、この状況でそれは無理だろう。いや、カケルさんならお願いすれば可能だろうが、私が羞恥心で死ねる。であれば、やはりここは魔力注入しかない。これも少し、いやかなり恥ずかしいが、バレなければ良いのだ。
『あの……カケルさん?』
「ん? どうしたイヴリース?」
「先輩、刹那は私が責任をもって介抱するから安心して……ぐふふ」
ちょっと不安だが、気絶した刹那を美琴に渡す。
『恥ずかしいんですが……魔力注入……して下さい』
耳元で消え入らんばかりに恥ずかしそうにお願いしてくる魔王様。します、ぜひやろう、いや、やらせてください。お願いします。魔力なら売るほど余ってるんで。
「ああ、任せておけ。後ろからでいいんだよな?」
こくりと恥ずかしそうに頷くイヴリースの姿に背徳感マックスだ。いや別にやましいことするわけじゃないよ? ただの魔力注入だし? でも、なんだこれ? 尻尾?
イヴリースの尾てい骨辺りから生えている尻尾が目に留まる。以前はなかったよな?
そういえば、リリスも興奮すると尻尾が生えるんだった。きっと同じようなものなのだろう。
イヴリースの尻尾を掴んで魔力を注入する。
『は、はううううう!? ち、ちょっと待って、駄目、握っちゃ駄目ええええ!?』
あれ? イヴリースまで気絶してしまった。
「……カタリナさん。クラリスさんって魔族ですよね? やっぱり尻尾生えるんですか?」
「へ? し、知らないわよ!? そんな破廉恥なこと知らない」
「ふーん、でもカタリナも半分魔族の血を引いてるんだよね? 先輩、カタリナにも魔力注入してみてよ。尻尾生えるかもしれないし」
「カタリナさんに? たしかに興味はあるけど……」
「駄目よ!? 恥ずかしいから!?」
「ですよね……すいません、変なことお願いしちゃって……」
くっ、やめて……そんな捨てられた子犬のような顔をしないで……ま、まあ私も興味がないといえば嘘になるし……そこまで求められて応えないのも婚約者としてまずいわよね……
「わ、わかったわ。ただし、恥ずかしいから二人きりが条件よ?」
「わかりました。ありがとうございます!」
はあああ、癒される。カケルくんの少年のようなキラキラした笑顔に救われる。駄目ね……頼まれたら何でも応えてしまいそうよ。
「じゃあ、魔力注入始めますよ?」
「え? も、もう?」
しまった、うっかりしていたけど、魔力注入は後ろから魔力を注ぎ込むのよね? 乙女にとっては恥ずかしすぎるんだけど!?
「くはっ、おほおおおお!? き、来たあああああ!?」
これはヤバい。クセになってしまう。私に流れる魔族の血が騒ぐのがわかる。
「あ、カタリナさん、生えました! 細くて小さいけど尻尾ですよ!」
嬉しそうにはしゃぐカケルくん。私も期待に応えられて嬉しいわ。
「じゃあ行きますよ? カタリナさん」
へ? 行くって何を? もう実験は終わったんじゃないの? ってまさか!?
「い、いやああ、駄目えええええええ!?」
尻尾を握られて魔力を注がれたところまではかろうじて記憶しているが、その後のことは覚えていない。はあ……すごかったわね。
「……御主兄様? トナリ町にいくのでは?」
『クロエ……カケルさまはお楽しみ中ですから……』
やべえ……ごめんなクロエ、本来の目的を忘れてた。あと、ヒルデガルドさん言い方!? まあ間違ってはいないんだけどね!?
さてと、トナリ町まで飛んでいくとして、どちらを呼ぶべきかな。
(よし、フリューゲル、クロドラ、じゃんけんだ!)
『ふふふ、やはり我が格上なり。主よ、存分に空の旅を楽しむがよい』
壮絶なじゃんけん勝負は、クロドラに軍配が上がったようだ。
「悪いなクロドラ。あとでしっかり逆鱗を愛でてやるからな」
『ふえっ!? あ、あの……出来れば逆鱗は二人きりの時に……』
可愛いことをいうクロドラの黒髪を撫でる。
さあ、出発するとするか。待ってろよトナリ町。近そうな名前の割にずいぶん遠かったけど。
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