異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
王都への帰還
(可哀想に……ショックを受けるのも無理はない)
イヴリースに、彼女が門を封印した後のことをゆっくり丁寧に話していくと、その表情から生気が抜け落ちるように暗い物に変わっていった。
アルスのこと、呪いのこと。768年も経過していること。どれも彼女にとっては衝撃的なことだっただろう。
そういう意味では、刹那とフォルトゥナがこの時代に居てくれたことは彼女にとって小さくはない救いだったかも知れない。
『ごめんなさい……少しひとりにしてくれないかしら。頭の中を整理したいの』
そう言って、ひとり場を離れるイヴリース。
しばらくして現れたイヴリースの目は少し腫れていて、酷く疲れているように見えた。
世界のために身体を投げ出すほど気高く優しい彼女のことだ、必要以上に自分を責めていたに違いない。
「イヴリース、心を癒してくれる聖水だ。美味いぞ」
もちろん、いつでも何でも安易に神水に頼るつもりはないけれど、今回のことは彼女が背負う必要のない重荷だ。少しでも手助けになるなら喜んでチートを使わせてもらうさ。
『ありがとうカケルさん。なんだか気が楽になったわ……っていうかお腹すいちゃった……』
恥ずかしそうに笑うイヴリース。食欲が出てきたなら、もう大丈夫かな。
「それならちょうど良い。これからみんなで美味しい店巡りをするからな」
『ふふっ、それは楽しみね。世界がどれだけ変わっているか早く見てみたいわ』
刹那によると、文明退化しているみたいだから、あんまり期待しない方がいいかもしれないよ?
元気になった彼女を見て思う。建国王アルス……貴方が託してくれたバトン、たしかに届きましたよ。イヴリースも無事助けられましたし、王家にかけられた呪いも消えました。
礼には及びませんよ? すでに沢山もらってますから。貴方がこの国を作らなければ、俺はみんなに出逢えなかった。
最後は邪神の因子に侵されたかもしれないけれど、貴方が蒔いた種は遥かな時を超えて邪神の因子に打ち勝ったんです。
だから……安心して下さい。
俺もいつかの誰かの為に、死ぬまで種を蒔き続けますから。アルカリーゼを守り抜いて見せますから。
『カケルさん? 誰と話しているの?』
不思議そうに俺の顔を覗き込むイヴリース。
「建国王アルスに報告していたんだ。救世の美女は助けました。俺がお嫁さんに貰いますってね」
『ふぇっ!? お、おおおお嫁さん!? そ、そうね、責任とってくれるんだものね……でも、アルスが建国王か……楽しみね、あの人はどんな王国を作ったのかしら』
***
少しだけ遅れてしまったが、無事王都へ帰還した俺たちは、待ち合わせ場所である時計塔の下で、仲間たちにこれまでの経緯を報告していた。
「――――という訳で、新しい仲間を紹介する。魔王イヴリースとその1番弟子で人気ナンバーワン占い師のフォルトゥナ、そして俺の愛犬ケルベロスだ」
うんうん、わかる、わかるぞ。一気に3人も増えたよとか、愛犬て何だよ? って思ってるんだよね? わかってる。わかってるからジト目を止めてください!?
『魔王イヴリースよ。これから宜しくね。この時代のことは分からないので教えて欲しい。ちなみに目つきが悪いのは生まれつき。怒ってる訳ではないわ』
綺麗なお辞儀をする魔王。
「なるほど……昔はお辞儀が一般的だったというのは本当だったのだな……」
さすがセレスティーナは目の付け所が違う。
「大変……魔王の部屋を用意しなきゃ……」
苦労かけるなアイシャ。
『時計塔のフォルトゥナの館で占い師をやってるフォルトゥナだよ。後でみんなを占ってあげるね』
おお……さすが人気の占い師。みんなの喜びようが半端ない。
『お坊ちゃまの愛犬ケルベロスです。あらあら、可愛いお嫁さんが沢山……うふふ』
「ご、御主兄様!? これは一体どういうことですか? 愛犬といえばこのクロエではなかったのですか?」
まて……そもそもお前は狼だろう。
『あら、可愛いらしい狼さんね。心配しないで、大丈夫、大丈夫よ?』
クロエを抱きしめて撫で撫でするケルベロス。
「くっ、癒されてしまう……なんですかこの安心感」
さしものクロエもケルベロスの癒やしには抗えない。
新しい仲間も加わって、俺たちは美味しい店巡りに出発する。
みんな楽しそうだ。
少し前まではみんなそれぞれ大変だったけど、やっぱり女の子は楽しく笑っているのが良い。美味しそうに食べている方が良いに決まっている。
だからまだ歩みを止める訳にはいかない。
明日からは、また忙しくなる。
国際条約締結のために、ガーランド、トラシルヴァニアそしてアトランティアへ行かなければならないし、エメロードラグーンも助けなければならない。
人身売買組織も潰して、邪神に対抗するスキル持ちも探さないといけない。
レオンさんに任せっぱなしのセレスティーナの開発も途中だし、甘味やコーヒーの販売も早く始めたいけれど、まだ余裕は無い。
1日も早く、こんな風にみんなで笑える日常を取り戻すんだ。
焦っても仕方ない。俺には頼りになる仲間たちがいる。
みんなで作って行けば良いんだ。だってここが俺たちの世界なんだから。
『お兄様、皆さんお待ちですよ?』
ミヅハの声で我に返る。
危なかった……最終回っぽくまとめに入っていた。
みんなで王都巡りなんて滅多に出来ないんだから、目一杯楽しむぞ。
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【新登場ヒロイン名鑑】
【名 前】 イヴリース=ディアヴォロス(女)
【種 族】 悪魔
【年 齢】 26
【その他】 魔王
【名 前】 フォルトゥナ=トイフェル(女)
【種 族】 小悪魔
【年 齢】 783
【その他】 王都で人気NO1の占い師
【名 前】 ケルベロス=ワタノハラ(女)
【種 族】 魔獣
【年 齢】 799
【その他】 カケルの愛犬
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