異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

精霊に愛された双子姉妹


 その夜、部屋をノックして入って来たのは、シルフィとサラ。

 暴風と紅蓮の魔女と恐れられる宝石のように美しい双子姉妹。

「貴方様……今宵お時間いただいてもいいかしら?」

 頬を染めて恥じらう姉シルフィ。

「貴方様……今夜は寝かさないぞ?」

 悪戯っぽく笑う妹サラ。


 ふふふ、大丈夫だ。神級スキル『並行動作』保持者の俺なら余裕。2人まとめて寝かせないからな? いや……駄目だった。ミコトさんが待ってるんだった。前言撤回、2人まとめて夢の世界へ送ってやるからな。

 だが――――

『貴方様……気まぐれな私の心を捕まえた悪い人。優しくしてね?』

 セクシーな薄着に着替えた風の精霊シルフィードが俺の周りをくるくる回る。

『貴方様……燃え盛る情愛の炎を点火した放火魔殿。責任を取って燃え尽きるほど激しく愛してもらうぞ?』

 灼熱の炎によって衣服が燃え尽き全裸になる炎の精霊サラマンダー。

 ……ちょっと待て。百歩譲ってシルフィードは分からないでもないが、サラマンダーお前女だったのか?

『ククク……もともと精霊に性別など無いが、次第になりたい性別寄りに変化してゆくのだ。われが女性の姿になったのはお前のせいだがな……』
『私たちとシルフィたちは一心同体。まとめて面倒みてもらいますからね。貴方様』
 
 くっ、4人まとめてだと……俺にできるのか? いや……できるできないじゃない、やるしかないんだ。


 勝算はある。シルフィとサラは感覚を同期しているからな。夜の使い道は無限大んふふ。

 精霊2体も、一心同体と言っていたから、シルフィとサラさえ倒せば、かなりのダメージを間接的に与えることが可能なはず。

「貴方様……あの日、貴方様に出逢わなければ、私はサラと再会することも出来ず、殿方の温もりも知らず、オークジェネラルの前に命を散らしていたことでしょう」
「シルフィ……」

「貴方様……嫌悪、怒り、悲しみ、恨み、妬み、言葉にならない程の絶望の中、貴方様に救われて本当に本当に嬉しかったんだよ?」
「サラ……」

「エルフは生涯一度しか伴侶を選ばないのですよ?」
「そうそう、だから死んでも貴方様から離れたりしない」

「「だから……お願い……私たちのすべてを貰って……貴方様!!」」

「もちろんだ。二人とも死んでも離さないからな……覚悟しろよ」


「ち、ちょっと待って、壊れる……壊れちゃうからあああ!?」
「ゆ、許して、無理、もう無理だからあああ!?」


 2時間後、シルフィとサラは満足そうにすやすや寝息を立てている。
 
 ちょっとやり過ぎたかもしれない。

『う、嘘だ……風が……風が止まっちゃうううう!?』
『む、無理……あ、熱い……燃え尽きてしまうううう!?』

 そして、シルフィードとサラマンダーが崩れ落ちるのもほぼ同時だった。

「ふう……やったか?」   

 しまった、これはフラグだ――――

 
 崩れ落ちたはずの2体の精霊の身体が輝き出し、むくりと起き上がってきた。

 これは……眷族の契りによって精霊が大精霊に進化したのか!?

『ふふっ、貴方様、風の大精霊となった私に名を付けて欲しいな?』
 
 眷族の契りによって風の大精霊となったシルフィードの可愛いおねだりだ。応えないという選択肢はない。

「分かったよ、シルフィード。お前の名は凪と書いてナギだ」
『ありがとう貴方様、可愛いくて素敵な名前……』

 涙を流して喜ぶナギ。

『ククッ、貴方様、炎の大精霊となった我にも名を』

「サラマンダー、お前の名は焔と書いてホムラだ」 
『貴方様、感謝するぞ。魂が震えるほど良い名だ……』

 ホムラも顔を赤くして涙を……いやまて、最初から赤いし、涙も瞬時に蒸発するから分からんけど。

 
 ほっこりしたのも束の間、名を付けたことによって、大精霊の力がさらに膨れ上がってゆく。しまった……これは罠だったのか。


『ふふっ、油断したね貴方様。私の本気を見せてあげる……最終形態!!』
『ククッ、力がみなぎる……貴方様、覚悟するが良い……100%完全体!!』

 くっ、なんてことだ……まだ上があったのか。

 だが、日々、ミコトさんやイリゼ様を相手にしている俺を舐めてもらっては困る。


『ふわあ……こ、これが本当のテンペスト……負ける……負けちゃううう!?』
『ふへえ……こ、これこそ真のインフェルノ……あ、熱い……だ、ダメえええぇっ!?』
 
 
 さすが大精霊。正直余裕などなかったが、やりきった今は清々しい満足感でいっぱいだ。


『カケル、お疲れ様……散々待たされたから覚悟して』

 ……中ボスを倒した後にラスボスが現われた。めちゃくちゃ可愛いラスボスだけど。

 俺の真の戦いはこれからだ……


『カケル、おやすみなさい……愛してる』

 満足そうに消えてゆくミコトさん。

 やべぇ!? もうじき朝の鍛錬の時間になってしまう。少しでも寝ておかないと……ってあれ?

 気がつくと最近見慣れてきた部屋にいる。

『ふふふ、カケルくん……どうして呼ばれたかわかるわよね?』

 あの……イリゼ様? もうすぐ朝の鍛錬の時間なんですが……

『大丈夫よ。少し時間を戻しておいたから。ふふっ、夜は始まったばかりなんだからね』

 胸に飛び込んでくる可愛い女神様。

 終わらない長い長い夜の始まり。


 あれ? もしかしてこれから毎晩こんな感じ? もしかして俺死ぬかもしれない。

 今更ながら、事の重大さに震えるカケル。 

 もっとも完全に自業自得なんですけどね。

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